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富山に暮らせば、本が好きになる。

みなさま、こんにちは。フリーライターのmakiと申します。

上の画像は、令和2年11月1日に移転オープンした砺波市立砺波図書館です。
設計者の方の「大屋根の下のワンルームの図書館」という構想が、見事に具現化されていることが分かりますよね。
「本」というものが、もっともっと身近になる場所なんです。

1.富山は、全国NO.2の図書館数(人口10万人あたり)

今の砺波図書館は、国道156号という市内を縦断する幹線道路沿いにありますが、以前は砺波商店街(前号を見てね!)のそばにありました。

その建物が昭和48年に誕生した頃、富山県はすべての自治体が図書館を設置した唯一の県だったそうです(砺波図書館のパンフレットから一部抜粋)。

文化や教育に力を入れている県だからでしょうか、
富山は今、「人口10万人あたりの図書館数」全国第2位でもあるのです(ネット調べ)。
本好き、読書好きを自然に育む環境が整っている県なのですね。

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△窓の向こうが、幹線道路。

2.砺波図書館の林館長と雄川係長にインタビュー!

というわけで、砺波図書館へ。
同館の特徴や魅力などについて、館長の林誠さんと、図書サービス係の係長を務める雄川環さんにお話を伺いました。

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△こちらが、今回インタビューを受けてくださった林誠さん(左)と雄川環さんです。

―砺波図書館の最大の見どころを教えてください。

雄川さん 
複合施設内ではなく、図書館が単独施設であることです。建物が図書館のためだけにあるのは、県内でも珍しいんです。

―単独館ですから、すごく広いですね。

雄川さん 
体育館の跡地を図書館のためだけに使っていますからね。1階をぐるりと回れば、すべてのジャンルの本に出会えます。設計者のコンセプトとしては、エントランス周辺はお話や食事ができる賑わいのフロアで、奥に行くにつれて静かになっていくという形になっていて、一番奥のスペースにはゆっくり本を読めるソファがあります。この動から静へという空間づくりも特徴的ですね。

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△こちらがエントランス。
お話や食事は、新型コロナウイルス蔓延防止のためやや自粛中。

3.砺波の研究資料が満載[インタビュー2]

―いろいろなジャンルの本を所蔵されていると思いますが、特に強い分野というのはあるのですか?

雄川さん 
蔵書数は約26万で、1・2階で13万、書庫に13万を有しています。公共施設ですのでオールラウンダーではありますが、統計上は小説が圧倒的に多く、民俗関係の本も少し多めです。

林さん 
蔵書の中には、松永玉吉さんという方言研究の大家が残された研究書や、郷土史や地方史、中世史を研究された方の蔵書など、個人の専門家が残した文庫が書庫にあり、研究用の資料としては相当充実したものを隠し持っています。隠しているわけではありませんが(笑)。お問い合わせいただければ、専門の司書がご案内しますので、ぜひ。

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―いろいろな本があるのですね。検索への工夫もされているのですか?

雄川さん 
お目当ての本を見つけやすいよう、特に一般書の方ではピクトグラムを使っています。また、蔵書検索サイト「となみっけ!」では、本の予約ができるだけでなく、おすすめの本が10冊ほど表示されます。その内容も固定ではなく、全国の図書館の中で検索数の多いものが表示されるので、全国で人気の本を知ることができるんです。テレビで紹介された本など、思いがけない本が出てきますよ。

林さん
そうそう、大勢の子どもたちに向けて読み聞かせができる大型絵本が充実していることも、当館の特徴です。これからさらに増えるので、楽しみにしてください。

4.いろいろな人の力が宿る[インタビュー3]

―ボランティアの方が活動されているそうですね。

雄川さん 
はい、「図書館お助け隊!」という名前で活動をされています。新図書館の開館に伴い、セルフ貸出機を新しく導入したので、その手続きをサポートしてくださるボランティアの方を募集したのがきっかけ。その時は11〜1月までの期間限定でしたが、「この後もボランティア活動をしたい」という方たちが結構いらっしゃって。本の返却や困っている方に声をかける「美化部」、植栽や草むしり、芝刈りをする「園芸部」、ポップを作成する「広報部」というふうに、今年の4月から3つの部の活動が行われています。

林さん 
砺波市内の方がほとんどですが、年齢は小学生から70代の方まで幅広いですね。昨年の3月末には50名弱でしたが、今も徐々に増えています。こういった形でボランティア活動が継続できているのは、県内でも珍しいと思いますね。砺波市ではそうした施策を積極的に進めています。

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―出張カフェが行われているのもいいですね。

雄川さん
毎週火曜には、エントランス周辺で障害福祉サービス事業所「ワークハウスとなみ野」の出張カフェを開催しています。同事業所の人たちが自分たちの活動を伝える場として、いれたてのコーヒーとお菓子を販売されています。じわじわと人気が高まっているんですよ。

5.新たな出会いの宝庫[インタビュー4]

―改めて読書の大切さについてお聞かせください。

林さん 
子どもたちにとっては、自分の興味を持った本を興味のままに見ることで読解力がつき、想像力も豊かになると思います。また学力向上につながるとも言われていますね。私の子どもたちも、読書のおかげで大学に行けたようなものですから(笑)。また、大人もそうでしょうけど、日々の生活だけで得られる経験だけでは視野が狭まってしまいますが、読書によって新しい世界にふれることで多様な見方が身につき、人生が豊かになっていくのではないでしょうか。そういう経験を多く提供するためには、図書館が利用者の方々にどれくらい近づけるかが大事なのだろうと思います。

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―みんなにとって、どんな存在でありたいですか?

林さん 
当館のコンセプトは、「学びをつなぐ図書館」。利用者と本がつながる、利用者同士が世代を超えてつながる、そんな存在でありたいですね。先日、茶道を学ぶ高校生たちにお茶会を開いてもらいましたが、そんなふうに自分の学びが他者につながる場になっていけば素晴らしいなと思っています。静かに本を読むだけでなく、いろいろな人と思いや願いがつながっていく場所になってほしいと思っています。

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番外編「林誠さんの思う富山のいいところ」

「砺波から富山に向かう時に国道359号で峠を越えたら、青空を背景に立山連峰がそびえ、その下に富山市街が広がっているポイントがあります。あの絶景を生で見られるところですね」

番外編「雄川環さんの思う富山のいいところ」

「お米も果物も魚も野菜もおいしいところ。県外の友だちには、スーパーで売っている昆布おにぎりがおいしいと言われますね」



[ライタープロフィール]

maki

富山県砺波市を拠点にライター、コピーライターとして活動しています。

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