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プロが教える「本物の食材の活かし方」それは間違えた食費の節約方法です。

 ご家庭で、毎日の食費を出来るだけ抑えたいと考えるのは当然のことですが、その方法に大きな間違えがあることに気づいてない方がとても多いと感じます。
 そこで、今回は少し違った角度で考え直すだけで、お金をかけずにもっと豊かな食卓にすることができることをお伝えして、多くの人に喜ばれる食材の購入の仕方を提案したいと思います。
 
 この提案は、飲食店でも全く同じことが言えますが、今回は、ご家庭でいつも食事を作るお母さんたちに向けて書いてみようと思います。
 文章にすると当たり前のことなんですが、ほとんどの方がなぜか、全く気づいていないことです。
 
 少し長文ですが、ご家庭の食卓がもっと華やかに、本当の意味での無駄のない食費になるように、是非、この記事を読んでみてください。

1.  材料費を安く抑えるポイントは3つ

 1) 本物の食材を使う
 2) 高価な調味料を少量使う
 3) 余計な食材を省く
 安い物で食費を抑えるのではなく、本物を使うことで不要なものを省き、食費を抑えます。
 料理の味が格段に上がるのはもちろんですし、ご家族の健康と食育の観点からも、この方法をしっかり理解していただきたいのです。 

今回は、カルボナーラのレシピを例にあげます。 
こちらは、あるレシピサイトに載っていた、ご家庭向けの人気レシピです。

【 カルボナーラ 1人前 】

レシピ1

スパゲッティー100g   27円 
塩         2g      0.4円  
ベーコン    80g   280円  
玉ねぎ    1/4    13円
卵黄                  2個       40円  
生クリーム        50ml         112円
粉チーズ             8g            42円
すりおろしニンニク 小1  0.8円
オリーブオイル   少々  28円 
黒胡椒      少々    2.5円  
 

        合計 547円 
 この材料をスーパーで一番安いもので揃えた時の値段です。
 


今度は、同じスーパーで比較的高い食材を買って、その値段を書き加えてみます。

スパゲッティー 100g   
       27円 → 50円
 (デチェコのパスタを使用)
塩    2g    0.4円 → 0.7円
 (自然海塩を使用)
ベーコン 80g  280円 → 334円
(添加物の少ないもの)
玉ねぎ  1/4   13円 → 18円
 (少し高価なもの)
卵黄             2個 40円 → 60円
 (少しいい卵) 
生クリーム 50ml 112円→135円
 (脂肪分の高いもの)
粉チーズ 8g  42円   → 22円
 (パルミジャーノ・レッジャーノのブロック)
 ★かえって安くなってますが、後ほど解説
ニンニク 小1  0.8円 →32円
 (国産のニンニク)
味付け塩コショウ0.5g 1円 → 該当なし
オリーブオイル 少々 28円 → 50円
 (少し高価なもの)
黒胡椒  少々    2円 → 3円 
 (マレーシア産の高価なもの)
合計 704円


このようになりますね。

 確かに、高級な食材を使うと食費が高くなることになります。

(ちなみに高価な材料でこのレシピ通り作ると、くどい味になり、全く美味しくありません。)

しかし、ここからが本題なのです。

2.  旨味・コクを出すために必要ない材料が入っている

 このレシピでは、いろんな材料が入っていますが、普段より少し高い本物の材料で作ることで、必要ない食材が出てきます。
 一つ一つ解説しますが、必要のない食材は、以下です。

玉ねぎ、生クリーム、すりおろしニンニク、味付け塩胡椒

★玉ねぎ 
 
本来はカルボナーラに必要ない食材ですが、ある程度炒めて、甘みを引き出して使う家庭用レシピが多いです。

★生クリーム

 これも生クリームの脂質で甘味、コクを出すためです。

★すりおろしニンニク

 これも同じように、旨味とコクを足すために必要としています。

★味付け塩胡椒

 本当によく家庭に普及していますが、アミノ酸などの旨味が添加されている塩と胡椒がブレンドされたものです。
 これもまた、旨味を足すために必要としています。 
 筆者は特にこの類の調味料を使うことをお勧めしません。
 
