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シンプルなルールとシンプルな作りは、面白さの極致

1925年にフィンランドのユシラ(Jussila)社から発売されたベストセラー『コリントゲーム』です。創業者ユッホ・ユシラ(Juho Jussila)氏がデザインして世界に広めました。発売当時から、全く新しい発想のおもちゃとしてヨーロッパで人気を博し、特にイギリスで大流行しました。日本には戦前に伝わり、パチンコのルーツにもなりました。100年近く経った今もなお、基本的なデザインとシンプルな面白さは変わっていません。まさにデザインの力が感じられます。シンプルゆえの面白さがあります。

手前にあるスライド式の細長い板の下に10個のビー玉が入れられるようになっています。ビー玉をひとつずつ取り出し、スティックでビー玉を突いて点数を競います。ビー玉の勢いはスティックを押し出す加減で決まります。ビー玉は釘にはじかれながら転がっておりてきます。釘で囲われたスペースやくぼみに収まると得点になります。

10個の玉を突いて得点を合計し、次のプレイヤーに交代します。最終的に合計点の高い人が勝ちです。単純なようでいて力を加えたり抜いたりする微妙な加減が難しく、なかなか高得点が出せないのですが、何度か繰り返すうちに力のかけかたと玉の動きかたの関係が分かるようになってきます。

子どもどうしや大人とのコミュニケーションが生まれ、グループでの遊びやファミリーでのゲームに適したおもちゃです。ゲームの中に大人が本気で関わってくれることほど、子どもにとって嬉しいことはありません。オリジナルのルールを作っても面白く遊べます。

ユシラ社は、創業以来、フィンランドの木材だけを使用し、木肌の美しい、昔ながらのオリジナル玩具を大切に作り続けています。ユシラ社のおもちゃ作りの理念は、創業者ユッホ・ユシラ氏が教師経験で培った子どもの心の資質への理解に基づいています。子どもには創造的に考える力が潜在していて、その潜在能力を大人の考えた答えを用意し過ぎることで限定してはならないという信念です。また、素材の選択と仕上げが重要だという基本理念があります。

ビー玉がピンに当たったときの、キン、コンという何とも言えない心地よい木の音が、このゲームの面白さとともに魅力を増大させているように思います。また、盤の天然木の木目が何とも素晴らしく、とても豊かな気持ちにさせてくれます。

コリントゲーム
室内遊戯具。わずかに手前に傾斜した逆U字形の盤に,10個の穴をあけ,穴の周囲などに釘(くぎ)を打っておく。盤の右下隅から小さな棒で球を盤上に打ち出し,球が穴に入った結果で得点を競う。欧米でピンボール・ゲームの名で行われていたものを小林脳行(株)が輸入・改良し,〈小林〉の読みをもじったコリント商会から発売したのが最初。1933年―1935年大流行し,後のパチンコの起源となった。出典 株式会社平凡社百科事典マイペディア

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