真の学生野球を貫いた大学時代

「真の学生野球」

後輩が、私たちの大学野球生活を一言でこう表現したのを使わせてもらった。

大学は東京の国立大学に進学した。野球部は連盟の1部リーグに所属し、強豪私立大学としのぎを削っていた。

甲子園で活躍したような、いわゆる野球エリートは1人もいない。ほとんどの部員がセンター試験を受験する一般入試で入ってくる。

浪人を経験した選手も多く在籍していた。(2学年下に、私より年上の後輩がいた。接し方が難しかった。)

高校時代のような理不尽な上下関係はなく、先輩と後輩同士が気兼ねなく話せる環境だった。

監督は大学の教授。打撃理論で有名な方だったが、練習に毎日顔を出すわけではない。

練習メニューも学生にほぼ一任されていた。

学生コーチとキャプテン、投手リーダー、内野リーダー、外野リーダーなどのブロック長が集まって練習メニューを決める。

私は3年次から投手リーダーとなり、毎週月曜に練習メニューを考えて全投手陣にメール配信していた。

当時はこちらが考えたことをとにかくやってくれという雰囲気があったのかもしれない。

たてた練習メニューに不満を言われることはほとんどなかった。

投手陣のメニューはランニングと体幹がメインなので、内容の強弱や、鍛錬期と試合期の違いなどを考慮して組むように心がけていた。

この経験は今の陸上部の練習に強く生きていると思う。

陸上も同じで、期分けとピーキングを考えて練習を組まないと、大事な大会にベストの状態をもってこれない。

プレーヤーから指導者になった今は、大学時代以上に選手とのコミュニケーションをしっかりとって、一方的なメニュー提示にならないよう心がけている。(計画をたてて実行していても、思ったより疲労が抜けなかったり、選手がやりたいことが別にあったりする。その声に耳を傾けて計画を変える柔軟性が大切。)

大学時代の練習は月曜日と木曜日が完全オフ。朝練もない。土曜日は午後、日曜日は午前のみの練習。

今でいう部活動のガイドラインを、当時から遵守していた健全な野球部だったといえる(笑)

月曜日、木曜日の過ごし方や、全体練習後の自主練習で何をやるかは自由で自分次第。

何をしても、基本的にとやかく言われることはない。

全体練習が終わったらすぐ帰る者、何時間も自主練習する者など様々。

授業や練習がない日はウエイトトレーニングをしたり、渋谷に買い物に行ったり、プロ野球観戦したり、家でゲームに熱中したりなど、好きなことに充てられた。

寮などないので、アパートで一人暮らし。料理はほとんどできなかったので惣菜を買って食べることが多かった。近所のホカ弁とすた丼の店にはかなりお世話になった。

野球のために全て良かったとは言えないかもしれないが、良くも悪くも自分の責任で生活していけるのが私には良かった。

寮に住み野球漬けの生活を送ったり、上下関係が厳しすぎるところは嫌だった。ここでも野球が好きなまま活動することができた。

「真の学生野球」とは

自分で学び、考えて練習しないと、誰も救いの手を差しのべてはくれない。それは普段の生活も含めて。

練習メニューの作成はもちろんだが、24時間の責任の所在が全て自分自身に委ねられているところがポイントだ。

私の経験をまとめてみる。

・一限の授業に寝坊して遅刻することや、めんどくさくなって授業をサボったことがある。

・全体練習が休みの期間には、深夜の短期バイトで小銭稼ぎをしたり、自遊空間で夜中に7時間ビリヤードをしたこともあった。そんなときは朝から夕方まで寝ていた。

・3年生の時に居酒屋でバイトを始めた。遅い時には夜1時まで。当時のスタッフの方と朝まで飲むこともあった。

もちろんリーグ期間中にこんなことはしないし、これらの行動が良かったとも思わない。

だが野球最優先で生活をする期間、全体練習がなく好きなことができる期間で分けて考えることができ、メリハリがついた生活を送ることができたと思う。

学生野球の真髄は自分の責任で全て生活すること

寮で管理された中で生活するだけでは経験できないことを、野球以外のところでも経験できた。

だから大学時代は楽しかったし、野球以外の遊びや社会経験によって学びも多かった。(ただ、授業はもう少し真面目に聞くべきだった)

学年時代に戻れるとしたら、大学時代に戻りたいとも思う。

野球の戦績は、最高でリーグ戦3位。強豪私立には勝ち点をとることはできなかったが、一矢報いて勝利することもあった。

今覚えているのは、4年秋のリーグ戦。相手は毎年リーグ優勝していて全国大会でもベスト4に入るほどの強豪私立。

最終回まで3-1で勝っていて、先頭バッターも打ち取った。

ふとそこで、自分の大学のスタンドで見ていた部員たちが荷物の片付けのためにベンチ裏へ移動しようとしていた姿がマウンドから視界に入った。

そこから連打をくらい、あっという間に同点に追いつかれる(笑)

試合は延長へ。

その後はお互い点が入らず、延長13回で時間切れ。3-3で引き分けとなった。

次節、毎年2位に入る強豪私立大学との1戦目。延長11回に勝ち越して3-1で11回裏の守備。

スタンドの部員たちは試合終了までスタンドにいようと心に決めていたらしい(笑)

ここはしっかり抑えて勝利できた。

あんまり掘り下げると、引き分けたのをスタンドの部員のせいにしてると思われるので、このへんでやめておこう(笑)

大学通算で17勝(だった気がする)

野球が好きな気持ちが薄れることなく、次のステージでも野球を続けていきたいと思うようになる。

次は独立リーグについて書いていきます。ありがとうございました。



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