 (理由を書き出すと、1万文字以上になりそうなので今回はやめておきます。)


 本物の食材を使うことで、食材そのものの旨味・コクがかなり増え、少量でもその素材の旨味が十分に出ることで、使う量を確実に減らすことができます。
  
安いものと本物の食材で、圧倒的に差が出る食材は以下です。

スパゲッティー、ベーコン、塩、オリーブオイル、黒コショウ、粉チーズ


★スパゲッティー 
 安価なものと比べて、良質のセモリナ粉と水を使っているパスタは香りに差が出ます。

★粉チーズ 
 
 この食材が一番差がでます。
 家庭では、なぜかものすごく使われてるパルメザンチーズですが、本物の食材であるパルミジャーノ・レッジャーノとは全く別のチーズです。(ペコリーノ・ロマーノもいいですね。)
 

コストコなどですと、もっと安く買えます。

参考:パルメザンチーズとパルミジャーノレッジャーのとの違い
 

 パルミジャーノレッジャーは特にブロックで買うことで、粉チーズよりも安いこともあります。
 
 このチーズは熟成期間が決まっており、それをクリアした香り高いもので、味も風味も全くレベルが違うので、少量でコクと旨味が出ます。
 
 ブロックで買っては、量が多すぎるとお思いかもしれませんが、今一歩の粉チーズをいろんなものにかけるのなら、本物の食材を使ってみてください。
 パルミジャーノは、そのまま食べても最高のおつまみの一品になります。


★卵
 
 一個20円の卵と30円の卵、値段は1.5倍になりますが
味は、倍以上の差がです。
 卵自体の甘味が全く違い、使う量を減らすことができます。
 ここまで美味しい卵なら、卵黄だけにしなくても、十分美味しいソースに仕上がるので無駄もなくなりますね。
 
 カルボナーラは、ほとんどが卵とチーズですので、ここを本物にすることがとても大事です。
 

★ベーコン
  
 本来カルボナーラは、グアンチャーレやパンチェッタを使いますが、そこまででなくとも、いつもよりいいベーコンを選んでみてください。
 一番安くスーパーで売られている添加物だらけのベーコンよりも少し高価なちゃんとしょっぱいベーコンを使うと、良質の甘味のある脂で非常に満足度は高いものとなります。
  とにかく肉をたっぷり入れて、育ち盛りのお子さんを満足させたいという気持ちもわかりますが、本物の食材の味、香りで満足していただく方向でもぜひ検討していただきたいです。
 
 ★ 塩
  
 スーパーで安価に売られている、精製塩は科学的に作られた塩化ナトリウムです。
 自然製法で作られた少し高価な岩塩・海塩には、ミネラルと旨味、コクが塩に含まれています。
 
 パスタを茹でるときに入れる塩まで高価ですと大変かもしれませんが、味を決める時の塩だけでもいいものを使用してみましょう。
 
(いいベーコン、チーズを使うと、塩はほとんどいらないこともあります。)

 
★オリーブオイル
 
 一番安いオリーブオイルと高価なものとは特に差が大きくなりやすい調味料です。
 
 500ml で300円のものと900円のものでは、価格は3倍ですが、エクストラヴァージンで高価なものは、香り高く、果実感もあり、大さじ1杯入れるところを、3分の1以下の量でも、料理自体の豊かさが十分出るほどの最高のオイルです。
 ( 火を止めてからかけてくださいね。)
 

違いが分かりやすいオイルです。


★黒胡椒
 
 安く売られている、あらかじめミルされた胡椒ではなく、原型で売っているものを挽いて使ってください。
 オリーブオイル同様に、ちょっとかけただけで、数倍の香りが楽しめます。

