『ブードゥーラウンジ』への道(〝福岡音楽シーンの重鎮〟ボギー氏インタビュー 2020.02.07)もくじ

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 私がTwitterなどで時々〝福岡音楽シーンの重鎮〟と形容しつつ言及する、〝ボギー〟こと奥村ナントカ氏(昨年末の飲み会で「誰も覚えてくれないんですよ」と云いながら下の名前を説明するのを私も1度聞いたのだが、たしかに覚えてない)へのロング・インタビューである。
 同じ福岡で、ジャンルは違いつつも長年ずっと活動し続けており、しかも知り合ってその界隈に入り浸ってみると、ボギー氏の周囲に集まっているミュージシャンたちと、私の周囲にいる主に政治系・思想系せいぜい演劇系の人々とは、そのヘンタイ度が志向性まで含めてかなり似通っていて、つまり極めて〝まっとう〟であるがゆえに日本の各界のFラン状況においては結果として異端になってしまうというメカニズムであろう、〝なんだ、同類だったんじゃん〟という気がしてくる。
 これは1度、ちゃんとボギー氏の来し方をじっくりインタビューしてみなければならぬと前々から思い、〝そろそろ……〟と考え始めていたところに鹿子裕文氏の『ブードゥーラウンジ』(ナナロク社・2020年1月)が出た。読んでみると、ボギー氏のこれまでの活動について、ほとんど全部書いてある。しかも超絶に面白い。これは参った。私がわざわざ改めてインタビューする必要もない。とにかくみな『ブードゥーラウンジ』を読みなさい。以上。……で終わってもいいぐらいの大傑作である。
 がまあ、それはそれ、これはこれ。私がインタビューすれば、話の流れで、『ブードゥーラウンジ』にも登場しないエピソードも多少は出てくるだろう。それに『ブードゥーラウンジ』では、〝どちらかと云えば〟だが、福岡の(鹿子氏の本が出たことで今後有名になる可能性もかなりあるが、現時点ではとくにまったく有名でも何でもない)ライブハウス「ブードゥーラウンジ」で、ボギー氏の主催で日々繰り広げられている大小無数のヘンテコ音楽イベントの模様や、それに関連するボギー氏(とその家族)の物語に焦点が当てられている。「ブードゥーラウンジ」を拠点とする以前のボギー氏の活動にもそれなりの分量で触れられてはいるが、メインは、「ブードゥーラウンジ」で日々繰り広げられる乱痴気騒ぎと、そこに群れ集う音楽的ヘンタイたち(このところ「劇団どくんご」福岡公演などで幕間ゲストを務めてもらっている脱力系悪魔デュオ「カシミール・ナポレオン」や、ボギー氏の弟で第7回外山賞ミュージシャンでもあるオクムラユウスケ氏、さらには外山の90年代前半の「日本破壊党」時代の同志で当時から音楽シーンでも活動していた藤田進也氏なども大きく登場する)の人間模様である。
 では私は、そこに至る以前のボギー氏の苦闘に焦点を当てる形でインタビューしてみよう、と考えた次第である。
 とはいえ例によって私のやるインタビューはその場の成り行き任せではある。『ブードゥーラウンジ』と重複している部分もかなりあろう。併せて読むべし、という話である。

 その1(原稿用紙26枚分・うち冒頭10枚分は無料で読める)
 中学生時代すでに超売れっ子マンガ家
 〝報酬〟のエロ本をめぐって……
 遠藤賢司ショックで音楽に転向
 〝ギターの弦〟は楽器屋にあるとはつゆ知らず……
 バンド・ブーム直撃世代
 異常なラインナップのレンタルビデオ屋
 同時代のメタルやハードロックには背を向けていた

 その2(原稿用紙27枚分・うち冒頭10枚分は無料で読める)
 ユーロビート全盛期のビートルズ派
 チンピラ未満時代の長渕にハマる
 有名になったら「初めて作った曲は?」と訊かれるはず
 親不孝通りで〝路上シンガー〟を始める
 90年代末、外山とボギー氏のニアミスが?

 その3(原稿用紙19枚分・うち冒頭8枚分は無料で読める)
 路上シンガー時代の甘酸っぱい思い出
 〝伝説のフォーク喫茶〟デビュー
 長谷川きよし事件
 照和レギュラー出演は超〝狭き門〟
 福岡のオルタナ系ロック・イベント「チェルシーQ」

 その4(原稿用紙19枚分・うち冒頭8枚分は無料で読める)
 ヨコチンレーベル、誕生!
 ジャンル別に棲み分ける音楽シーンをかき混ぜる
 音楽だけでなくあらゆるジャンルの表現を取り込む
 やりすぎて福岡で孤立、東京進出を目指すが……

 その5(原稿用紙21枚分・うち冒頭8枚分は無料で読める)
 〝完全プロ志向〟バンドの異常な特訓
 「30までに音楽で食えるようにならなかったら……」
 野外フェス「総決起集会」

 その6(原稿用紙21枚分・うち冒頭9枚分は無料で読める)
 福岡のシーンごと盛り上げる
 〝めんたいロック〟との継承関係は?
 失われたビラ貼り文化
 〝SNSで宣伝する〟以外に何かないのか?

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