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精度が求められるブロックを木でつくる理由(わけ)

ブロックのおもちゃと聞いてすぐに思い浮かぶのは、デンマーク、レゴ(LEGO)社の「レゴブロック」「デュプロ」、そして株式会社カワダ(東京都新宿区)の「ダイヤブロック」「ナノブロック」ではないでしょうか? 

「レゴブロック」は、製造誤差の許容範囲が0.002㎜以内に定められているとのこと。1,000,000個の成型をして、標準規格に適合しない数はたった18個程度と言われています。こうした極めて高い精度によって、ブロックどうしがピタッとはまることと、ブロックをはずしやすいことの両方を実現しています。その結果、芸術的ともいえる作品を創作することができます。


こうした精度を要求されるブロックの世界で、木製でブロック作りに挑戦している会社があります。山形県米沢市にあるニューテックシンセイという会社です。電子機器メーカーであるこの会社は、地元の森林資源を活用しようと、木製ブロック『もくロック(MOKULOCK)』を開発しました。本業である精密加工技術に裏打ちされた品質の高さと、自然をテーマとした製品コンセプトによって、2012年の販売開始以来、既に約40か国への輸出実績ができているとのことです。

『もくロック』の大きさは、16㎜×32㎜×13㎜のものと16㎜×16㎜×13㎜の2種類。(ちなみに「レゴブロック」の大きさは16㎜×32㎜×11㎜、「ダイヤブロック」の大きさは16㎜×32㎜×15㎜です)。

『もくロック』には、サクラ(桜:バラ科)、カバ(樺:カバノキ科)、シデ(椣・四手:カバノキ科)、ケヤキ(欅:ニレ科)、ホオ(朴:モクレン科)、カエデ(楓:ムクロジ科)、クリ(栗:ブナ科)、ブナ(橅:ブナ科)、ミズキ(水木:ミズキ科)、スギ(杉:ヒノキ科)という多種多様な国産材が使われています。

細かったり曲がっていたりするため、木材チップに利用するしかない木を材料にしています。また、密集すると陽が当たらず育ちが悪くなってしまうため、間引かれて使い途が少なくなった間伐材も利用されています。

そんなふうに自然の恵みを最大限に活かしながら、高い加工技術に挑み続けています。乾燥が不十分だと歪みが生じるため、樹種によって異なる最適な含水率を追求しています。また厳密な切削技術も磨かれています。



『もくロック』は、無塗装で木の素材感がそのまま生かされています。プラスチックのように大量生産ができない代わりに、厳しい四季を生き抜いてきた独特な手触りがあります。

子どもたちに多種な木に触ってもらい、生物の多様性の素晴らしさに気づいてほしい、そんな願いがこめられているかのようです。


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