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コンテンツ月記(令和三年、睦月)

読んだもの、観たものを、書きなぐりのメモで記録します(完読できてないものも、書きたいことがあったらメモします。すでに長めのレビューを書いてるものは、基本的に除いてます…と言いながら、ここで書いてる感想も割と長いんだけど!!)。

11月分からためにためての公開になっちゃいました。長めのレビューが書きたい作品が多くて、でもできていない結果そうなっちゃったのだよね…温めてる下書き、触れられてない作品、多数…。いっぱいおすすめしたいものあるんですよ~~~!!その辺りは追々書けたらいいな…(といつも言っている)。

==評価基準(特に記載したいときだけ)==
\(^o^)/ 乾杯。愛。最高の毒なり薬。
φ(..) 特別賞(今後思い出すだろうシーン有等)
==ココカラ==

■本

あなたはそこに

詩が読みたい気分だったので、Kindle Unlimitedで読む。

好きだったけど失恋して、そこから友達を続けた「あなた」との時間について綴った詩。

「ほんとうに出会った者に別れはこない」

という一節が、好きで好きで。これを読む前に観ていた『バチェロレッテ』にも重ねたりした。

詩のフレーズがちょっとずつ配置されて、たっぷり素敵な絵が添えられている。ただ一篇の詩を載せているだけの本だけど、しっとりと重い。走馬灯を借りるような気持ちになる本。

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自分と他人の許し方、あるいは愛し方

これだけ苦手な価値観で来る本は久々だった。ということで全部は読めてない。「許す」をキーワードにしている本には、今後もっと注意して接したほうがいいかもしれない(自分の心の健康のために)。

この本を読んで、すごくマイケル・ジャクソンのことが嫌いになった。
誰かのことを許すか許さないかは、その人が自分で決めることであって、「私のこと許してほしいと思ってる人」に請われて許さざるを得なくなる、のはすごく嫌だ。特に親から子に「許してね」って言うのは、虐待ですらあると思う。そういうことを堂々と語ったマイケルを「思慮深い人」として表現するこの本は…もうほんと、かなりきつかった。嫌いです。
(別の記事でもたびたび書いてるけど、私は「親よ、完璧であれ!聖人であれ!」っていうことを言いたいんじゃなくて、親の落ち度を子供が受け止めなきゃいけないのは変だよね、って話がしたい)

表紙は好きです。

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■映画

燃ゆる女の肖像 \(^o^)/

つぶやきでも少し感想を書いたけれど、もう少し付け足しておこうかな。

この映画、心震えるポイントはいくつもあるんだけど、女性の体とか顔がその人の持ち物として描かれていることにすごく感動した。「異性愛者の男性のための鑑賞物」じゃなくて。

暖炉の前に裸で座るシーンとか、ただそこにある、って感じで描かれていたし、メインの二人の女性は、(特に意味なく)ぶすっとした顔をしてることも多いし。

なのにさ!!Twitterで「当方、異性愛者の男性ですが、あのキャラは童顔だけど乳が強調されててよかった」みたいなことを書いてる人がいて、なんかすごくげんなりしたよ…。
(エロく感じてしまうのは仕方ないとしても、それをわざわざツイートされちゃうと「あーこういう作品でもその定規でジャッジされちゃうんだ…きついなー」って気持ちになるよ…)

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あと、『ヘレディタリー』を観たので、アリ・アスターの短編作品をたくさん観た(全部ネットで無料で観られるので)。これまでも1つだけ(『ジョンソン家の奇妙なこと』)観てたんだけど、↓のツイートで気になってたのもあって。

英語の台詞でわからないところがたくさんあったんだけど、↓こちらの読本にすべての台詞の和訳が載せられているので理解できた!ありがてぇ!(非公式の読本なんだけど、アリ・アスター本人も読んだらしい。コラムもとっても面白くておすすめです)

短編(群)を観て邪推したのは、「アリ・アスター、家族につらい思いを抱えてるんだな…(特にお母さんと何か確執があるんじゃないかなあ…)」「人間の肉欲を嫌ってそうだなあ…」「宗教にまつわるトラウマがあるのか?」「火に執着するような思い出があるのかな?」っていうことですね…。

ということで、いくつか観た作品の話をば(作品名の和訳は、前述の解説読本より)。

BEAU (ボー)

忘れ物を取りに行ってる間に、鍵穴に差してた鍵を誰かに盗まれちゃって、家が安全な場所じゃなくなっちゃった男の話。これは結構難解でした…(よくわからなかった)。

これから公開されるであろうアリ・アスターの最新作は4時間のコメディらしい。で、どうやらその作品はこの『BEAU』を膨らませた内容になるらしい。

↑こちらの記事によれば、ホアキン・フェニックスに出演交渉してるらしくめちゃくちゃ気になる~!!

