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週刊 マーケットを読み解くゼミナール 2021年7月19日


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週刊 マーケットを読み解くゼミナール

2021年7月19日号                     

講師:神代龍児(こうじろりゅうじ)


【国内株は軟調、米国株は神経質な動き】

今週の国内株式相場は改めて下値を見極める展開になりそうです。新型コロナの感染が再び拡大していることに加えて、米国株式相場も足下で上値が重く、ポジション整理の売りが出やすい状況です。仮に、米ナスダック指数が一段と下落すれば、日経平均株価が昨年末の終値27444円を終値で試す事態もあり得ます。


その米国株式は中長期の上昇トレンドを維持しているものの、短期的には戻り売りにより上値が重い状況です。金融政策が正常化に向かう中で景気のピークアウト(峠越え)が早まるとの警戒感や、新型コロナの再拡大が利益の確定売りにつながります。また、パウエル議長の続投に関する不透明感も買い手控えにつながる可能性があります。一方、本格化する企業決算への期待が相場の下支えになるでしょう。



<200日移動平均線を試す>


(感染再拡大が重し)
 先週の日経平均株価は、前週の需給悪化要因(ETFの分配金捻出にともなう換金売りと、7月限オプションのSQ)が峠を越えたことを受けて大きく上昇して始まり、7月13日(火)の取引時間中に28852円まで上昇して25日移動平均(同日は28778円)を上回る場面がありました。しかし、これがピークとなり、その後は戻り売りに押される展開でした。その後は、新型コロナウイルスの感染が再拡大したことを嫌気して、ポジション(持ち高)を整理しようとする動きが続いています。


 新型コロナ感染者数の拡大は景気回復のタイミングを遅らせることが直接的に株価に悪影響をもたらすだけでなく、国内政治への不信感を強めることになります。



(内閣支持率の低下)
 特に、先週は新型コロナ対策で政府の悪手が目立ち、内閣支持率の低下につながりました。


新型コロナウイルスの感染対策として、国が酒類の販売事業者に対し「酒の提供を続ける飲食店と取り引きしない旨」を文書で要請したことに対し業界から、「補償がない中では経営が行き詰まる恐れがある」と抗議の声が上がりました。


 また西村康稔経済再生相が8日、休業要請などに応じない飲食店に関し、「こうした情報を金融機関としっかり情報共有しながら、順守を働きかけていく」と述べたことも批判の的になりました。苦境に陥る業界に対して融資制限をすれば、倒産の危機に陥ることは火を見るより明らかだからです。


 このような状況を反映して、内閣支持率の低下が目立ちます。NHKの世論調査(7月9~11日に実施)によれば、菅内閣を「支持する」と答えた人は、先月より4ポイント下がって33%と、内閣発足(昨年9月)以降で最も低くなる一方、「支持しない」と答えた人は1ポイント低下の46%と、同発足以降で最も高くなりました。


 また、時事通信の世論調査(7月9~12日に実施)では、内閣支持率が前月比3.8%ポイント低下の29.3%、また不支持率が5.6%ポイント上昇の49.8%でした。支持率が「政権の危険水域」とされる20%台に落ち込む一方、不支持率は内閣発足後では最も高い数値になりました。



(海外投資家が手控え、個人投資家は前向き)
 秋に衆院総選挙を控えて内閣支持率が低下している事実は、海外投資の目線では、「政治リスクが高まった」と判断されます。


実際、海外投資家は年初から日本株を買い越してきましたが、足下ではその動きが反転しています。海外投資家の年初からの累積買い越し金額が、5月7日の週に1兆8,460億円でピークを打ち、足下の1兆1,740億円(7月9日の週)まで6,720億円も買いポジションを落としています(この動きに合わせるように、日経平均株価は次第に下値を切り下げています)。


 一方、この海外投資家の売りに買い向かっているのが個人投資家です。日経平均株価の下落を受けて、個人投資家の押し目買いが活発です。
3月19日の週には年初からの累計で8018億円の売り越しだった個人投資家は、日経平均株価の下落に逆らうように買いを活発化させて、直近では9,388億円の買い越し(7月9日現在)と、海外投資家の買い越し額を上回りそうな勢いです。


 ちなみに、国内投資家(個人投資家)は海外投資家に比べて、国内の政治リスクへの反応が鈍いように見えます。国内では「政治は誰がやっても変わらない」との冷めた見方が強い分だけ、政治リスクに対する個人投資家の感応度は低いようです。日本は、政変が起ると政策が劇的に変化する海外とは異なると見ているのです。


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