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創作小話

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2020年7月の記事一覧

共有 (小話)

共有 (小話)

 田んぼに張られた水が、初夏の日の光に照らされて輝いていた。育ち始めた柔らかそうな緑の隙間から、きらきらと光が溢れている。
 目の端に映るそれを楽しみながら車を走らせる。こういう綺麗なものを見た時、真っ先に浮かぶ顔は大抵決まっていた。
 今、この車の助手席にあいつがいれば、と思うと口元が緩む。
 きっと隣にいたところで、馴染みのホステスと電話をしているか、食うか、寝るかしかしていないだろうが、それ

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いつか明ける日 (小話)

いつか明ける日 (小話)

 梅雨だというのにやけに爽やかな風が吹いた。
 雨上がりの緑は艶やかで美しい。長雨の最中は、もう永遠に止まないのではないかと絶望したくなる時もあるけれど、どんな雨もいつかは必ず止む。
 止まない雨はない。明けない夜はない。
 シンプルな言葉だけど、それを実感できるのは、私が今日も生きているからだ。

「あの年も梅雨のくせにめちゃくちゃ暑かったよね」
 広い霊園で我が家の墓を探しながら振り返って言う

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