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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、…
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2018年9月の記事一覧

【投機の流儀 セレクション】大きな金融危機が起きる3つの条件

野村総研のリチャード・クー氏は米国のバランスシート不況と日本のバランスシート不況(「失われた20年」)を両方とも体験し、日本のその処理の方法について時の政権に苦言を呈してきた。 彼は、大きな金融危機が起きる3つの条件として次のことを挙げている。 (「マンデー・ミーティング・メモ」2018年9月18日号)。 筆者が要約する。 大きな危機が発生するには、 ①利上げのような金融環境の変化 ②評価の定まっていない新金融商品の出現(過去の例で言えば、サブプライムローン、中国のシャ

【投機の流儀 セレクション】バブル崩壊の前に現れる共通現象ともう一つのシナリオ

中曽日銀前副総裁は「金融危機は違った形で現れる」と述べている(日経新聞9月13日号)。 また筆者は「お化けは同じ顔では出てこない」と常々述べてきた。 しかし歴史上、バブル崩壊前には共通の現象があった。 それはアメリカの短期金利が長期金利を上回るという「逆イールドカーブ現象」である。 米国景気拡大の最終局面であった1980年、90年、2000年、07年、これはNY株の暴落寸前の時点であったが、その時には逆イールド現象が発生した。 その後世界の株価は急落した。 短期金利が長期金

【投機の流儀 セレクション】AI投信で利益を上げられるか

筆者は生半可な知識であるがAI投信には信頼を置いていなかった。 これは一口で言えば、株式市場は「知能よりも知性が重要である(知能と知性の区別は既報で既述してきた)」ということが基本にある。 AIが駆使するのは知性ではなくて知能だ。 膨大な情報を読み込んで瞬時に最適解を探す、そういう知能である。 この、知能よりも知性が重要であるということは次の一事でもって筆者は脳裡に鮮明に残った。 97年にノーベル経済学賞を受賞したマイロン・ショールズとロバート・マートンのヘッジファンドの

【投機の流儀 セレクション】大相場につきものの不動産価格上昇、これの終わりについて

一つは2022年の東京五輪の終わりである。 もう一つは「2022年問題」と言われた生産緑地法の時限立法の終わりである。 都会にある宅地は生産緑地として届ければ農地並みの課税にする(固定資産税が極めて安くなる)という時限立法を30年間有効として1992年に定めた。 これの終結が2022年に来る。 すると財政難の自治体が生産緑地を公共用地として買い取ることは少なく、宅地並み課税になるから所有者は無秩序に宅地として放出し不動産市場に大きな影響を及ぼすのではないか。 不動産市場には宅

【投機の流儀 セレクション】アベノミクス大相場は夙(つと)に終わっている

冒頭から暗い話しで恐縮だが、筆者と読者諸賢とは、市場という戦場で共に戦う、損得を共にする戦友だと思っているので、常にホンネを語ってきた。 本稿では平均株価が2倍か3倍になる相場を「大相場」と言ってきた。 数年に一度しかない。 これは1965年以降6回あった。 アベノミクスはそのうちの一つである。 その都度2倍にすれば金融資産は必然的に64倍になったはずだ。 始動期は2012年11月衆院解散の日8,665円→2013年5月末16,000円弱までの上昇これが「青春期相場」だ