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都立高校「スピーキングテスト」への疑問

 来年度から導入予定の東京都立高校入試の英語スピーキングテスト。ベネッセが独占して受注している。

 現在、国が主導権をもって進めている教育改革では、英語の「4技能(書く・読む・聞く・話す)」が重視されている。特に「話す(スピーキング)」は従来の入試では評価が難しかったが、「大学入試に英語民間試験を」という動きがあったことは記憶に新しい。

 大学入試の英語民間試験は、

・地域格差や経済格差による不公平

・民間業者が採点を請け負う故の不透明性

・教育的効果への疑問

などの問題点が多く、2019年にあえなく見送りが決まった。


 さて、都立高校スピーキングテストに話を戻す。

 導入は来年度だが、今年の中3生もプレテストを受ける。その際、顔写真などの個人情報をベネッセに提供しなければならない。

「しんぶん赤旗」の報道

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-06-12/2021061201_02_0.html

 ベネッセは、スピーキングテストに関する文書「個人情報の取扱いについて」で、情報提供に同意しなければ「テスト申込みを承諾しない」「損害は本人が負う」と保護者に脅しを行っています。都教委も「同意しなければテストを受けられない」と入試に加点がなくなると認めており、同意は強制されます。

  ベネッセといえば、過去に大規模な個人情報流出事件を起こしている。保護者が不安に思うのは当然だ。また、大学入試改革においても、関連会社が記述式問題の採点を61億円で受注するなど、「権力との癒着」が指摘された。

 こうした企業に、生徒たちの重要な個人情報を渡すことを強制する都教委の見識が問われるところだ。

 また、ベネッセが入試問題を制作するのであれば、ベネッセがつくった教材が信頼されるのは当然だ。通信教育や、塾・学校向け教材の売り上げにはプラスになるだろう。

 公立学校の入試という公的なものを通じて、一介の私企業に利益を供与する。発展途上国にみられる癒着構造と変わらないではないか。

 コロナ禍のどさくさに紛れて公教育が歪められる事態は、有権者として絶対に許してはならないと思う。

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