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僕たちは社会参加したくないのではなく、むしろ社会参加したいのだけれど。。。

精神病を患ってから、17年たちますが、一般の方からしてみると、「そういう人ってどうやって生活してるの?」と不思議に思うかもしれません。なぜ、そういう疑問が提起されるのかということから考えると、もちろん、それは精神病の人が社会活動に参加できていない実情があるからです。親族などにそういう人が居ても、ご家族が恥ずかしがって多くを語っていないということもあるかもしれません。

とにかく、精神病の人に関する情報や、理解が著しく欠如しているのが、この日本社会です。

日本では「社会人」というと、「社会に貢献できる人」というのが最低条件で、これが健常者とそうでない人の間の壁を高く高くしてしまっています。精神病を患ってしまった人は、「自分は社会のお荷物だ」と思っている人が少なくありません。「自分なんていない方がいい」と思い込み過ぎて、自ら命を絶つ人も居るくらいです。

「社会人」という言葉は、私たちのような、精神が弱っている人にはとてもハードルが高く、到底越えられそうもない、壁となって立ちはだかるのです。

また職場で一度でも精神病が原因で、ミスをしてしまったり、迷惑をかけてしまった人の復帰も大変困難です。そういう方は、心に深く傷を負い、それが原因で離職した人の復職はとても勇気がいるものとなります。周りから見れば「え?そんなことで?」と思うようなことでも、本人からしてみれば、その時に人に与えた迷惑や、その時の周りの反応、対応などが、克明に記憶に刻まれ、たとえ違う会社であったとしても、「仕事」というものをイメージした時に、その時のことがフラッシュバックして結びつき、「私にはできない」と、リトライするのは非常に困難になります。

健常者の人は軽々しく「考えすぎだよ。とにかくやってみたら?」なんて言いますが、その一言は非常に厳しい助言となります。戦争から命からがら逃げ帰ってきた人に、「とりあえずまた戦場に行ってみたら?」と言っているようなものです。「そんな大袈裟な!」と”普通の人”は言ってのけるでしょう。しかし、”こっちサイドの人”は皆そのように感じています。

私たちは”逃げている”訳ではありません。逆に言えば、自分が職場で働いた時に、自分の働きがどのように周りに影響するのかを、誰よりも理解しています。それを理解しているがゆえに、「迷惑をかけたくない」と思っているだけです。

体調がすぐれないことで出社時間に10分遅れてしまう”恐れ”がある。他の人はみんな定刻に出社しているのに、私だけそんなことできない。

普通の人はこれを見たときに、「で?」と思うかもしれません。しかし、これは私たちのような人間からすると、再就職できない立派な理由です。この

「みんなが普通にできるのに、自分だけできない」

ということが、どれだけ辛くて、苦しいことか普通の人には理解できません。これは、自分が普通だったことがある人間であること、そして、この17年間で色んな人に病気を通して向き合ってきたことから、容易に推察できます。

「やっべー、遅刻しちゃった!すいませんでした!!」

と、言ってその場をしのげれば、どれほど楽か。と、皆思っています。しかし、そんな軽率な対応で処理できないほど、私たちは大きな恐怖心を抱えているのです。

「もし、ミスを繰り返してしまったら、、、」

「もし、違うところでつまづいてしまったら、、、」

「もし、体調が悪化して出社できなかったら、、、」

「もし、私のせいで取引先に迷惑を掛けたら、、、」

このような不安が、常にあるのです。

「ごめーーん!許して~!」

と、言って許しを請うことは、その後の行いで挽回する余地のある人の言葉であって、私たちのような「迷惑をかけてしまう」ことが前提にある人には到底出来ない離れ業なのです。

ここまでの話を理解できる人が居たり、共感できる人が居たり、全く興味がない人が居たり、色々いると思いますが、ここに書かれていることは「序の口」です。何故なら、僕は統合失調症と診断されていますが、「軽い方」の人だからです。

しかし、普通の人が触れ合う機会のある精神病の方々は、上に書かれているようなレベルの人だと思います。もし、ここまで読んで頂けたのであれば、是非、これを参考にしてみてください。

私たちのような人間は、決して社会活動をしたくないという風に思っているわけではなく、単純に「迷惑をかけたくない」と強く強く思っているだけです。なぜなら、「生きているだけで迷惑をかけている」と思いがちだからです。

是非、そんな人が近くにいたら、

「そんなことないよ。君がいてくれて嬉しいよ」

という言葉をかけてあげてください。

どうか、温かい社会になりますように。

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