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ライフステージの変化

女性同士の人間関係において、ライフステージの変化が関係性に大きく影響することは、もう20代の頃からうっすら理解していたつもりだ。

私が失恋した時に、長く付き合った彼氏と結婚することになったことを後から伝えられた友人とは疎遠になった。
それまでずっとリアルタイムで話を聞き、励ましていた関係性だった。
私はそれをすぐに聞いていたら手放しで喜んだだろうと今でも思うから、そういった余計な気遣いをされたことに傷付いた。
というかその行為が逆にマウントされたような気持ちにすらなったし、
私が心から喜ぶと信じてもらえなかったのだなとも感じた。信頼関係は人間関係の基盤である。

20代は他にも些細なことではあるけれどちらほらと心がぎゅっと掴まれるような経験があったので、
結婚・妊娠・出産の報告はとにかく慎重に、が自分としてのモットーになった。

結婚の時は、スピード結婚だったしコロナ禍ということもあり、一部の親しい友人・同僚のみに伝えた。
その時も、お互い婚活をしていて週に1回は軽くご飯をして情報共有していた異性の同僚に報告時かなり微妙な(失礼な)態度を取られ、
挙式までは義理を通して招待し参列してもらったけれど、その後は関係をフェードアウトした。(彼もその後結婚している。)

幸いにも同性の友人・同僚とは結婚後も変わらずご飯に行くなど関係が続き、ありがたいと思っていた。
ただ、みな30代後半の独身で、仲の良い同性の既婚者および子持ちが私にはいない。
婚活をしている人もいれば、願望はあるものの全くしていない人もいる。
私は33歳の時、当時付き合っていた人と別れとても焦りを感じ活動をしたから、
人によって参考になるものならないものはあるだろうけれど、そういった話になった時は親身に聞き向き合ってきたつもりだ。

けれど、やっぱり妊娠・出産というライフステージの変化はその後の関係に影響があるかもと最近感じることが今月立て続いた。

女性にしか経験できない妊娠・出産、年齢、いろいろと感じるものがあるのだろうと思う。
きっと相手が既婚者であっても、子持ちであっても、お互いに状況が違うのだから内容によってぎくしゃくすることはあるだろう。
だから私は昔から、あまり積極的にママ友が欲しいとも思わない。
ただ片方が結婚しただけではさほど気にならなかった違いが、一方は状況が変わらないまま妊娠・出産にまで至ると、ちょっとわけがちがうのかもしれない。

妊娠の報告は全方位に気を遣ったつもりだ。
安定期に入ったタイミング、産まれるまでは何があるかわからず不安も多いこと。
人によっては不妊治療の話もしていたから、それなりにしんどく大変なこともあったこと。
それでもかすかに感じる何か重たく暗い感情を、私は見逃すことができなかったように思う。

おめでたいことなんだから、心から祝ってとは思わない。
私が逆の立場であれば、先を行く姿にさみしい気持ちやうらやましい気持ち、
もう私とは違うところにいるんだという感情が沸くかもしれない。
これから先、今までのように会えなくなる期間もあるだろう。

でも、私は相手の抱える人生の課題を妊娠報告に返報する形で突き付けられたような気がしてしまった。
それが心地の良いものかと言われると、やはりそうではない。

やっぱり難しいな女性同士の人間関係って、と改めて感じた。
と同時になんだかさみしい気持ちにもなった。
それぞれが納得する人生を送り、幸せに過ごして欲しい。
その気持ちはいつでも持っているけれど、時期によっては疎遠になることもあるのだろうと覚悟した瞬間だった。

でもね、ここに至るのだっていろいろあったのだよ、と。
20代からたくさん恋愛をして失敗したし、もう自分は一生一人なんだと思った時もあった。
だから趣味に走ったし、登山という没頭できるものを見つけた後は毎年目標を立て達成し、楽しく自分なりに過ごすことを意識した。
その中での出会いでもいろんなことがあったし、傷付くこともあった。
最終的に婚活を意識し、夫に出会えた時は半信半疑で、またうまくいかなくなって失敗したと周りから思われたくなくて、
結婚の報告を直前にした人もいる。
結婚してからは夫婦や家族という関係性に向き合い、学びも本当に多い。
不妊治療は喧嘩の元になることもたくさんあった。夫婦としての試練でもあった。
私なりに悩み向き合い、努力し失敗し、生きてきたつもりだ。

でも、妊娠・出産という圧倒的におめでたすぎる事象は、そういった相手の背景をも白飛びさせてしまうのだろうか。
なんだか久しぶりに孤独を感じたのであった。

けれどきっとこれからは、子どもを介した新しい世界があって、予期しない出会いや気づきがあるのだと思う。
妊娠中はきっと自分自身も移行期間なのだろう。感情の変化を味わえるくらいの心の余裕を持ちたいと思った年の瀬であった。

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