平成東京大学物語 第4話 〜35歳無職元東大生、小学生のころの神童ぶりを語る〜
小学校に入ってからずっと、ぼくは優等生で通っていた。ろくに勉強もしないのに、どんな科目のテストでも、クラスでもっとも優秀なくらいだった。国語、算数といった主要科目だけではなく、それが筆記のテストでさえあれば、音楽や家庭科などでも、ほとんど誰にも負けることがなかった。だけどぼくはそのことを自慢に思ったりすることはなかった。勉強をまったくしていなかったので、成績に思い入れというものをもつことがなかった。
高学年にさしかかると、勉強ができなくて悩んでいる同級生もいた。ぼくは彼らに申し訳ないような気がした。そして自分も成績が落ちたら彼らと同じように先生から叱責されるのだと思うと子供心に恐ろしかった。努力をして成績をあげたわけではなかったので、どうして自分が勉強ができるのかが分からず、急に成績が落ちてしまうのではないかという不安が、いつもついて回った。
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