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プロセスマップに対する、ネガティブな反応への対処を考えてみる。

以前ご紹介したこともあるように、プロセスマップを作成することはほとんどの組織にとって有効です。

プロセスマップを作成することで、業務の全体像を知ることが容易になりますし、改善すべきプロセスの議論もしやすくなるからです。

これはBPMNという手法をもって描かれたプロセスマップです。プロセスの関連と分岐を図示した、まさに「業務プロセスの地図」となっています。

しかしプロセスマップを作ってみると、「こんなものを作る必要なない」という反応をうけることも多々あります。(プロセスマップに限らず、新しいアイデアや概念の導入時には一定の人々に反対されるものですが・・・)

今回はそうしたネガティブな反応のうち、よくあるパターンを紹介し、対応策を考えてみます。

よくあるネガティブ反応①
「こんな当たり前のこと描かなくてもいいじゃん」

非常によくある反応です。特にベテランなど実務の経験豊富な層から多い反応です。

彼ら・彼女らは、既に脳内では業務プロセス全体像を理解することができています。そのため、わざわざ業務プロセスを図示するという行動が不要に感じるのでしょう。

「自分たちはプロセスマップなど作ったことはないが、業務プロセスの全体像を理解することができている」という自負があるからこその意見だと思います。

その気持ちは、非常によくわかります。

確かに個人が業務プロセスを理解することだけに重点を置くと、プロセスマップの作成は効率が良くない場面が多々あります。ひたすら実践を繰り返したほうが、知識を獲得するスピードは優るかもしれませんね。

こうした議論のときには、「プロセスマップは個人の業務プロセス理解のためだけに描かれるのではない」ということを伝える必要があります。

プロセスマップの真価は、プロセスに対する共通認識を深め、改善点について議論をするための土台となるというところにあります。

新人や外部の人間であっても、プロセスを共有できるようにすることがプロセスマップの役割です。ベテランから見て当たり前に感じる内容が描かれていることは、むしろプロセスマップ本来の趣旨の通りなのです。

よくあるネガティブ反応②
「資料は自分で作ることに意味がある」

これも多いですね。反論は①とほとんど同じです。資料作成の趣旨を、自分自身が理解することのみに考えるためにおこる主張ですね。

ただしその指摘も間違いではありません。自分でプロセスマップを作ってみるのはよい勉強になりますし、既存のプロセスマップと整合性が合わない箇所に気づくきっかけにもなるでしょう。

こうした主張は受け入れたうえで、複数人でプロセスマップを作成することを提案してみることも一案です。それぞれのプロセスマップを比べて議論することができれば、より望ましい業務の在り方が見えてくるでしょう。

もっとも、組織として承認するプロセスマップは最終的には一つにしておきましょう。複数の類似プロセスマップが存在することは、のちのち混乱の元です。

よくあるネガティブ反応③
うちのプロセスは図示できるほど簡単ではない!

「自分たちのやっている業務は特別だ」「たくさんの例外パターンを図示することなんてできやしない」といった自尊心からくるのがこの反応。

ものごとを複雑に考えてしまう方々に多く見られるようにも思います。

「図示できるほど簡単ではない」かどうかはやってみないとわからないので、そうした主張があっても一旦無視してプロセスマップを作り始めることが重要かと僕は考えています。

このようなケースの場合、プロセスマップを作成すること自体に反対されているわけではありません。「やれるものならやってみなさい」という一種の挑戦状をうけとったようなような状態です。

わかりやすく使い勝手のよいプロセスマップが出来上がったら、あっさりと意見を翻してプロセスマップ推進論者になってくれる人もいると思います。

一方で、重箱の隅をつつくような指摘ばかり繰り返してくる方も残念ながら一定数いらっしゃいます。「この場合の分岐が書かれていない」「このプロセスは正確ではない」などです。

こうした指摘に対しては、あらかじめプロセスマップの目的・粒度・そしてどこまでの例外処理を含めるかを説明しておく必要があるでしょう。

すべてのルールを明確に記載することがプロセスマップの目的ではありません。その前提なくして、良いプロセスマップを作ることは難しいのです。

まとめ

ネガティブな反応を示す方々にもその人ならではの価値観があります。意見が合わないからと言って、勝手に敵対勢力と決めつけるのは得策ではありません。

相手も組織のことを真剣に考えている人間であれば、話し合いによって理解できるかもしれません。その結果、プロセスマップの予期せぬ活用方法が見つかることもあります。

また、プロセスマップを作ることもあくまで手段の一つにすぎません。ほかに良い方法があればそちらを採用しても良いでしょう。相手を理解するために、自分自身が固執しないことも大切だと思います。

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