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『チェンジ・ザ・ルール!』既存ルールによる制約を打ち破れ!

『チェンジ・ザ・ルール!』エリヤフ・ゴールドラット 著

長らく続いた『チェンジ・ザ・ルール』の記事もこれで最後となる。今回はようやく、本書のタイトルである「ルールを変えること」の重要性についてまとめる。

既存ルールこそが限界を決める

本書で語られる内容を要約すると、以下のようになるだろう。

新しいテクノロジーを導入したとしても、既存ルールが制約になっている限り、テクノロジーの恩恵をフルに享受することはできない。既存ルールを設定した当初は妥当なルールであったとしても、現在にとっては枷となり、自ら限界を課してしまうことになる。

本書で具体例として説明されているのは、タイプライターがなかった時代の手紙のことだ。この時代では手紙を書くのに時間がかかるし、ミスの修正にも莫大な時間を要した。

そのため当時は責任者が内容の誤りがないかを確認するというルールが存在しても、それが問題となることはなかった。実際、多くの組織がそのようなルールを設けていたのかもしれない。

しかし、タイプライターの登場によって、大きく状況は変わることになる。誰でもすぐに手紙を作成できるし、ミスがあれば修正することも容易だ。そこに「責任者が逐一内容を確認する」というルールがあれば、それは業務の流れを止める制約(ボトルネック)になりうる。

在宅勤務の教訓

もう一つ具体例を提示しよう。こちらは本書では取り上げられていないが、ゴールドラット博士(著者)の教訓が現代でも通じることを示す良い例だろう。

最近、上記の例とほぼほぼ同じケースを目にした。在宅勤務の推進を妨げる古いルールや習慣だ。

テクノロジーによって、人々は働く場所を自由に選択するチャンスを手に入れた。しかし、「ハンコ問題」や既存の勤怠ルールによって、在宅勤務の導入が認められなかった、あるいは恩恵をフルに受けられなかったという人もいるだろう。

印鑑や既存勤怠ルールは誤ったものなのか?現在の視点からすれば確かにそうかもしれない。しかし、それらのルールを最初に設定した時は妥当で合理的な判断から決められたに違いない。

誤ったルールが設定されていたのではなく、新しいテクノロジーの登場によって、ハンコや既存ルールは制約になったのだ。そうした場合には古いルールによる限界はテクノロジーに合わせて取り除かれなければならない。

システム導入時に必要なルール変更とは?

システムは導入することが目的ではない。システム導入前に業務の標準化と古くなったルールとKPIの更新によって、最大の恩恵を享受することができる。

しかし、よくある過ちが既存ルールに合わせたシステム導入を行ってしまうことだ。この場合現場レベルでは満足することができても、経営視点では十分な成果を得られることはほとんどないだろう。

「システムを使うことで何が実現できるのか?」「それによって利益増に貢献するのか?」を考えたうえで、「システム導入後の業務プロセス上で制約になるルールは何か?」を考えることを怠ってはいけない。

余談

ゴールドラット博士の教えを動画で紹介したゴールドラットチャンネルでも、在宅勤務を最大限活用するための方法が語られています。ぜひご一覧ください。

リンク先
https://www.youtube.com/watch?v=Solm142ARZw&t=215s

ちなみに僕はゴールドラットチャンネルの回し者ではないですw


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