見出し画像

いい人ほど、この世は生きづらい

夫、今週(先週?)の『何曜日に生まれたの』が衝撃だったらしく、寝る前にTVerで1話と2話を1.5倍速で一気見したのだそう。
すいちゃんが何曜日に生まれたのか確認したかったらしい。
「すい」というぐらいだから、水曜日なんじゃないの?と私は思うのだが。

それはさておき、ナンウマの脚本は野島さん。
野島伸司といえば『高校教師』という世代なので、まだ書いてたんだ・・というのも失礼だが、野島作品と向き合うのは久々な気がする。
『高校教師』は30年前だそうだ。

野島伸司といえば(二回目)野沢尚というぐらい、当時はお二人の作品を見るのが楽しみだった。
野沢さんのことを思い出したら、野島作品の『薔薇のない花屋』に出演していた竹内結子さんを思い出した。

野沢さん、44歳。
竹内さん、40歳。

著名人が自死すると、テレビもネットも一様に、
「一人で悩まず相談してください」という広告を出すが、あれには果たしてどれほどの効果があるのだろうか。

思うに、自ら死を選ぶほど思い詰めた人は、もはや相談云々の段階ではない。
積極的な医療的介入が即必要な状態だと、私は思う。
薬を使って、うとうと眠らせてもいい。
とにかく、思考を止める。
負の循環を止めることが先決だ。

身近な誰かが気付いて、一刻も早く医療機関に連れて行く。
そうすることができればいいのだが、いかんせん、真面目な人ほど、優しい人ほど、周りに気を遣わせまいと自らの異変を隠して抑え込んでしまう。
ギリギリまで律した精神が、ふわっと一線を越えるのに、恐らくたいした理由はいらないのだろう。
そこに至るまでに、さんざん葛藤を繰り返しているのだから。

すごくつらい時。
誰でもいいから話をしたくて、厚労省や自治体が推奨する相談機関にアクセスしたことがある。
私は耳がダメなので、LINEやチャットで対応してくれるところに。
ところが、ただの一度もつながったことがない。

「このままお待ちください」
「スタッフの用意が出来次第お繋ぎします」
「受付時間内につながらないこともあります」

・・で、つながらない。
なので、あれは信用していない。
信用していないし、藁にも縋る思いでアクセスする人を、救うどころか、むしろ絶望に突き落とすのではないかと危惧している。
大丈夫なのか?

少し前にタレントのりゅうちぇるさんが亡くなった。
NHKのバラエティ番組にわりとよく出演されていたので存在は知っていたが、何かと見た目が目立つ人だな・・ぐらいの認識しかなかった。
だが、パートナーだったpecoさんが発表された文章からは、その人柄が手に取るように伝わってきて、なんとも悲しくやるせない気持ちになった。

優しくて、真面目で、あたたかくて。
何をするにも一所懸命で。
とてもとても繊細な感性の持ち主。

あの輝くような笑顔には、見る人の心を和ませる力があったと思う。

死の理由はわからない。
それが自死ならば、当人にしかわからないことだと思う。
けれどもし、死を選んだ理由が、りゅうちぇるさんを取り巻く社会にあったのだとしたら、優しい人を救えないそんな社会を放置していいはずがない。
実際に、この世の中は、いい人ほど生きづらい。
そう感じる人も少なくないのではないだろうか。

私は耳が悪く、町中で不自由な思いをすることが多い。
「保冷剤必要ですか?」と「お箸いりますか?」がわからなくて、保冷剤は欲しいのに貰えなくて、お箸はいらないのに入れられたり。
「よく聞こえないのですが」と言っても怪訝な顔をされたり、文字変換アプリを取り出すと薄笑いされたり。
いちいちめげていたら世間を渡っていけないのだけれど、些細なことでしょげてしまう。

そんな時に、とても親切に説明してくれたり、道を譲ってくれたり、丁寧にレジ対応してくれる方に出会ったりすると、それ以降、しばらく気持ちがふわふわして、とても幸せな気分になる。

社会に対して私ができることはいくらもないけれど、せめて偶然に関わりを持った人たちに、気持ちのいい笑顔を返せる人でいたいと思う。
その人が、その日一日、少しでもほんわかした気持ちになれるように。
もし、何か悩みを抱えていたとしても、世の中捨てたもんじゃないなと一瞬でも思ってもらえるように。

それぐらいしかできそうにないけれど、そうした人が一人でも多く町中に増えていけば、この社会は、今よりはもう少し優しいものになるのではないかな。

そんな希望を持って、明日も生きていこうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?