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【投機の流儀】大相場に付きものの不動産価格上昇の終わりの始まりか

【今週号の目次】
(1)景気のピークアウトに対する警鐘シグナル
(2)大幅安の翌日、ヨリツキから見ての大幅高現象
(3)来期の景気警戒感と企業業績の失速懸念
(4)市場関係者8人に聞く中期見通し(及びそれに対する筆者註)
(5)リーマンショック後の世界景気回復に警戒感
(6)失敗したG20
●開会前からG20会議の失敗を予想
(7)大相場に付きものの不動産価格上昇の終わりの始まりか
(8)銀行のドル調達金利が10年ぶりの高水準になった
(9)買う海外勢と売る個人
(10)「株価変動は景気変動に先行する」この命題の含意
(11)出口戦略(テーパリング)を静かに進める日銀
(12)沖縄知事選の意味するところ
(13)「勘定」と「感情」とは区別して語ろうという立場から一言
●官邸官僚と霞ヶ関官僚とが噛み合ってない
●「外交の安倍」の実態
●プーチンの投げた変化球――実は単純明快な直球
●外交というものの本質
(14)嶌信彦メルマガの要約(文責;山﨑和邦)と筆者註

【来週以降に掲載予定の項目】
○W・バフェット氏の提言
○退職世代の金融資産運用
○「平成ITデフレ」

(1)景気のピークアウトに対する警鐘シグナル

本稿10月7日号の(9)で10月は暴落が多かった月だと述べ、1929年「暗黒の木曜日」も1987年「ブラックマンデー」等の現代金融史上に残る10大暴落のうち5回は10月であったと述べた。
また、本稿で「このまま値固めせずに進めば、その先は良いことはない」とも述べた。
果然11日に▲1,047円を演じ、終値は▲915円で終わった。

この程度は大したことではないが、問題は先週号(7)で「上昇勢いは最終局面に入った」と述べたところにある。

11日(木)はNYダウ3%安と大幅安をし、日経平均は4%安であり、日米ともに今年3番目の大幅安、中国が5%安であった。

これは米金利上昇が引き金となり、貿易戦争の拡大が追い打ちをかけたということになっているが、それはあくまでもキッカケとする言い分であって、相場そのものが下がりたいところに来ていたのだ。
これが相場という生き物の生理現象である(★註)。

米金利上昇も貿易戦争も10月11日その日に始まったわけでは決してない。
金利上昇は諸々の経緯をたどるが、間違いないことは株安につながるという事実だ。
このことは半年以上も前から本稿で述べてきた。

(★註)日経平均VIで見る警戒感の強まり
日経平均ボラティリティ・インデックス(日経平均VI)はオプション価格から算出し、日経平均が今後1ヶ月どの程度の変動率になるかを指数化するものである。
11日の大幅安の前に日経平均VIが3ヶ月ぶりの高水準となっていた。
これは相場の投資家が予想する相場の変動が激しくなる可能性があるということになる。
一方、10月満期のプット(売る権利)は行使価格が23,000円が多くなった。
これは日経平均の高値時(10月2日)に比べて3倍に膨らんだ(プットの買い手は権利価格を下回ると利益が得られるから、相場の先行きが弱気になるとヘッジ行為としてプットの買い需要が強まるという傾向がある)。

「今年ほど好悪両材料が山積みの年はない」と本稿で年末年始から述べてきたが、今後はどうなるかということを考えてみよう。

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