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僕が紙の本を読む理由と「切断する権利」
僕は紙の本が好きだ。
ひょっとしたら時代に取り残されているのかもしれない。あるいは、数年後には掌を返して電子書籍派に寝返っているかもしれない。
それでも、これまでたくさんの紙の本に支えられてきた事実に変わりはない。今日は紙の本ならではの素晴らしさを語りたいと思う。
一般的に言われている紙の本を読むことのメリット
「紙の本 メリット」で検索するとたくさんの情報が出てくる。
世間一般でとりあげられるのはざっとこんなところだろう。
・紙のほうが所有欲が満たされる
・電子化されていない本も読める
・余白への書き込みができる
・紙のほうが記憶に定着しやすい
・目が疲れない
・ページをめくるのが楽しい
・どこまで読み進めたかわかりやすい
・匂いがする
・風情がある
・読んでいる雰囲気を楽しめる
しかし、僕が紙の本を使う理由は別にある。それらは電子書籍が便利すぎるゆえ、改めて見えてきた紙の本のメリットによるものだ。
僕にとっての紙の本のメリット
① 持ち運ばない選択肢がある
電子書籍のメリットの一つであるポータビリティだが、僕にとっては正直ありがたくない機能である。
起動するたびに複数の本を見せられ、いつでもほかの本に浮気することが許される電子書籍では、今読まなくても良い本の存在を頭から切り離すことが難しいのだ。
僕は典型的なシングルタスク型の人間なので、目の前に複数のタスクを提示されると混乱に陥りやすい。読みたい本が2冊も3冊も目の前に提示されるだけで、「読まなきゃ」と思ってしまうのである。
本当に集中して本を読むとき、一冊だけ取り出して外に出かける。一番集中できるのは電車の中だったりする。それ以外にやることがないからだ。読むべきでない本は持ち運ばないようにしていると言い換えることもできる。
僕にとっての紙の本のメリット
② 本棚の厳選ができる
紙の本のデメリットといわれるスペース問題。しかし冷静になって考えてみると、溢れんばかりの量の本はそもそも手元に置いておく必要はない。読まない本は売るなり捨てるなりしたほうが良いのである。
これを僕は本棚の厳選と呼んでいる。本棚に並んでいるにもかかわらず一年以上出番がない本は、自分にとって不要であるということ。スペースに限りがあるゆえ、定期的に自分にとって必要な本が何であるかを理解しやすい。
電子書籍でも本棚の厳選はできなくはない。ただし、強い意思と覚悟をもって臨まなければ難しい。取捨選択は自発的に行えるほど簡単ではないのだ。
何でも繋がるからこそ切断する権利が欲しくなる
身近なモノがすべてインターネットに繋がる時代が来る。あらゆるところでIoT、5Gという言葉を聞くようになった。
しかし逆説的にではあるが、繋がれば繋がるほどにヒトは切断する権利を求めるようになるのではないだろうか。
わかりやすい具体例だと、フランスでは就業時間以外は仕事メールを「見ない」権利が合法化した。スマートフォンなどのテクノロジーを「切断する権利」だ。これまでにはなかったタイプの欲求によるものだろう。
僕が電子書籍ではなく紙の本を使う理由もここにある。
自分だけの世界を、選ばれし本を、外界から切り離したいのだ。電子書籍は外部との繋がりや広がりを強制する。僕は切り離される権利を望んでいる。
余談 未来からきた先生と「紙の本」
NHK Eテレの朝の番組「シャキーン!」に未来からきた先生というコーナーがあった。(残念ながらもう終わってしまった・・・)
2049年からやってきた二階堂ふみが家庭教師という設定。なんとも羨ましい。。。コーナー中では、二階堂ふみから現代では聞いたことのない言葉を教えられる。(「投げないお茶」「文字作文」「液体目薬」など)
前置きが長くなった。何が言いたいかというと、電子書籍が登場するまでには「紙の本」なんて概念は存在しなかったということ。30年前にタイムスリップして「紙の本のほうが好き」と言ったらどうなるだろうか?
「え、何言ってるんですか?本が紙からできてるのは当たり前じゃないですか~」
「あーあ、なんてちっぽけな常識・・・!未来を舐めてもらっちゃ、困るなぁ」
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