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組織にモチベを介在させない会社は、3流だ。

「仕事にモチベを介在させるやつは、3流だ」

何度も言われ、何度も言ったこの言葉。己の生産性の低さを憂うときに”戒め”のように心で唱え、誰かの行動量が担保できていないときにbotのように伝え続けてきた。

今でも、これ自体が間違っているとは思わない。

会社から給与を支払われている以上、お客様から対価をいただいている以上、それに見合った、ないしはそれを超えるような価値を発揮することは、プロフェッショナルとして”当たり前”のことだから。

しかし、組織を司る者としてさまざまなものと対峙すると、ふと感じることがある。

「人間性を放棄しているのではないか?」

今日は、これについて考えていこうと思う。

人と組織と。

「組織」を検索すると、以下のような定義が弾かれる。

1. ある目的を目指し、幾つかの物とか何人かの人とかで形作られる、秩序のある全体。そういう全体としてのまとまりを作ること。また、その組み立て方。
2. 同じ系統の細胞が集まって一定の働きをする器官。

Oxford Languages

従来の会社で言えば、以下のような整理ができるだろうか。

ある目的:利益の追求
何人かの人:雇用形態を問わない従業員
秩序:定款、就業規則、文化・風土、etc…

利益を最大化するために、会社と契約を結んだ2名以上の人が、社内に存在するさまざまなルールや雰囲気に則って、まとまり続けることが”組織”と定義されていることがわかる。

時代の移ろいと存在意義。

目まぐるしいテクノロジーの発展は、従来の人間同士の繋がりを断ち切り、社会を不安定にし続けてきた。その一方で、物理法則的にも、メンタルモデル的にも、常に引かれ続ける世界で生きる我々は、従来とは異なる形で繋がりを持つようにもなる。

人智を超える速度で進化するテクノロジーによって、その破壊と創造のスパンは連続的に発生し、絶え間ない隔離と接続に晒された我々はより個人として不安定になっていく。

だからこそ、社会全体で叫ばれる。

「リスキリングによって一人でも戦えるように!」
「これからの時代はパーパスが必要だ!」
「よし、他社もMVVを策定しているから自社でも!」
「コーチングによって自分の強みを見つけよう!」

より個人に焦点が当たり、それぞれが生きがいや働きがいを求め、個としての”強さ”や”安定性”を追求する世の中へと移行しつつある。

”あるべき組織”としての要諦

社会の潮流を紐解いていくと、最初に定義した組織としての「ある目的」自体も変容を遂げなければ、成立し得ないことが見えてくる。

個は不安定である。繋がりは断絶していく。だからこそ、組織自体がその課題を解決するための手段であらねばならない。

個の安定性を保てるための場所。
常に繋がり続けられる場所。

しかし、組織の中で封殺される個々人の「感情」たち。

個の安定性を保つための手段が「個の尊重」であるにもかかわらず、もっとも”人間らしさ”が垣間見える「感情」を放棄しようとする。人として繋がる唯一の手段が「共感」であるにも関わらず、その感情と向き合うことを避けようとする。

安定しない時代において、感情によってパフォーマンスが揺れ動くことは当たり前のことであり、むしろ「感情が揺れてパフォーマンスが揺れる」ことに組織として敏感になった方が良い。

”社会の公器”であることを求められる会社組織。
すなわち、社会から求められ、社会に何かを還元するための存在。

不安定な社会。
そこに生きる個人の不安定さ。

仕事をする中で感情が揺れ動き、結果としてパフォーマンスが揺れる。

それは社会への還元機会として捉えるべきであり、見過ごすことや封殺することが、すなわち社会への還元を放棄することと同義とも取れる時代になったということ。

だからこそ組織は、組織を構成するメンバーの「感情」に焦点を当てなければならない。感情が封殺されるような風土を捨て去らなければならない。感情を解放できないような環境を手放さなければならない。さまざまな感情と向き合い、許容し、考え続けなければならない。

いずれもの個人が放棄してきた人間性を、改めて回帰し続けられる努力をしなければならない。それが現代における”あるべき組織”の要諦であると考えられるのだから。


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