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うちのおでんとは

スーパーの「おでんの具」コーナーがだいぶ自己主張している。
夏も終わり。今日の夕飯はおでんだ。

冷凍庫の中にロールキャベツがあったので(スープで煮込めば良いもの)ついでに入れよう。
しらたきは入れたり入れなかったり。私はがんもどきが好きだけれど他の家族はそうでもないので、入れたり入れなかったり。餅巾着は皆好きだから入れとくか。牛すじもたまには入れとくか。

結婚して10年、我が家のおでんはコレだと自信をもっていえる決まりはない。
外さないのは大根とゆで卵くらい。あとは売り場で目のついた具や冷蔵庫の中の物を行き当たりばったり。

いや、違う。あった、あった。
そういえば、焼き豆腐と茶飯。
いつもおでんに焼き豆腐を入れている。
そしてご飯が、茶飯。昆布と醤油ひとたらしで炊いた茶色いご飯。
この2つだけはいつも同じ。

結婚前によく行った新宿のおでん屋さん「お多幸」
カウンターに並んで、熱燗とお互いの好きなおでんの具を半分こしながら話すのが楽しみだった。
いつも最後に頼んだのが「とうちゃ(とうふ茶飯)」

茶飯の上に、おでんの焼き豆腐を乗せ、さらに熱々のおでんつゆ、刻みネギを散らしたお茶漬けのような一品。
締めにこれを食べると、幸せになれるのでおすすめです。

子供がいるので、今は夜の新宿に二人で飲みに行くのは難しい。
せめて気分だけでもとおでんの時のご飯は昆布と少しの醤油で炊いた茶飯。鍋には焼き豆腐を入れているようになった。
結婚当初から入れていたわけではないけれど、そういえばと何となくが重なって定番になったのだ。

煮物、卵焼き、カレー、みそ汁、どこの家でも作られて、どこの家でも少しずつ違う味になる料理。

私はどちらかというと甘い味つけで育ったけれど、夫はしょっぱい味つけで育ったようで、結婚したての頃は好みの味つけにお互い違和感を覚えたと思う。味つけのことで大喧嘩をした覚えはないが、何となく違和感を覚え何となく一緒にいる時間と思い出が増え何となく歩み寄って、今の味つけが出来上がっている。

どちらかに全部合わせるというより、気づいたらそんな感じになったし、これからもそうやってお互い混ぜこぜになっていくのだろう。
私達の「気づいたらそうなった」で育った娘達が大人になったら、今度は彼女達の「気づいたらそうなった」を作っていくのだろう。
彼女達が誰と生きても生きなくても、それぞれ自分の好きな味を見つけてほしい。

先のことに思いを馳せ、おでんを煮込んでいる。

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