 マレーシアのサラワク産など高価な胡椒を試してみてください。
 

 このことからわかるように、安いだけで、食材の個性がないものを多く使ってしまっているのです。
 食費を抑えるために選ぶ一番安いものは、安く販売することを最大の目標にして作られた、それなりのものであること忘れないでください。
 そして、今一歩の味の大量生産された食材、調味料が昭和の時代に家庭、お店に浸透してしまっており、それを使う癖がついてしまっているのです。




3.  考え方のポイント




安い食材・調味料を買う。

    ↓
素材そのものが良くない。
    ↓
旨味、コクが足りない。
    ↓
それ補うために材料が増える。
    ↓
結果、余計に高くなる。

この考え方を元に少し高価な本物の食材、調味料にすることで、必要のない食材が多く入ったレシピを省くことでもっと美味しく安く作ることができます。

 
すると、以下のレシピのようになります。

レシピ2
スパゲッティー100g  デチェコ  50円
塩  1g      自然海塩  0.4円
ベーコン50g 少し高いもの 215円  
卵黄  2個   少し高いもの  60円
粉チーズ 30g パルミジャーノ 80円
オリーブoil 5cc →EXヴァージン25円
黒胡椒 少々 マレーシア産  3円

すりおろしニンニク 不要
味付け塩コショウ  不要
玉ねぎ       不要
生クリーム   不要

合計 433円

このようになります。
高級食材は、高いですか?

結果的に安くて美味しいものが作れることになります。
ぜひ、試してください。
 味も食費も雲泥の差になることがわかると思います。
筆者が好きな落合氏のレシピ

和食では差がわかりやすい本物のみりん (ソーダ割りでも美味しいです。)

4.  まとめ

1 本物の少し高価な食材、調味料をを使う
 
 普段通っているスーパーで構いませんので、いつもより30から50%高いものを購入して揃えてみて欲しいのです。
 
 また、便利だったり、昔から使っているからといった理由で、安く見えてるだけで高いものを買ってしまっていることが本当に多くあります。
 パルミジャーノ・レッジャーノ
  粉チーズの3倍美味しくて、値段も安いお店があります。

 小さいブロックで買って、すりおろして使ってみてください。
 省かれた玉ねぎを炒める手間を考えたら、そんなに手間ではないはずです。 
 マレーシア産の胡椒
 
  瓶代も支払うことになる卓上の小さいものではなく、50gの袋入りを試し
 てください。 賞味期限も長く、風味は倍以上です。

2 本物は高価である意味があります。
 なぜ高級なのか? それは、余計な添加物が入っておらず、少量でも効果があるからです。
   また、その素材そのものの成分に旨味が含まれ、本当の美味しさが伝わる食材なのです。
 もちろん、ただ高ければいいというわけではありません。
 手始めにいつも買っているスーパーで、三番目に安いものを使うところから始めてみてください。それでもその調味料・食材のの良さはわかるはずです。

3 余計なものは省く
 いい材料を使うことで、余計な材料を使わない
 そして
 シンプルに調理することをこれを心がけてください。

 サラダもいろんなものが入ったドレッシングを買うのなら、
 高価なオリーブオイルと塩、胡椒、レモンだけで試してみてください。

 せっかくのいい材料を揃えても、色々手を加えすぎたりすることで、
また、余計な材料が必要になり
 少しマヨネーズを入れる。
 味付け塩胡椒を入れる。
 
こんなことになってします。

しつこいようですが、これらは、食材がそもそも美味しくないのです。

 そしてこのような、旨味を出す調味料を何でもかんでも使っていると、どれも同じ味の料理になり、食材の良さ、特徴を知らない子供達がどんどん増えていってしまいます。

すこし大袈裟な言い方になりますが、食育の観点でも

 日本の食文化のレベルは、家庭料理のレベルにかかっているのです。

ぜひ、参考にしていただければと思います。


飲食業は最高に幸せなしごと。