週刊 マーケットを読み解くゼミナール 2021年8月2日【国内、海外ともに上値の重い値動き】
週刊 マーケットを読み解くゼミナール
2021年8月2日号
講師:神代龍児(こうじろりゅうじ)
【国内、海外ともに上値の重い値動き】
今週の国内株式相場は引き続き上値の重い値動きになりそうです。国内企業の決算発表は予想を上回る銘柄が多いものの、日本企業を取り巻く環境の不透明さが重しとなり、戻り売り圧力が強まっています。特に、新型コロナの感染再拡大による緊急事態宣言の地域拡大や期間延長を受けて、景気回復が一段と遅れるとの見方が弱気材料です。また、今秋実施される衆議院の総選挙に対する不透明感が一段と強まったことも、海外投資家の売りにつながっています。さらに、中国政府の統制強化を背景とした中国株式の下落も、国内株式の売りにつながっています。これに対して、国内株式が割安な水準に低下してきたことを受けて、押し目では個人投資家を中心とした買いが下値を支えるとみられます。
一方、米国株式相場についても上値が重い展開が想定されます。米企業決算の好調さと米金利の低下を受けて、先週月曜日には主要3指数がそろって史上最高値を更新する場面がありましたが、大型ハイテク株(GAFAM銘柄)の決算発表が利益確定の要因となり、週末にかけて相場全体が下げに転じています。先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的金融緩和の縮小(テーパリング)が既定路線と位置付けられたことを受けて、長期金利の低下ピッチが鈍化したことも、株式相場では利益の確定売りにつながりそうです。
<海外投資家の売りが目立つ東京市場>
(日本経済が抱える課題)
7月の日経平均株価は前月末比5.2%安と大きく下落しました。米国でNYダウが前月末比1.3%高、またナスダック指数が1.2%高と底固い値動きだったのとは対照的な動きとなりました。
また、年初から見ても、日経平均株価は0.6%安と下落に転じる一方、NYダウが14.1%高、ナスダックが13.8%高と堅調で、中長期でも対照的な動きがみられます。
これは日本経済が米国経済に比較して多くの課題を抱えているためです。その課題を改めて列挙すれば以下の通りです。
① 新型コロナワクチンの感染再拡大
② 衆議院総選挙の不透明感
③ 米中対立
④ 中国の統制強化
⑤ 脱炭素社会への懸念
⑥ 国際競争力の低下
⑦ 少子高齢化
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