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tomekantyou1
400字のショートショート
【木製の営業マン】
おれは営業で歩き疲れ、公園でベンチを探していると、そのベンチに妙なオブジェを見つけた。
スーツを着た木製の人形だ。
傍に行き、スマホで撮影しようと画面を向けた。
「やめてもらえますか」
向こうを見ていた人形の首が、くるりとこちらに向いて、そう言った。
話を聞くと、木星から来た営業マンらしい。木星だから、木製なのか? どうも信じがたいが……。
彼はアタッシュケースを開いて、木星の事務用品を勧めてきた。すべて木製だ。
「いかがですか。お安くしますよ」
何か騙されているような気がして断った。
「実は僕も営業マンなんです」
「へぇ、ぜひ商品を見せてください」
おれもアタッシュケースから自社の新製品を一つ勧めた。
「これは、地球に来るときに使うと重宝しますよ」
「使い方は?」
「その伸びた鼻を削るんですよ。ウソがバレないようにね」
数日後。木星から『鉛筆削り』の注文が殺到した。
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