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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、…
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2023年8月の記事一覧

【投機の流儀 セレクション】米国経済は減速するどころか、むしろ加速気味になっている

米は40年間最大の引き締めにもかかわらず、景気後退の気配が見えない。 米国経済は逆イールド現象が起きてから景気後退期に入るまでの期間はそろそろ迫っているが、米国経済は減速するどころか、むしろ加速気味になっている。 というのは、消費者信頼感指数(これはよく的中する)が高く、FRBも経済成長については一段強めな表現になってきた。今まではmodest(わずかな)という表現を使っていたが、現在ではmoderate(適度な)という表現に変えた。 利上げに反応するはずの住宅市場の長期

【投機の流儀 セレクション】デフレマインドからインフレマインドへの「メガトレンド」の変化

過去30年間の世界の消費者物価指数の上昇率は30年平均が米2.5%、日本0%(正確には0.4%弱)。したがって、日米の内外価格差は30年間で2倍以上になった。1992年バブル崩壊後の翌々年を100とすれば、アメリカのCPIは約230、日本は約110である。 最近、売値の値上げが増えてきた。大変結構なことであると思う。値上げしてでも売れる。これが企業の力であり、値上げしてでも買える。これが賃上げの力である。 何度も言うが、成長と分配の好循環の分配は賃上げから始まる。そして、G

【投機の流儀 セレクション】日本企業の「稼ぐ力」底上げ

日本は言うまでもなく、エネルギーの殆どを輸入に頼るため、資源価格が上昇すれば輸入物価が押し上がる結果になる。2021年4月以降、輸入価格は前年比2桁ペースで上昇した。ところが最近、日本企業が海外貿易で受けるコスト高の圧力が緩んできたという(日経新聞8月10日号)。 そうなると、設備投資や賃上げに勢いがつく。「成長と分配の好循環」が生まれる。これを岸田政権が標榜し出してから1年半を経て、その兆しは見えてきた。「30年ぶりの賃上げ」「過去最高のボーナス」「設備投資に弾み」が現象

【投機の流儀 セレクション】日本の「稼ぐ力」は減ってはいない

 2022年度の日本の経常収支黒字が減少した。これは企業で言えば、稼ぐ力が減ったという意味だが、これだけ日本が稼ぐ力が衰えていると見るべきではないというのが本稿の意見であった。 稼ぐ力を使って消費する分は、貯蓄とは違って経済の流れの中にある。貯蓄は経済の流れから漏出(経済学用語)である。「稼ぐ力」は「使う力」が減れば、経常収支は黒字になる。 しかし、「使う力」を減らして経常収支を黒字にしても、それは縮小均衡だ。日本の経済を表現する企業の力は独自の技術を培ったり、独自の商品