Munchausen (ミュンヒハウゼン)

これは全編セリフなしなので、英語に自信がなくても観られる。
シンプルなのにめちゃくちゃ怖い。
ミュンヒハウゼン症候群についてのWikipediaの説明には「症例として周囲の関心や同情を引くために病気を装ったり、自らの体を傷付けたりするといった行動が見られる」とあるのだけど、これは代理ミュンヒハウゼン症候群について扱った作品。こちらもWikipediaによれば、代理…は「傷害の対象が自分自身ではなく何か代理のものであるような精神疾患」らしい。

明るそうに見えるもののパロディを、アリ・アスターは愛するよねえ…。この作品は、『邪悪なトイ・ストーリー3』と言われている(観るとその理由がわかります)。

Untitled (無題)

ストレートに笑えるという意味では、これかなり好き。
『ミュンヒハウゼン』の資金集めのためにつくられた作品で、ミュンヒハウゼンのがっつりネタバレがあるので、そちらから先に観たほうがいいかも。

Basically (要するに)

1人の女性が画面の向こうにずっと自分の半生を語り続ける、シーンが切り替わっても、場所が変わっても、荷物が届いても、男に愛撫されてても…という作品。アリ・アスターの長編映画にもよく出てくる、絵画的なカメラワークの片鱗が感じられる。

一番難しかったかも。とにかく滝のようなセリフで画面で起きてることが追い切れてない。
Twitterに、「情報量の多い写真」ってネタがあるじゃないですか?ああいうのが好きなんじゃなかろうか、アリ・アスター。

語り手の女性は、心を置いてくることを選んだ、みたいな感じを途中まで醸しているんだけど、やっぱり残ってた心もあって、荒唐無稽な語りの隙間から、切なさが滲んでしまう瞬間が好きだった。要するに…って彼女は時々言うんだけど、要せてないんだよね、たぶん自分の気持ちがつかみ切れていないんだと思う。そこが人間的で好き。
最後がランドリーで終わるところもなんか好きなんだよな。

C’est La Vie (セ・ラ・ヴィ)

ずっと一人語りが続く、Basicallyと同じつくりの作品。今度の主人公はホームレスの男性。
たぶん話してることの大半は嘘なんだろうな~と思うんだけど、スマートフォンに人生が奪われてることとか、ぎくっとすることも話してる。

あとこの作品、妙に土地の雰囲気を伝えてきて面白かった。へたなロードムービーよりも外国に行ったときの感覚に近くなった。人が全然いない場所も暗い場所も映えてない場所も、男性の話が続くうちはずっととらえているからだろうな。

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■マンガ

銀の匙(1~3)\(^o^)/

(LINEマンガで無料で読めるとこまで読む)

勉強ばかりの人生を歩んできた八軒勇吾。実家に複雑な思いを抱えていたことから、寮に入れることに魅力を感じ、農業高校へ進学する。
「親の農業を継ぐ」「獣医になる」等はっきりした夢を持っている同級生が多くまた心折れそうになったり、動物の命を奪う苦しさに心揺れたり、採れたてのおいしさに驚いたりしながら、八軒は懸命に毎日を送っていく…。

想像してたよりもずっと面白かった!

「乳の出が悪い牛をすぐに処分する農場」の方が「一頭一頭の牛を年老いるまで育てる農場」よりも効率よく経営ができ、従業員もあくせく働かずに済む…。
逆子になった子牛を人間が引っ張り出してなんとか出産に成功しても、1か月すれば肉牛として出荷される…。

八軒の目を通して、動物の性質について知ることができ、人間と動物のかかわりについて(特に、動物を育てることと動物を食べることについて)いろいろと考えさせられる。正解がないことをそれぞれが信じるものをぶつけながら話し合うところが、すごく好きだ。キャラクターもコミカルでテンポよく進むので、読みやすさも抜群。あと、出てくる食べ物がいつもおいしそう…。特に気になったのがピザ!

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鬼滅の刃(1-23)\(^o^)/

作品のテーマと、作品の存在が重なってるところがすごいな、と思った。
「自分ひとりでできないことも、誰かが助けてくれたり、誰かが教えてくれたり、誰かが引き継いでくれたりして、叶えられるかもしれない」というのが大きなテーマだったと思う。横だけじゃなくて縦の繋がりを称える人間賛歌だったな、と(だからゴリゴリに保守的な層にも響いてるんだと思うのでそこは一長一短なんですが…)。

で、『鬼滅の刃』ってマンガ作品をメタ的に見ても、やっぱりいろんな作品の影響を受けてよいところを取り込んで、できたものだなーと。ギャグの表現とか敵のビジュアルとか世界設定とか「これはあのマンガの要素が影響してるだろうなー」というところがいっぱいあって。どんな作品も多かれ少なかれ先人の影響を受けてると思うけど、鬼滅はそういう先人の「オマージュ」だなって思うところが多かった、そこから無理に脱しようとしていないというか、「あの作品があったから今に繋がってるんだよ!」と言ってる感じがするというか…。そこに感動した。 

人気作品はいろんな人の考察が読めるところも面白い。

以下二つは、恋人に教えてもらって面白かった考察。

↓鬼は病モチーフなんじゃないか?ってことについて書いてる。このご時世、「絶対に倒さないといけない敵」なんて想定できなくない?と私は思うのだけど(勧善懲悪の「悪」も誰かが決めてるわけで。このあたりを丁寧に描いてるのが『進撃の巨人』だと思う)、病モチーフなら納得。


