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自作自演対談:戦いじゃなくて話し合いで世界を変えたいので、そういうお仕事ください

皆さん、こんにちは。けそです。最近、自営業者になりました。

私には、クリエイターとして、大きな抽象的な目標があります。

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目標の内容(長いよ):

戦いじゃなくて話し合いで、誰かの世界を変えたい。

そうしてもっと、私が(それはたぶん、「=いろんな人が」)、生きやすい世界にしたい。

特に、日本の男尊女卑とか男女それぞれへの「こうあるべき」圧が生む「苦しい」を減らすこと(対象は女性だけじゃなく、男性も、それ以外の性の方も)、毒親育ちの「もう生きるのしんどい、味方いなくて無理、自分嫌いで無理」を減らすこと、を目指したい。

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しかし、こうした目標はありながらも、それを達成するために投げられるボールってなんなのかよくわからない、という感じなのが、2020年7月時点の私です。

じゃあまず、一旦ゴール設定の背景についてじっくり考えて書いてみようか、そしたら何らかの形で先に進むかもしれないしな、仕事で執筆依頼が来たり(棚ぼたLOVER)、とふと思いまして、書き始めたのがこの記事です。テーマがうろうろするとちょっと読みにくくなると思うので、今回は特にジェンダーのことに絞って、書いてみたいと思います。

私は対談を読むのが好きなので、自分と自分の対談形式で進めていきたいと思います。
もしよろしければお付き合いください。

―――

聞き手のけそ(以下、聞き手):
こんにちは、赤司けそです。
けそさん、今日はよろしくお願いします

話し手のけそ:(以下、けそ):
赤司けそです。よろしくお願いします。

聞き手:
今日はけそさんの掲げられてる目標、「戦いじゃなくて話し合いで、誰かの世界を変えたい」について、特にジェンダーの観点からお伺いしていきたいと思うんですが、日本の男尊女卑について、けそさんが興味を持たれるようになった経緯など、お話いただけますか?

けそ:
はい。私、昔から人に面白いと思ってもらうのが好きで。
「面白い」と思ってもらうために、大学生時代から結構最近まで、「モテない」とか「女子力ない」っていうのを、自虐ネタで使ってたんですよね。

特に大学生の間は、一切そこに疑問がなくて、純粋に「モテない/女子力ないネタで自虐するの楽しい!」と思ってました。辛くなることとかまったくなく、自分でも純粋に面白いと思ってました。
社会人になってからは、辛い気持ちが強くなってきて、「だけど王道の型にはまれない自分が悪いもんな、せめて周りに笑ってもらえたらつらかった気持ちも昇華できる気がするしな」と考えていました。

聞き手:
同じ「笑い」で処理していても、学生のときと社会人になってからでは心境が違ったんですね。その辺りは後程お聞きするとして、「モテないネタ」「女子力ないネタ」とは、具体的には?

けそ:
例えば、私はハードなくせ毛×剛毛×多毛で、これらを手なずけるために20代前半は結構なロングヘアにしてたんですね。伸ばすとくせ毛が伸びて、少しはおさまっているように見えるんですよ。で、「その髪型はモテないでしょ!」と友達に言われて、一緒にゲラゲラ笑いあってました。「私茶髪似合わないからさー」と返して、友達に「いやいや、似合う・似合わないの問題じゃなくて、男が話しかけづらいから!」って言われて、また笑ったり。

あとは、男性が、スッとばんそうこうくれたり、飲み会でサラダ取り分けてくれたりしたら、「私よりずっと女子力高い!」って言って笑ってましたね。職場には野球部があって、女性社員は基本的にマネージャーとして参加するんですけど、スムーズにお酌してまわったり、試合中、かわいい声援を投げる女性の先輩たちを見て「私はあんなにできない、社会性がなくってだめだ、つらい」と思ったり。今、話していても当時のぎゅっとしたつらさがこみあげてきますが…。

けそさん「気が利く女子になれないことが、ずっとコンプレックスでした」

聞き手:
社会人になってから自虐がつらくなってきたのは、なぜでしょうか?

