結婚したら、恋愛は封印しなくちゃいけないんだろうか？：『1122』
いい夫婦の日ですね…。
そして、渡辺ペコさん『1122』6巻発売日…ということで
あらすじ
いちことおとやは、結婚7年目の30代の夫婦。
好みも考え方も近く、なんでも話し合える仲のいい夫婦だが、セックスだけは、しない。
ある出来事をきっかけに、「家庭にセックスを持ち込まない」ことにしたから。
いちこは、おとやの不倫をルール付きで認めており、おとやは第3木曜日だけ既婚者の「恋人」美月とお泊りしている…。
なんでこの漫画が好きかって言うと…
まず第一に、渡辺ペコさんがインタビューで口にされていた考えが、私の中でもずーっとぐるぐるしているから！
不倫は、当事者たちだけに問題があるというよりは、結婚自体の契約ハードルがとても高いことも背景にあるんじゃないかなと感じることがあります。生活、男女関係、性交渉……全部ひとりのパートナーでまかなって満足できる人だけではないですよね。
「りっすん」インタビュー：何でも、ふたりで取り組める人を選ぶーー『1122』で多様な夫婦を描く渡辺ペコさん より引用。太字はけそによるもの。
https://www.e-aidem.com/ch/listen/entry/2019/02/22/103000
「時間を重ねて理解しようとしてきた人とするセックスは、また違う楽しみがあるものだよ」
「ときめきと深い愛情って違うんだよ」
ってさ、あちこちで言われてる。わかる。わかるんだけど…。
ということで私はジレンマを抱えている…。
■恋人のことを傷つけたくない
■恋人と身体的な面でも、もっと遠くまで達してみたい
vs
■世界にいる（であろう）他の好みの男の人といちゃいちゃしてみたい
■まだ互いによく知らない相手と、「わかりあえるかもしれない…」という予感でときめきあってみたい
で、このジレンマについて、丁寧に実践例を見せてくれるのが、この漫画なんですよね…。
※こういう気持ちについては、前に別のレビューでも少し触れたので参考に貼っておきます↓
間違いなく、背景の設定だけではここまで面白い漫画になっていないんだ。とにかくキャラクターのバランスがいいんだ！！
みんな、かわいくて、ずるくて、弱くて強いんだよね…。だから、「わ、わかるよ…！」となってずびずび言いながら読んでしまう…。
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例えば、いちこちゃん。
性的に興奮することと愛情があることって、必ずしもイコールじゃないって、頭ではわかってる。
でも、実際に興奮してもらえない（感）を目の当たりにして、相手に嫌なこと言っちゃったり…。
やっぱり、夫に恋人がいることが悲しいって自分の気持ちに気づいて、鼻水垂らしながら泣いてしまったり（かわいい）
おとやんは、家事もできるしマッチョ感出してこないし、いちこと彼女のお母さん（あまり合わない）の仲を取り持ったり、めーちゃめちゃ素晴らしい夫なんだけど、いちこちゃんがいいセリフを言ってる横で恋人のことを考えたりしてる…。 ↓
（『1122』1巻より引用。関係ないが、おとやんの顔が好き…）
前にamazonのレビューを読んだとき、（特に）おとやんがクズだ、と書いてる人がいたけど、私は全然そう思えないんだよなあ…。
思いやりがあって、自省もする人たちで、だから時々しちゃう「やらかし」が苦しくて、だから胸に迫るんじゃないのかー？！
いろいろあるし、失敗もたくさんするけど、それでも人間が「関わっていこう」とする、姿勢の変化を感じられるのもいい…。
いちこちゃんとおとやんの、いろいろあっても互いに支え合っているところ、逃げたりごまかしたりしながらも最後には向き合おうとするところも好きだし 、
美月さんと志朗さん（美月さん夫）の、「美月さんばっかりが下」の関係が変わっていくところも好き。
（特に6巻の…それまでモラハラ全開だった志朗さんの変化…いろんな人に謝ったり、自分のお母さんに、自分の子供をバカにするなって旨を真っ直ぐ言ったり…に私はぐっときました。子供のお迎えのために早く帰る志朗さんを同僚は白い目で見てたけど、いいぞ志朗さん！）
テーマだけ書くとシリアスっぽいところを、センスのいいギャグでふんわり包み込んでるのも素晴らしいバランスです。
（突然、えせTEDが始まったり。『1122』3巻より引用）
とってもおすすめです。
（なぜ、表紙がこんな（インクがボタッと落ちてる）デザインなのか…途中でわかるよ…怖いよ…男の人は特に気をつけて、怖いから…）
（こちらは最新刊。「いい笑顔」だった礼くんの変化も気になるところ。表紙ではおとやんの顔に疲れが感じられます…いつも不穏な表紙…）
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