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コネなし・未経験だった私が筆で身を立てられるようになるまで(前編)

 統計を取ったことがないからわからないが、「作家・ライターになりたい!」と思っている人は多いように思う。

 もっとも、「出版社主催の新人賞をとる」「出版社や新聞社、編集プロダクションに新卒就職する」という「正規ルート」は間口が狭いのが現実だ。

 出版社や編プロのような職種だと、中途採用も経験者のみであるケースが多く、他業種で新卒カードを切ってしまうと「活字関係」には入りにくくなる。

 もちろん、現在では未経験OKのライティング案件も増えてきたが、ライティングのみで生活できる単価のものは少ない。「食える単価」の案件を獲得するには、知識やスキルだけでなく、運と戦略も必要になる。

 そこで、私の経験が誰かの参考になるかもしれない。そのままたどることはできなくても、何かのヒントになるのではないか。

 私は、子供の頃から文章を書くのが好きだった。大学時代は活字に関わる仕事を希望したが、就職活動はうまくいかなかった。

 そこで学習塾に就職したが、物書きへの夢は捨てられなかった。ブログを書いてみたり、ライター募集サイトに登録してみたりしたが、簡単にバズったり、仕事を得られたりするわけでもない。

 ある日、いつものように「ライター募集」などのワードで検索していたところ、ある企業のサイトが目に留まった。

 それは、教材制作専門の編集プロダクションだった。普通の人は、あまり存在を意識することはないかもしれない。しかし、市販のテキスト・塾用テキスト・模擬試験・過去問の解答解説・プリント教材などの制作には、それなりに専門的なスキルを要する。

 教材制作の実務は、たいてい版元から下請けの編集プロダクションに発注される。編プロはたいてい中小企業で、社員数は多くない。そのため、教材の原稿の大半は外部スタッフに発注される。

 たとえ不景気でも、子どもの受験・進学はあるので、教材制作には常に一定の需要がある。一般にはあまり知られていないが、「フリーの教材制作者」という職業があるのだ。教員や塾講師をやっていた人、教員免許保持者などが多い。

 その時点での私は「ライティング業務は未経験」だった。しかし、「学習塾での指導経験」はあったので、応募要項には合致していた。

「こんな道もあるのか」と思いながら、さっそく応募した。まったく予想していないところから、職業ライターへの道が開いたのである。

 (続く)

 

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