けそ:
社会人になってから…というか就職活動を始めたときから、急に「女は弱者」だと思わされたり、「女と男は別」と思わされるシーンが増えたからかなと思います。それまで、「社会と性」みたいなテーマなんて他人事だと思ってたのに、突然突き付けられた、というか。

私は中学から大学まで吹奏楽・オーケストラ部に所属していて、男子と協働する機会がすごく多かったんですね。部活では、私も部長をやったことがあったし、ほかの女子でパートリーダーや係長をやってる人も多かったし、男子とか女子とかそういうことじゃなく、それぞれの人が得意なことを活かして話し合ってきたし、協力してきた、と思ってたんです。

それが、就職活動を始めたら、急に女と男の間に極太の線が引かれた感じで。

企業説明会の中の質問コーナーで、女の子たちは産休とか育休のことを訊いてて。それは当然の権利だと思うし、もちろん悪いことじゃないんですが、社員さんと個別に話をするときも、そんな話題がしばしば出てくる。
「え、私、産むかどうかわかんないけど、なぜか女ってだけで、産むのが当然のほうの性の人って感じで扱われてる気がする!どっちかというと出産に消極的な気持ちがあるのに、勝手に『産んで当然グループ』に入れられてる感じする!」と思って、息が苦しくなりました。

特に、子供は女性が一人でつくるわけじゃないのに、女性ばかりが「休みを取らせてもらえる」「配慮してもらえる」みたいな言い方で「譲ってもらってる立場」として話をされてるのも、すごく嫌でした。産むのは女性しかできないですけど、育てるのはそうじゃないじゃないですか。
会社的にはたしかに人手が減るのはダメージかもしれないけど、人間の営みなんだからそれは前提事項としてバッファを設けてシステムつくってくれよ、なんで人間の権利を行使したい人が「譲ってもらってる人」扱いになるんだよ…しかも、その譲ってもらってる人枠・特別枠にはなんで女性ばっかり押し込められてるんだよ…!って思って、急にぐったりしました。

自身が機能不全家族で育っていることもあり、もともと結婚とか出産にはあんまりいいイメージがなかったんですが、このような経験を経て、ますます結婚や出産が「直視すると世界へのうんざり度が上がるから目を逸らしたい話題」になっていきましたね。

けそさん「私の母は父に抑圧されながら結婚生活を送っていて、そんな毎日が幸せなものだったとは思えなくて。もちろん、幸せな瞬間だってあったとは思うのですが、あまりにもきつい時間が長かった。だから自分が生まれてきたことも、いまだにいいことだったとは思えてないですね。それよりも、母には、自分を大事にしてくれる人と暮らして、自由に生きてほしかったのにな、と」

聞き手:
就活中から、気持ちの変化が始まっていたんですね…。
就職された後は、何か印象的な出来事はありましたか?

けそ:
職場の、たしか新人研修の出来事もショックでした。

新人が2グループに分かれてディスカッションするような研修だったんですが、話し合ったあと、その内容をまとめて発表するのをどっちのグループも男子がしてたんですよね。そうしたら同期の女子の一人に、「発表は男子がやる、みたいなのって変じゃない?」と言われました。彼女は彼女で、問題意識を持ってそう言ったのだと思うんですが。

私は制限時間がある中で発表するのが苦手だから、「得意な人にやってもらうのがいい」と思って任せたつもりでいたのですが、急に「え、私ってこれから『女』って看板を背負って行動せねばならんのですか?」という驚きと恐怖を感じました。「海外旅行先では、日本人代表として行動しろよ、君の行動が日本人のイメージをつくるんだぞ」みたいな話、時々あるじゃないですか。それに近い感じです。別に私は女チームを背負って行動しているつもりはないのに、自動的にそうなっちゃう、それが会社なんだな、しんどいな、って思いました。

聞き手:
そこから、自虐ネタについての考えが変わるきっかけなど、何かありましたか?