↓神話モチーフとの関連性を考察してる。インド神話の話も出てきて面白い。

さらさら読むこともでき、じっくり考察することもできるところが、いいのだろうなあ。

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■ドキュメンタリー

バチェロレッテ \(^o^)/

容姿端麗でセレブな生活を送る独身女性「バチェロレッテ」の結婚相手の座を目指し、個性豊かな17人の男性があの手この手で自身をアピールし、勝ち残りをかける、という「婚活サバイバル」ドキュメンタリー。

「リアル恋愛バラエティって下世話だから観る気しないんだよなー」と思ってる方、前も書いたけど、この(↓)プレゼンを聴いてくだされ…。

たぶん、もともとは「下世話」を楽しむコンテンツとしてつくろうとしてたのか…?って構造なんだけど(進行役のナイナイとシェリーの発言はそういう雰囲気だし、私がシーズン1だけ観た『バチェラー』ではキャットファイトを楽しむ感じがあった)、「バチェロレッテ」が人生何週目なのかっていう深い深い思考で会話する人で、面白い化学反応があちこちで起こって、愛とは何かってことや、人とかかわることで人は変わっていくんだねってことについて、びっくりするほど考えさせられる内容に仕上がってるんですよ…。(ナイナイやシェリーのとんちんかんなコメントに腹が立ってしまうほど。特に一番最後のアフタートーク!!!笑)

「恋愛ドキュメンタリ―ってやらせでしょ」「そんなに簡単に人を好きにならないでしょ」って意見、よく聞くけど、「こんなにじっくり自分の内面に向き合ってくれる人がいたら、そりゃ好きにもなっちゃうんじゃないか?」と思わされる。

すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』の中で、『不倫と結婚』という本の中のこんな言葉が紹介されてた(孫引きですんません…)。

人が不倫のなかに発見する最も魅惑的なものは、新しい相手ではなく、新しい自分自身である

このことは、恋愛関係全般に言えるのかな、と思う(恋愛関係になると、自分の内面の話をじっくりする機会が増えるから。恋愛じゃなくてもそういう人間関係が築けることももちろんあるけれど)。

多くの男性参加者が、萌子さんと話す中で「新しい自分自身」を発見しているように思えた(泣き出してしまう人もいた)。それを「面白い」と思えるか、「怖い」と思うかが、どこまで残れるかを分けたんじゃないかな。(最後の方まで残った人たちは、「面白い」と思えた人たちだったんだと思う)

「怖い」と思っていそうな人の中には、萌子さんを茶化すことでごまかして、内面に向き合うことから逃げてるっぽい人もいた。(藤井さんは、表向きは茶化してる感じにしてたけど、本当は真面目に受け止めてるんじゃないかな…外からみただけじゃ、わからないけどさ…。萩原さんの最後の方向転換は、とても感動した!)

上に貼ったプレゼンでも触れられているんだけど、清田隆之さんの『さよなら、俺たち』を読んでから観るとますます楽しめると思う(同書のレビューはこちら↓)。

本編は、Amazon Prime ビデオで観られるよ~。

■その他

行きたい展示いろいろあるけど、やっぱりコロナも心配なので、控え目に行きました…。

古代エジプト展

めーちゃくちゃ面白かった~ エジプト神話もっと勉強したくなった。
創作のヒントになるからって、図録も買っちまったよ…。
(エジプト神話には、「湿気の女神」っていうのがいるのを初めて知った。変…)以下のあたりが特に面白かったかな。
・両性具有の神がいる。
・エジプト人の理想は、死後の世界でも生前と同じような生活を送ることだった。ただし、棺に自分の代わりに働いてくれる人形を入れておくことで、死後の世界では労働をせずに済むと考えられていた(←ずっと前から人間にとって働くことは苦痛だったんだなと笑った。その頃の労働の方がきっと過酷だったろうけどさ)
・エジプト神話では、いつか世界は混とんの海に戻ると考えられている(永遠に続くようで、そうじゃないってところが面白い考え方…)
・スーダンから入ったとされる「ベス」という神様がへんてこりんでかわいい

神田伯山さんの講談(ボロ忠売り出し) 

初めて新宿末廣亭に行った。
独演会ではなかったので、伯山さん(トリ)の前に落語や演芸、他の方の講談も観られたんだけど、やっぱり伯山さんは圧倒的だったな…。
どうすれば現代の観客にとって面白いものになるか?を考えて、場の空気を読みながら、ナマモノとして演じてる感じが。
(用意してきたものを、よく知っている観客のために演じる、というタイプの演者さんが多いなって感じた。いくら伝統でも、それでは観る人減るよね…業界が衰退するよね…って、伯山さんの苦労を思ったよ…)

↓こちらの本は伯山さんが襲名前に出されたものだけど、彼が業界全体をどうにかしたいと強く思ってるのがひしひしと感じられる内容で、とってもおすすめ。

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