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<読書録:21世紀の啓蒙②>~問題は貧困であって格差ではない~

目次-------------------------------

・「啓蒙主義」人が生きる意味とは?
・問題は貧困であって格差ではない
・農業技術の革新の不当な認知と攻撃がなぜされているのか
・温室効果ガスと環境問題
・なぜ人は正しく認知できないのか
・平和と富と民主主義の関係

<問題は貧困であって格差ではない>

■不平等は本当の問題ではない

人類の進歩という観点から不平等を理解するには、<所得格差は幸福を左右する基本要素ではない>と認識する必要がある。

不平等は道徳上好ましくないわけではない。好ましくないのは「貧困」である。長生きで健康で、楽しく刺激的な人生を送れるならお隣さんがいくら稼いでいても、どれほど大きな家に住んでいても車を何台ももっていても、道徳的にはどうでもいい。「誰でも同じだけ持つことが重要ではない」道徳上最も重要なのは「誰もが十分に持つこと」である。

つまり問題は不平等そのものではなく、私たちが経済的不平等に対して偏狭な見方をしかできなくなることにある。

■裕福な人は本来の取り分以上のものを他人から奪っているという考え方の誤解。

以前、人は自分より裕福な同国人を意識するあまり、自分がどの程度恵まれてるか?は関係なく、心の中の幸福感のメモリをリセットしてしまうと考えれられていた。

しかし実はこれに反して、単純に裕福な人は貧しい人より、豊かな国の国民は貧しい国の国民より、平均的に幸福感が高いことがわかっている。

不平等と幸福度の相関は疑似相関であって、因果関係ではない。

発展途上国において、格差は人々の気力をくじくものではなく、逆に鼓舞していて、不平等な社会の方がかえって人々の幸福感が高いという結果も生じている。

貧しく不平等な国で人々がどれほどの羨望、ステータス不安から不満を覚えるとしても「希望」がそのすべてを凌駕する。

不平等はそこにチャンスがある証しであり、教育その他のルートで上を目指せばいつか自分も報われる証しと捉えている。

■とはいえ豊かな国ほど幸福を感じやすい。

携帯電話1台ことに発展途上国のGDPが3000ドルずつ増えるという統計もある。

国民所得は人類の繁栄を示すあらゆる指標と相関している。わかりやすいのは一人当たりGDPと寿命、健康、栄養との相関関係だろう。

平均的には、豊かな国ほど互いに戦うことが少なく、内線状態に陥ることも少ないまた民主主義を採用してこれを継続し、人権を重んじている。豊かな国民ほど男女平等、言論の自由、ゲイの権利、参加型民主主義、環境ほぼといった開放的なあるいは自由主義的な価値観が大事にされている。そして豊かな国ほど国民は幸福を感じるようなり、豊かな国ほど国民が賢くなる。教育が行き届く程、争いが減る。

※もちろん相関関係は因果関係ではなく、そこには教育、地理、歴史、文化といったほかの要因も関係しているだろう。

■富が増大し貧困は減少した。

「貧困に原因はないが、富には原因がある」

一人ひとりがここまで豊かになったのはここ100年程度の話である。元々は貧困が通常の状態であって、理解すべきなのは、「そこからどうやって富は創造されているか」なのだが、その点が現代社会では見えにくくなっている。富の分配ばかりを論じ、分配すべき富がすでに存在することを前提にしている。富は金鉱脈のように昔から存在しているものではない。人類はその分配をめぐって争ってきたのではない。

富は知識と協力によって生み出される。(富の創造の仕方については繁栄のパラドックス参照)

■貧困からの脱出に成功した3大イノベーション

①産業革命

②科学の応用と制度(縁故主義から開かれた経済へ)の構築

∟発明の才能のある人が、これまでになかった商品を後半して、市場に投入したり、安く作れる人が値段で勝負したり、引き渡しまで時間がかかるものの代金を先に受け取ったり、歴を見込めるものが何年も先という設備や土地に投資したりできるようになった。

③価値観の変化

∟神への畏怖から、より心理学的に方向づけられた自分本位への転換。どうしたら救われるのか?から、どうしたら幸せになれるのか?という現実的な問いに置き換えた。その中で個人と社会を適応させるための新たな習慣が登場したと告げたことになる。新たな習慣には、歴史や倹約や自制といった規範や過去志向よりも、未来志向の考え方生まれ、兵士や司祭や廷臣のみならず承認や発明家にも尊厳と名声を求めることなどが含まれていた。

■不平等と不公正を混同してはならない。

人は分配方法が「公正」だと思えるかぎり、分配結果が均一ではないほうを好むことがわかっている

人は国が「能力主義社会」である限りは経済的不平等を受け入れるが、国が能力主義社会だと感じられなくなった時には怒りを覚える。人は格差の存在そのものは受け入れていても、格差の原因について耳にすると穏やかではいられなくなる。

■戦争が生む所得平準化の罪

大規模な戦争は所得分布の平準化をもたらすことが多い。戦争は富を生む資本を破壊し、インフレによって債務を帳消しにし、富裕層に高い税率を飲ませ、その分を政府が軍人と軍需産業労働者に再分配しその結果それ以外の分野の労働需要が増大し、格差縮小につながる。

が、「全体を引きずりおろして貧しいほうに合わせる所得平準化である」これは大惨事の一つである。

■グローバル化の敗者は

先進国の下位中間層。昨今の格差問題の中心にいるのはこの人々でつまり先進国の空洞化した中間層であり、トランプ支持者であり、グローバル化に置き去りにされた人々である。

※だがこの人たちも所得増加率が緩やかなのであって、生活水準が低下したわけではない。

優先すべき課題は経済成長率を上げることで、それができれば誰にとってもパイの取り分が大きくなり、再分配に回せる部分もおおきくなる。



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<読書録:21世紀の啓蒙①>~「啓蒙主義」人が生きる意味とは?~


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