けそ:
いろんなことが複合的に絡み合ってると思うんですが…たぶん一つのきっかけは、『邪道モテ』を読んだことかなと思います。

けそさん「しかし内容の詳細は忘れている…すみません…」

ふわふわした服とか髪とかが好きな人や似合う人もいるけど、私はそうじゃない。
それまで、「だから私は女失格なんだ、価値が低いんだ」っていうような気がうっすらしていたところに、「グレーの服とか、激しい柄物の服を着てる私が好きな男性だって、いるんじゃないか?」という可能性が降ってきたっていう感じです。

まあ、本当は男性に認められないと価値がない、なんてことはなくて、誰に好かれても好かれなくても私は私が好きなもの着て生きていく権利があると思うんですが、とりあえず、「ゆるふわガーリー以外の女子は死」っていう思想から、一歩先に進んだんですよね。

その後も急激に変化したわけじゃなかったんですが、やっぱり自分に合わない努力は続かなくて、だんだん疲れてきて。マスカラとか、アイシャドウとか、途中でやめて(笑)。あ、最初は好きでやってたんですけどね。だんだん、「これは好きでやってるんじゃなくて、アイメイクしてないと女としてまずい、という呪いによって『やってしまっている』な」ということに気づいたんで、手放しました。なんで、したいときにはもう少しアイメイクもしますが。あくまで、「世間のプレッシャーがあるから」じゃなくて「私がしたいから」する。

そんな頃、たまたま居酒屋で隣の席に座ってた人とたまたま気が合って付き合うことになったんですが、その人が「けそちゃんって独特の雰囲気というか魅力があるから、遠くから見てもけそちゃんだってわかるんだよね」と言ってくれたことが、かなり決定的に自信になって、プライベートでは、「王道モテ」を目指すことをやめられました。「グレーの服を着るのをやめるんじゃなくて、グレーの服の私が好きな人と生きていけばいいんだな」と(笑)。

会社でも、「お酌が上手でなくてもいい、苦しいばっかりの飲み会にはいかなくていい」と思えるようになったり、「あるべき『愛され女』像を目指す」みたいな段階からは、卒業することができたかなと思います。

聞き手:
「段階」と表現されているということは、まだ引っ掛かるところがあったのでしょうか。

けそ:
そうなんです、職場では結局、退職するまで、モヤモヤすることが続きました。
能動的に苦しみを取りに行くような、自らミンチになるようなことはやめることができたんですが、「受動モヤモヤ」がなくならなくて。

私、海外ドラマの『フレンズ』が好きなんですが、『フレンズ』のジェンダー観の古さにつらさを感じてしまうことは多くて。
同性愛者が笑い種になっていたり、中年の女性が老害扱いされていたり、結婚することが至上の幸せだと考えられていたりするところは、観ていて胸が痛みます。

けそさん「特にフィービーが好きです」

『フレンズ』のシーズン1は1994年から放送されてて、昔のドラマだから、ある程度仕方ないって思えるんですが…、職場でも、かなり多数の人が、同じようなことを口にしてたんですよね。

男性社員同士が仲良くしていたら、「ゲイかよ!」って笑ったり。もっと「わかりにくい差別」だと、例えば上司と、同僚の結婚式について話してるとき、上司が「次は赤司さんの結婚式かな?」って、普通に楽しい話題として振ってきたりするんです。結婚がめでたいことだと考えるのは―それぞれの家庭にそれぞれの事情がありますが―、もちろん否定しません。でも、結婚することが人生で当たり前のこと、異性愛者であるのが当たり前のこと、っていう空気が濃厚なことに疲れてしまって。「私はたまたま異性愛者だけど、同性愛者だったらどうするんだろう?」って思ったり。そういうことばっかりでした。

さらにつらいのは、そういう価値観を、たくさんの女性社員の方も持っていたことでした。
「赤司さんはいつ頃結婚したいの?」って、結婚すること前提の質問をされたり。
忘年会で、「サラダの取り分けについて●●さん(ほかの女性社員)に説明してたら、『私はやらないです』って言われてびっくりしちゃった」と先輩社員が言っていたり。
もっとつらかったのは…年配の女性社員が胸元が広くカットされた服を着てきてるところを見て、「女捨ててないんですね~」って後輩の女性社員がこっそり言ってたことですね。いや、何着ててもいいじゃん!と…。

