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頑張ることは正義ですか?

精神病と診断されてから17年が経ちます。いろんな経験をして今の僕に至りますが、その間に感じたことを書いていこうと思っています。

日本人は何かあると「頑張ってね!」とか、「頑張ります!」って言って、物事に取り組む癖があります。士気を高める意味で、組織が、「頑張ろう!」というのとは、まったく意味合いが違うように感じます。

組織は常に目標を掲げて、その目標を達成することが大前提にあります。だって、そのために”組織化”しているのですから、それは当然のこととしてまだ理解できます。

目標を掲げた組織は、定められた期間内にその目標を達成するために、メンバーを鼓舞する必要があります。メンバー内でも、ちゃんとパフォーマンスが発揮され、与えられたタスクを満足いくレベルでこなしていく必要があります。

人間はロボットではないので、そんなにずーっと成果を出し続けることはできません。疲れもあるし、少し怠けたいという感情もあるので、自分の限界を見る前に、気持ちが緩むこともあります。

そこで効果を発揮するのが「頑張れ!」という掛け声です。そうやって、プロジェクトを前進させていくのです。しかし、みんながみんなそんな風に頑張れるわけがありません。

そもそも「頑張る」とはどういう意味なのでしょうか。

『忍耐して、努力しとおす。気張る。』

という風にネットには書いてありました。何てマッチョなワードなんでしょう。こんな言葉を気軽に掛け合っている日本人は本当に恐ろしいです。

「頑張ってね!」の恐ろしさ

「頑張ってね!」

最近では少しずつ認識が広がてきましたが、この言葉、精神を病んでいる人には非常にキツイ言葉です。

「うつ病の人には”頑張れ”は禁句です」

的な啓蒙運動がちょっと前にありましたが、そもそもうつ病じゃなくても、頑張る必要ってあるのでしょうか?

精神病で辛い時期をやっと抜け出し、友達とサークル活動をしていた28歳の僕はとてもつらい思いをしていました。「笑顔でいなきゃいけない」、「愛想笑いも必要だ」、「元気な姿を見せ続けなければいけない」そう思っていました。その時まで僕は、辛そうにしている自分を人に見せるのは失礼なことだと思っていました。

しかし、「これ以上無理し続けたら、一生無理をし続けなければならない。そんなことは不可能だし、辛すぎる」と思った僕は、その頃から頑張るのをやめました。

頑張らないと心に決めると体調が良くなった

調子がいい日は普通に接しますが、調子が悪い日は正直に「今日は調子が悪い」と、メンバーに言うようにしました。すると、周りの人も、「今日は調子が悪いんだね」と理解してくれるようになりました。それからは、逆に、体調が良くなって行ったのです。

頑張って体調を良く見せようとしていたのに、頑張らない方が体調が良くなったのでした。

それからは、仕事に関しても、予め持病のことを相談して、しんどい時は休ませてもらったり、どうしてもしんどい時は、退職して他の仕事を探すようにしています。

仕事にも「合う」「合わない」があると思いますが、合わない仕事を無理して続けると、大概体調が悪くなります。それは健康な方でも同じではないでしょうか。それが特に敏感な精神病患者は、もっとそこの部分は甘えて良いのではないでしょうか。

肉体的にも、精神的にもきついと感じてきた時に、家族や友人などに相談すると、「もう少し頑張ってみたら?」などと言われます。しかし、そこまで体調を崩してまで得るものはあるのでしょうか?もっと自分を大事にしてあげることの方が大事だと心から思います。

頑張る人は頑張る。頑張れない人は頑張らないって普通じゃない?

最初に挙げた組織の話は、健康で、体力バリバリの人たちに、ガンガン仕事をしてもらって、経済を回してもらえばよいのです。もちろん「自分は頑張れる」、「行けるとこまで行くんだ」という上昇志向の高い人は、本人の成長や自己実現のために、働くことをお勧めします。頑張れる人は頑張らないと後で後悔するでしょう。

でも、僕たちのようなタイプの人間は、頑張らなくても良いのではないでしょうか。やれることをきっちりやっていく。それでは足りないのでしょうか。

もし、周りに辛そうな人が居たら、「頑張らなくてもいいよ」と、言えるような、そんな温かい社会になることを願っています。


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