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『The First 90 Days』①転職や昇進した直後にやるべきこと

『The First 90 Days』/ Michael D. Watkins

この本は、役割が代わったリーダーたちに向けた指南書になっている。全く新しい環境下で指揮を執るのはストレスにもなるし、これまでと求められる役割も大きく可能性もある。そして何より、文化や社内政治のギャップに苦しむ可能性が高い。

希望にあふれて転職したはずなのに、望んで昇進したはずなのに、なぜかうまくいかない。そんな経験はないだろうか。こんなはずじゃなかった・・・そうなる前に、この本をお勧めしたい。「転職後・昇進後あるある」を解消するためにに非常な有益な情報を学ぶことができる。

記事タイトルはわかりやすくするため「転職や昇進した直後」としたが、これは多くのビジネスパーソンにとって役立つ本だと思う。転職や昇進はわかりやすく役割変更が求められる例だけれども、それ以外にも自身の役割が変わる機会はいくらでもあるからだ。

たとえば社内プロジェクトの立ち上げがあったとき、他部署と連携を密にとる必要が出てきたとき、あるいは予期せぬ市場変化に伴い戦略が大きく変わったときなど。明確に自分自身の所属や肩書が変わらなくても、自分の役割が変わってしまうことは多々あるのだ(著者はこれをhidden transition と呼んでいる)。

この本を読んでおけば、そうした予期せぬ役割変更への備えになるだろう。また、逆の立場に立って新たに中途採用メンバーや異動者をチームに迎え入れたとき、どのように接すれば円滑に馴染めるかを考えるヒントにもなる。

わかりやすい解説動画を見つけたので貼ります。英語だけど要点を絞って短くまとめられています。

役割が変わったら・・・

たくさんやるべきことが紹介されているのだけれど、特に以下の2つが大切だと思った。

①役割変更によるリスクを予測する
どのような種類の役割変更かによって、想定されるリスクの種類も難易度も異なる。まずは、何に対してどうやって対処するかを考えること。

本書にはリスク予測のためのフレームワークが多く紹介されている。何度も登場するのがSTARSモデルと呼ばれるものだ。これは、組織の状況を5段階に分類したもの。状況に応じて戦略も異なり、戦略によって自分自身のミッションも変わってくる。

たとえば、Start-up段階の組織で求められるのは目標やビジョンを明確化することであったり、素早いリソース確保だったりする。一方で、Realignment段階の組織で求められるのは内部では気づいていないリスクを知らせることや、それまでの組織業績を十分に理解することだったりする。

このように自分に起こる段階移動を理解するだけでも、大雑把にやるべきことを把握することができる。

②最初の90日間における計画をたてる
学ぶべきことは何か?上司やメンバーと良好な関係を築くためには何をするか?情報収集をどうやって行うか?そしてことを緻密に設計していく。

焦らず、より効率的な方法で、大きな過ちを避けるための計画をたてる。30日間隔を目安に振り返りを行い、フィードバックを得て計画の練り直しを定期的に行う。

まとめ

優れた能力を持つ人が、必ずしも役割変更による罠を乗り越えられるわけではない。転職や昇進・異動をはじめとした役割変更には大きな環境変化が伴う。そのときにしたたかな対処ができるかどうかは、リスク予測と緻密な計画にかかっていると思う。

以前、プロ経営者についての記事を書いたことがある。そのときも思ったのは、環境が変わったときにうけるギャップはあまりに大きいということ。文化や社内政治のギャップはもちろん、リソースギャップや知識量のギャップもあるだろう。それらに惑わされた結果、本来の実力を発揮できないのはあまりに辛い。

本書を精読しても、予測できないギャップや対処できないギャップはたくさんあるだろう。それでも、ギャップを想定しリスクを軽減することはできると思う。変化の時代を生き抜くヒントとして十分に活用したい。

本書についてより詳細にまとめたいので、後日別記事を複数たてます。自分自身の経験も踏まえながら考察していきたいと思います。


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