楽しい話題とか、ジョーク風であるほど、よりつらくて…。だって、言っている方は、絶対悪気ないじゃないですか。
女として期待されてる気配りしながら働いて、ほどほどの年で結婚して、子供産んで、年を重ねたら「女捨てて」おとなしく働く…自分たちでレールを1本に絞って呪いをかけあってる感じがして、ぐったりしました

聞き手:
考え方を変えてほしい相手がパートナーだったりすれば、価値観のアップデートについて話し合うことも比較的しやすいかもしれませんが、職場の方、特にそこまで親しい間柄でない方だと、どうやって伝えていいか、わからないですよね…。正論・きれいごとを振りかざしたい人なのかなと思われてしまいそうですし、黙っているのが賢明かな、というところに落ち着いてしまう。

けそ:
そうなんですよね。何様?って思われそうだし。誰かがトップダウンで、こんな状況はおかしいよ、だからこうしようね、って、ガイドラインとか作って配布してくれたらいいのに!って思ってました。

で、退職前に運良く、と言いましょうか、職場の中で高い職位に就いている女性とお話する機会をいただいたんですね。私の意見を聞いておきたいと言っていただいて。で、「できれば俺の屍を越えて、グッド/バッドなふるまいのガイドラインでも作ってくれ!」という希望をひそかに込めて、私が苦しく思っていたことなど、お話したんですね。

その話の終わり頃にその方が仰ったのは、大体こういう内容でした。
「なるほど…。今は、マッチョ的な考え方の勢力が強いですよね、そうではない立場の人の声もそれに拮抗できるようになるといいですよね、今はバランスがおかしいですよね…」
私は当時、「いや、そうじゃなくて!おかしいですよねじゃ変わんないじゃん!!マッチョ的考えの勢力が多様性の一部みたいに言ってるのは変じゃん!トップダウンでなんとかしてくれよ!!!私と違ってあなたには力があるのに!」と思っていたんですが。

今考えると、トップダウンで価値観を変えるってことは、たぶん無理ですよね。自分のことに引き付けて考えられるような機会があって、自分で納得できないと、人の考えは変わらないと思いました。だから、自分のことに引き付けて考えられる人を増やすためには何ができるかを考えて行動していこう、と考えを切り替えました。

聞き手:
なるほど。トップダウンではなく、本人が自分で意識を変えていくことが変革のために重要だと、そう思われたんですね。
けそさんは退職という方法を採られましたが、会社の内部にいながら、価値観のアップデートをみんなにじわじわ広めていくということは、考えられなかったのでしょうか?

けそ:
昔から、人生のある期間のために、その準備期間を「犠牲」にするのに耐えるのは好きじゃなくて。予備校で、「素晴らしい大学生活のために、高校3年の1年間は我慢しろ、勉強のみに打ち込め」って言われたのが許せなかったり。「高校3年の1年間は一生に1回しかないんですが!?」って反発して、高3の夏休みも文化祭の準備をしまくってました(笑)。

価値観をアップデートするのにいいと思う作品、例えば漫画や本ですね、をひそかに周りに勧めたりもしたんですが、まったく響いてる感じがしなくて。たぶんあの職場で価値観をアップデートするのは、上の世代が皆さん退職されて、人が入れ替わりきらないと無理だなと思いました。若手にもマッチョな考えが引き継がれているので道のりは長い…そうですね…あと40年くらいはかかるだろうなと思います。

私はそんなにストイックな人間ではないですし、そこまで自分が生きているかどうかもわからない。自分をごりごり削ってくる職場のために苦しみながら努力するのも変だなと思って、違う道を探ってみようと思いました。

聞き手:
違う道、と言いますと?

