風邪をひいたときに読む本
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風邪をひいたときに読む本

この春は、何度も風邪をひいた。

4月から保育園の新学期だったこともあってか、子どもがよく風邪をひいて、仕事でバタバタして免疫力が落ちていたわたしはそれをことごとくもらってしまったのだった。

接着剤なみにベタベタのママっ子の子どもを夫が「みてるから、ちょっと休んでなよ」というので、寝室で横になる。いつもは結構クールな愛犬も根はやさしいので、昼間から横になってたりすると心配して一緒に寝てくれる。トイレもお風呂もついてきてくれる。うれしい……。

もうひとつうれしいのが、だらだらしながら本を読めること。でも、なんだか物語は読みたくなくなる。それよりも、だれかの日常について読みたい。漢字やカタカナやalphabetではなく、ひらがなが読みたくなる。そして、風邪をひくと食欲が減退するたちなので、ほのかにお腹が空くものがいいなと思う。

最近読んだのはこの3冊でした。

『日々雑記』 武田百合子​

武田百合子と大島弓子は、風邪をひいたときに手を伸ばす率が一番高い。『富士日記』も大好きだけれど、読み始めるととまらなくなるし、わんちゃんを亡くすところを読むと動揺してしまい、体調が悪いとほんとうに辛い気持ちになる。『犬が星見た』は、所有している旧版の字が小さくてベッドで読むには不向き。なので、体調が悪いときは『日々雑記』と決めている。

新年の描写から始まるのがすがすがしい。あとがきにもあるように、天真爛漫で天衣無縫な視点、文章がとてつもなくチャーミング。武田百合子の澄んだ瞳で世界を見たいなあといつも思う。夫・武田泰淳を含め、いなくなった人たちに奉げられたこの日記を読んでいると、日々まわりにある何気ないものがきらきらと輝いて見えるようになる。できたての海苔をわさびと食べると美味しいと教えられ、慌てて家に帰ってご飯を炊くエピソードが好き!

『サバの夏がきた』 大島弓子

これと、『サバの秋の夜長』は大島弓子作品の中で一番好きかも。少なくとも読み返し率は一番高い。

後に続く猫エッセイ『グーグー』、『キャットニップ』では猫たくさんだけれど、この頃はサバさんとふたり暮らし。『綿の国星』を描いているときは猫を飼ったことがなかったというのにいつも驚かされる。あんなに猫らしい猫をたくさん描いていらっしゃるのに! 風邪を引くと大根飴とか作りたくなって余計疲れる話とか、鋭角の夢を見る話、めちゃくちゃ共感。

玄米ご飯を炊いたり、ちょっとした小鉢をたくさんつくってみたり、サバとふたりで食べたりという暮らしぶりを読んでいるだけですご〜く楽しくなる。大島弓子さんの生活というか生きる姿勢は、『サバ』を連載していた1980年代から『キャットニップ』の2020年代までほとんど変わらない。だけど、周りの人のなんだか羽振りのいい様子から「バブルか〜」と思ったり(サバ)、アシスタントさんのお洋服から90年代を感じたり(グーグー)できるのがまた好き。

『文豪春秋』 ドリヤス工場

夫は、わたしが風邪で寝込んでいると必ず漫画を買ってきてくれる。たぶん「少しは目を休ませなさいよ(でも活字中毒だから読まないのは無理だよね)」というメッセージが込められている……のだと思う。

最近一番嬉しかったのは『文豪春秋』でした! 完全に水木しげるの世界なイラストにひとめぼれ(水木しげるオタク)。日本文学案内の書籍はこの世に数多あれど、この作品は菊池寛が案内人として登場することもあり、「それ書く!?」みたいな面白い小ネタが満載で、一風変わった雰囲気。

読んでいるとちょっと元気になり、明日は回復していることを信じて目を閉じるのでした。

みなさまのおすすめの「風邪本」はなんですか?😊

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