1期生が卒業しました
こんにちは、NPO法人三徳の広報、Sです。
先日、三徳が支援する子どもたちの卒業式がありました。
彼らは株式会社三光ホーム(三徳の代表理事、豊崎の経営する工務店)でアルバイトをしていました。
もともと、三徳の事業は株式会社三光ホームが児童養護施設の子ども達をアルバイトとして受け入れ始めたことにあります。
いわば彼らは三徳の1期生です。
アルバイトを始めてから2年が経ち、彼らもついに卒業です。
1期生は3人いますが、それぞれ卒業後の進路が決まり、引越し先の目処もつきました。
1人はお金を貯めて進学し、1人は大工現場で学んだ知識を活かしてホームセンターに就職します。
そして、もう1人の子どもも就職が決まりました。
彼は最初、三光ホームのアルバイトを無断で欠勤する事が多くあり、ある時期からアルバイトに来なくなっていました。
ですが、彼は勇気を振り絞って、もういちどアルバイトをスタートしました。
これは、彼の人生の中でも大きな出来事であり、彼が自分で手に入れた財産でもあります。
学習性無力感
心理学の言葉に「学習性無力感」というものがあります。
簡単にいうと、「嫌な状況が続くと、自分からそれを改善しようという気持ちになれなくなる」というものです。
これは誰しもが持ちえるものですが、児童養護施設の子どもたちも例外ではありません。
この感情を強く持ちながら社会に出ると、仕事や生活の面で大きなハンデになってしまいます。
小さな成功を積み重ねる
学習性無力感を克服するには、成功体験を得ることが重要です。
それは必ずしも大きなものである必要はなく、人によってはアルバイト先に遅刻せずに行くことだったりします。
彼にとって、一度行かなくなったアルバイトに復帰するのはとても勇気が必要なことだったのでしょう。
私たちも、もし職場を無断欠勤し続けて、ある日突然出勤するとなると勇気がいりますよね。
色んな葛藤があるなかで、彼は再び出勤する道を選びました。
もちろん、三光ホームの人たちは暖かく受け入れます。
自分が勇気を持って行ったことを周りの大人が認めてくれる。
これも一つの成功体験であり、彼にとって大きな壁を乗り越えた瞬間です。
社会で自立する力を養うとは、ただ仕事の技術を学ぶだけではなく、こういった体験を通じて自信を育んでいくことでもあります。
区切り
今回、子ども達を受け入れて、無事に見送ることができました。
ある子どもが「ワクワクと不安が半々だ」と言っていました。
彼の口からその言葉が出ただけで大成功です。
これで、受け入れスタートから卒業までを通して経験することができました。
子どもたちを受け入れる流れが分かってきたので、次はもっとスムーズに受け入れができると思います。
また、このノウハウを他の受け入れ先企業に展開する事もできてくると思います。
彼ら1期生の頑張りは、三徳の活動の指針でもあります。
三光ホームでは引き続き高校生のアルバイトを受け入れています。今回卒業した1期生に続き、今は2期生が1人、働いています。そして、春には3期生が2人入る予定です。
まだまだ微力ですが、児童養護施設で過ごす子どもたちの現状を良くしていけるよう、引き続き活動していきます。