けそ:
noteを活用して、もっと表現力と発信力を上げて、日本全体に、私が吸収して、練り上げてきた考えを届けようと思ったんです。
その当時はたぶん月のPVが2万くらいでした。今は3万PVくらいで、2,3万PVってインフルエンサー界では全然すごくないと思うんですが、でも神奈川県の湯河原町の推計人口が23,565人(Wikipedia情報。2020年6月1日時点)ですから、毎月湯河原町の人全員が月に1回私のnote見てくれてるようなもんだったら結構すごくない?影響力ゼロではなくない?ここから伸ばすことだって絶対可能じゃない?って、思ったんです。そう思わせてくれたnoteに、とても感謝しています。

noteでは褒めてくださる方や応援してくださる方が多いので、今の職場で自分を削りながら働くよりももっと、速く・広くに、自分が楽しく・辛くなく、伝えたい相手とも、戦うんじゃなくハッピーな感じで、「フレンズ後」の価値観を知ってもらうことができるんじゃないかなと、そう思ったんですよね。

聞き手:
「戦うんじゃなくハッピーな感じで」、というところについて、もう少し詳しく教えてください。

けそ:
女生きづらいぞ、もっと生きやすくしたいぞムーブメントって、なんか…「男性下げ」とセットだなって感じるのが多くて、それが嫌で…。ジェーン・スーさんの対談本『私がオバさんになったよ』の中で、社会学・男性学の研究者、田中俊之さんと対談されている回があるのですが、そこで話されている内容がとっても私の気持ちに近いので、ちょっと紹介させてください。

まずは、田中俊之さんの言葉。

もちろん、日本のように根強く女性差別が残る社会では、男性の「生きづらさ」を問うこと自体に違和感があるのは理解できます。ただ、常々、スーさんも言ってくれているように、男性の生きづらさと女性の生きづらさはコインの裏表です。例えば、3歳までは母親が子育てに専念すべきという「3歳児神話」は、定年までは父親が会社で働いて家族を養うべきだという「大黒柱神話」とセットで成立していますから、どちらかだけを解消することはできません。
(『私がオバさんになったよ』より引用、太字はけそによるもの)

次に紹介するのは、同じ対談の中の、ジェーン・スーさんの言葉。

おじさんは別のところで得をしてるから、多少は雑に扱ってもよいと思われているところ、たしかにありますね。だけど、そこで「得してる部分もあるからしょうがないですよね」なんて言う男性はほとんどいない。だって、得してる男性ばかりじゃないから。差し引きして有り余る得をしてる男性は一部でしょ。そして、損ばかりしてる男性に溜まったストレスは自分より弱者に向けられる。女、子供、小動物が攻撃対象になりかねないわけです。だからどっちか片方(けそ注:男性と女性のうち、「どっちか片方」の意)の問題だけが解消されればOKとはならないんですよね。背中合わせ。
こういう話をすると、「ジェーン・スーは名誉男性だ」と言われることもあるんですよ。女として世に出てるのに、フェミニズムを前面に押し出さないって。でも女性が自己決定権を持つ性差別のない社会を目指すなら、片方のことだけじゃ解決できない、両方の置かれた立場を慮っていかないと達成できないだろうと思うんですよね。
(『私がオバさんになったよ』より引用、太字はけそによるもの)

なんかTwitterとかで見てると、男女はそれぞれが持ってるより強力な「憂き目」のカードをばーんと出しあって、デュエルしてる感じだなと思ってしまうことが多いんです。
いや、怒るなっていう話ではないんです。女性であれ男性であれ、怒るべきところでちゃんと怒らなくちゃいけないと思います、牙はとっといたほうがいい。

でも、「相手より自分の方が大変だって示すこと」が目的になっちゃったら、出口がなくって永遠に戦争じゃん、って思って。消耗するばっかりで、誰も楽しくなくて、ひたすらつらいですよね。大変でつらい状況があるなら、ほんとは、それを解消するのが「ゴール」じゃないですか。

