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【投機の流儀 セレクション】さて、ここから先が賢愚を分ける

さて、ここから先が賢愚を分ける
大相場の終焉というものは各回が前例を辿ることが多い。

直近の大相場「小泉郵政改革相場」を見れば、07年7月の大天井から同年8月17日までの下げは▲16.3%(値幅▲2,988円)、これを機械的に今回に当てはめれば、次のようになろう。

10月2日大天井からの▲16.3%=20,314円≒3月26日ザラバ安園20,347円となって目先のダブルボトムとなる(終値ベースとザラバとを使った)。

先週末ザラバ安値は20,972円だった。
即ち、大天井形成途上の安値には届かず、当日安値から213円幅を急速に戻して引けた。

ここから先は次のように考えるところだろう。

本稿では読者諸賢に、キャッシュポジションを高めにとって待機しよう、と呼びかけてきた。
それは、来るべき大底圏内を買うためであることは言うまでもない。
いよいよ、時節近し、という所である。
だが、昔から言う、「買いは遅かれ」と。

今から一挙に大底を付けに行くことはない。
絶好の買い場というものはそんなに安易には来ない。

よって必ず中間反騰がある。
中間反騰の定義は「前の高値を抜けない」ということだ。
読者諸賢は、もし売りそこなった玉があるなら迷っている場合ではない。
「売りは早かれ」と古来言う。

また、読者諸賢の中には、趨勢下げ相場の途上で、火中の栗を拾う気で短期の小掬いを試みた方々も居られるだろう、その冒険心には敬意を表するが、そういう方々は、来るべく中間反騰での撤収を逃してはならない、とお節介ながら呼びかけたい。
躊躇するときではない。
中間反騰の定義・本質を銘記していただきたい、と申し上げたい。

急落の中で信用取引の買い残が増えている。
これらは火中の栗を拾う「小掬い組」だと察するが、次の中間反騰の逃げ場を逃がしてはなるまい。
本格反騰と錯覚しないことだ。
そういうときは意地悪く、本格反騰説が出てくるものだ。
惑わされてはならない。

再び言うが「買いは遅かれ」だ。
中間反騰は必ず来るが、その途上で慌てて買い判断すべきではない。
今まで長期間、現金部門を高めて大底圏内に備えようと呼びかけて来たのは、中間反騰を中途半端に買いに出るためではない。

「10年、兵を養うはこの日のため」というときが必ず来る。
今は、それを逃がさず待機する時節であろう。

兵力を養っていれば戦争したくなる。
資金力を現金で保有すれば買いたくなる。
それを抑止するものこそ知性だ。

今、無理して郵政改革相場を当てはめれば、大天井から16.3%下がって、そこから14.3%の中間反騰があった。

この中間反騰を機械的に理屈上の安値に当てはめれば、20,314円×114.3=23,218円になる。
5月から4回挑戦して跳ね返された上値抵抗線を少々抜くことになる。
中間反騰の読みとしては甘いと言わねばならない可能性が高い。

実際値に当てはめれば21,185×114.3=24,214になってしまう。
即ち一回終わった筈の大天井に概ねのツラ合わせになってしまう。
これは中間反騰の定義に反する。
そんなに旨い戻りはない。

「機械的に当てはめれば、そうなる」というだけの話しであって、お化けは同じ顔で2度は出てこない。

では、中間反騰のメドはどこか?(終値ベース)
先週安値で一旦止まったと仮定すればこう言える。

10月2日から26日までの下げの3分の1戻りは、
21,185+(3,085×3分の1)=22,213
黄金分割比の小なる方は
21,185+(3,085×0.38)=22,357
半値戻りは
21,185+(3,085×2分の1)=22,727
黄金分割比の大なる方は
21,185+(3,085×0.62)=23,097

しかし、今週は安値を切り下げる可能性も高い。
そうなると上記の試算はヤリ直になる。

いずれにしても「中間反騰は必ず来るという相場の生理」と、「中間反騰の定義」を銘記しておくことであろう。

【今週号の目次】
(1)老年期相場終焉の儀式となる可能性、―一長大陰陽包み足を形成、一週間で▲1,347円
●2日から26日まで▲3,085円
(2)さて、ここから先が賢愚を分ける
(3)いま、アベノミクス相場の終焉の大底を測るのは早計だが仮に試算すればこうなる
(4)10月11日▲915円という大幅安の後にも残った株価急落懸念の背景
(5)「将来の景気下押し」、日銀リポート
(6)当面の市況1
(7)当面の市況2――先々週の世界同時株安の1週間は一旦収まったが、一難去ってまた一難
(8)「万年強気の野村」の見方に変調の兆しか
(9)消費増税延期説と衆院を解散してダブル選挙
(10)景気の転換点は遠くない
(11)消費税を巡る政局は長丁場にわたる
(12)今週火曜日に迫った米中間選挙の行方
(13)野党連合結成で安倍首相レームダック化の恐れ
(14)DJ-【社説】トランプ氏のFRB批判は逆効果(出所:ダウ・ジョーンズ、2018年10月26日、文責:山﨑和邦)
(15)DJ-【焦点】米中貿易交渉、手詰まり状態の裏側(出所:ダウ・ジョーンズ、2018年10月26日、文責:山﨑和邦)

【蛇足】(「蛇足」としたが、実は重要な基調となる)
(1)「景気変動は循環し、株価変動は景気循環に先行する(★註1)」これを本稿の中心命題とする。
この命題の含意を汲み取ればリーマンショックの兆候は前年に読めたという事実
(2)前掲の中心命題の含意を見誤った者

【来週以降に掲載予定の項目】
○大国の衰亡は経済の衰退から起こる
○世界各国で台頭する右傾ポピュリズム

【お知らせ】
「投機の流儀 セレクション」のアーカイブは、電子書籍の紹介サイト「デンショバ」にてご覧になれます。

デンショバ
http://denshoba.com/writer/ya/yamazakikazukuni/touki/

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
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