これはTwitterだけじゃなくて、自分のリアルな友人の話していることでも感じています。

「旦那が浮気したら、私も浮気して仕返しするわ」って笑いながら言ってた女性の友達がいて。

私自身は、―まだ実践には至っていないですが―双方の合意があれば、複数の人と同時に恋愛関係を持つことには賛成なんです。でも友達の発言って、別にそういうことがしたいって話じゃなくて、「自分は下じゃないぞ!」ってお連れ合いに示すための威嚇をする、ってことですよね。好きな人がほかの人の方を見ていて悲しいなって気持ちが「浮気に怒る」の背景にあるはず―と私は思うのですが―なのに、ますます相手の気持ちを遠ざけるようなことをしたがってる、自分のプライドを守るために。

私も恋人とケンカになったとき、自分のプライドを守ることをすぐ優先しちゃうので、手放しに人のことは責められないんですが…、だからこそ!エンドレス石投げ合いバトルじゃない男女の向き合い方について考えたいし、ちゃんと書いておきたい、と思っています。

けそさん「先程、パートナーなら話し合いしやすいって話も出てましたが、そうじゃない例も、結構多いと感じています。本人ははっきりそう言ってないけど、夫と対等に話ができてないんだな…苦しそうだな、っていう友達がいて…そういう彼女の環境を変えるのには、正論だけじゃだめだと思いました。社会の空気を変えていかないといけない」

聞き手:
「男女の向き合い方」について、今後noteで書いていきたいことがあれば、教えてください。

けそ:
一つは、女も男ももっと自由になる考え方を、どんどん世間に紹介していきたい、と思っています。
恋愛しなくても結婚していい、結婚じゃなくても一緒に暮らしていい、お互いに同意があれば恋人は一人じゃなくてもいい、男性が家事の主な担い手になり、女性が主な稼ぎ手になるのだっていい…私は、これまで読んできた本や漫画、観てきた映画に、いろんな可能性を教えてもらってきました。
知らないもの・イメージできないものを目指すことはできないから、私がコンテンツに教えてもらってきたいろんな行き先・生き方を、もっと多くの人に渡していきたいですね。

もう一つは、今の恋人との関係がかなり理想的な話し合いのしやすさなので、―もちろんうまく行くことばかりではないので、引き続き試行錯誤の日々ですが―こういう関係をどうやったら築けるのか、試してきたことや考えてきたことのまとめを、書きたいと思っています。これについては、去年…一昨年かな?くらいから準備を進めていて、近いうちに有料noteとして販売する予定です。近いうちに…って、自分に言い聞かせているようですが(笑)。

けそさん「恋人とは、読んだ本や漫画から、お互いの価値観について話し合ったりすることも多いですね」

聞き手:
今後挑戦したい仕事はありますか?

けそ:
先ほど、「女も男ももっと自由になる考え方を、どんどん世間に紹介していきたい」ということを書いたのですが、若い世代向けに、ジェンダー観アップデートのための推薦図書を紹介するWeb連載とかやりたいです。イラストなんかも入れつつ。
もともとは、企業の広報担当者向けに、炎上しないためのジェンダー観アップデート漫画とか描くのもいいなと思っていたんですが、先ほどもお話したように、「仕事のために」価値観を曲げるポーズをとってもらおうとしても、たぶんそれでは根本的な問題解決につながらないように思ったので、ボールを受け取ってもらいやすそうなところから、投げていこう!と(笑)。まずは若い世代の男性や、男性社会の苦しい価値観を取り込んでしまっている女性に向けて、発信したい。

もちろん今後も自分のnoteの知名度を上げるための努力をしていくつもりですが、PV数がぐっとあがるメディアで連載させていただくと、もっと遠くまで届けることができると思うので。

私は集中力が細切れで、ボリュームが大きいものを描くのが苦手なのですが…田房永子さんの『男社会がしんどい』のような形、コミックエッセイとして、今の恋人とどうやって信頼関係をつくってきたかについて、恋人にもインタビューしながら作品を描いたりもしてみたいですね。

聞き手:
今後の作品も、楽しみですね。
本日はいろいろとお話いただきまして、ありがとうございました。

けそ:
こちらこそ、ありがとうございました。楽しかったです。

(けそ・作家、漫画家)

―2020年7月、都内某所にて収録

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ということで、お仕事依頼、お待ちしておりま〜す!けそのメール→trrno4(アット)gmail.com
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