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映画「ONE PIECE FILM RED」大ヒットを音楽プロモーションから紐解く

https://news.yahoo.co.jp/articles/d6c744c7829501cfba3aaa10a39910f9c82ddbac

8月6日に公開された映画「ONE PIECE FILM RED」。

26日間で興行収入120億円を突破し、日本の歴代興行収入21位にランクインするほどの大ヒット。(2022年9月4日時点)

https://onepiece-unchiku.com/film-red-performance-income/

凄まじい勢いで数字を叩き出す本作。
なぜ、これほどの大ヒットを記録したのか?

ONE PIECEは、原作で「ワノ国編」が終了し連載25年続く作品が最終章に入るという盛り上がり。

本作も今後重要な鍵を握ると言われているシャンクス率いる赤紙海賊団の戦いのシーンが見れる!ウタというキャラクターが過去一好きかも!などなど本作の魅力は数え切れないほどあります。

映画がヒットする要因として、「映画がおもしろい」というのは当たり前のこと、ここまでヒットするには、別の要因もあると考えられます。

なぜならば、歴代映画の興行収入において最も数字の高かった作品でも「ONE PIECE FILM Z」の68.7億円。

https://onepiece-unchiku.com/rekidai-kougyousyunyu/

原作の盛り上がりで休眠ファンの回帰があるとはいえ、
ONE PIECEのファンだけでの消費力は、おそらくMAX70億円弱だということ。

このラインを越えるためには、ファンのみならず新しい客層を取り込む必要があります。

おそらく日本人で「ONE PIECE」という作品の名前を知らない人はほとんどいないと思いますが、

「子供の頃は見ていたけど、今は見なくなった」という休眠層。
「ONE PIECEは知っているけど、作品を見たことはない」という新規層。

もまだまだ多く存在すると考えられます。

つまり、休眠層・新規層を取り込まないと、過去作を超えたヒットを生み出せない。

新しい層を振り向かして劇場へと足を運ばせるためには、作品の魅力以外の強いエネルギーが必要。

そして、その強いエネルギーこそが、「音楽」であると考えます。

音楽の力を使って、ファン以外の新しい層を取り込んでヒットさせる。

まさに、その方法で大ヒットを記録した事例があります。

新海誠「君の名は。」(2016年)

http://www.kiminona.com/

日本の興行収入ランキング5位に入り、250億円を記録した超超大ヒット映画。
2016年にとんでもなく話題になり、知らない人はいないのでしょうか?

しかし、新海誠監督の今までの作品は、興行収入1億円規模でした。
過去作から見ていた人の消費力は1億円規模となります。

では、なぜ「君の名は。」がここまで大ヒットを記録したのか?

それが、「音楽」。

若い世代から絶大な人気を誇るRADWIMPSとコラボ。

新海誠監督は、RADWIMPSと映画の世界観をもとに緻密に劇中歌を作り上げて行きました。

RADWIMPSのファンおよび、音楽ファンからすると、
RADWIMPSが新曲を出すという情報だけでも食いつく。

それが「君の名は。」という映画の劇中歌ということを知り、
作品の認知とともに、RADWIMPSの新曲を聴きに劇場へいくという動機が生まれる。

なおかつ、「君の名は。」というコンテンツの面白さにどっぷりとつかり、
若い層を中心に口コミが周り、社会的大ヒットへと繋がった。

つまり、「音楽」をフックに、新海誠監督の既存ファンのみならず、今まで縁遠かった新規層を取り込んだ成功例だと考えられる。

「音楽」の力ってすごい…。

作品のファンのみならず、劇場へと足を運ばせる力を持ったエンジンである「音楽」。

そして、「ONE PIECE FILM RED」も同じくして、
若い世代から絶大な人気を誇る「Ado」という最強のエンジンを起用。

Ado

Ado

Adoは、2020年に「うっせぇわ」でメジャーデビューを果たし社会現象を巻き起こた。2022年1月に発売した1stアルバム『狂言』もロングヒット中。
さいたまスーパーアリーナで開催した2ndライブはチケット即完売。

ここまでの影響力を持つアーティストを起用し、「ONE PIECE」の休眠層、新規層をうまく取り込んでいく。

さらには、ただ起用するだけではなく、Adoファンから外に波及させていくプロモーションの仕掛けが秀逸。

話題の火種は、映画公開前から始まっていた。

「Ado」公式YouTubeチャンネルで劇中歌MV公開

AdoのYouTubeチャンネルの登録者数は、392万人(9/7時点)

さらには、MAX2.4億回、MV平均500万回再生を記録する最強のチャンネルで、「ONE PIECE FILM RED」の劇中歌を怒涛の週1で配信。

Adoの新曲となれば、Adoファンのみならず、音楽ファンも食いつくニュース。
そして、それが「ONE PIECE FILM RED」の劇中歌、しかも7曲もあるということで、認知を促す。

そして、楽曲提供アーティストが豪華すぎる。

「今」を牽引する超豪華アーティストにより、楽曲提供がなされている。

中田ヤスタカ

‘01年に自身のユニットCAPSULEにてデビュー。日本を代表するエレクトロシーンの立役者であり、Kawaiiダンスミュージックからハードなトラックまで、その独自の感性によって世界中のアーティストから支持を受けている数少ない日本人アーティスト。Madeon、Porter Robinson、Sophie(PC Music)など海外の第一線で活躍中の彼らも「強くインスパイアされたアーティスト」として中田ヤスタカの名を挙げるなど、シーンへの影響力は絶大。

https://wmg.jp/nakatayasutaka/profile/

Mrs. GREEN APPLE

2013年結成。2015年EMI Recordsからミニアルバム「Variety」でメジャーデビュー。「青と夏」「インフェルノ」「点描の唄 feat.井上苑子」「僕のこと」「ロマンチシズム」「WanteD! WanteD!」の6曲が総再生数1億回を突破(「青と夏」「インフェルノ」は3億回を突破)するなど、活動休止前にリリースした楽曲の総再生数は20億回を越えている。(再生回数は2022年3月1日時点)約1年8ヶ月の活動休止期間を経て、現在のメンバー編成となり、2022年3月、『フェーズ2開幕』とし活動を再開。ついにMrs. GREEN APPLEの新章が始まった。

https://mrsgreenapple.com/

Vaundy

作詞、作曲、アレンジを全て自分でこなし、デザインや映像もディレクション、セルフプロデュースするマルチアーティスト。2019年春頃からYouTubeに楽曲を投稿し始め活動を開始。「東京フラッシュ」「不可幸力」など、耳に残るメロディーに幅広いジャンルの楽曲を発表すると瞬く間にSNSで話題に。

https://vaundy.jp/feature/biography

秦 基博

宮崎県生まれ、横浜育ち。2006年11月シングル「シンクロ」でデビュー。
“鋼と硝子で出来た声”と称される歌声と叙情性豊かなソングライティングで注目を集める一方、多彩なライブ活動を展開。2014年、 映画『STAND BY ME ドラえもん』主題歌「ひまわりの約束」が大ヒット、その後も数々の映画、CM、TV番組のテーマ曲を担当。デビュー10周年には横浜スタジアムでワンマンライブを開催。初のオールタイム・ベストアルバム「All Time Best ハタモトヒロ」は自身初のアルバムウィークリーチャート1位を獲得、以降もロングセールスが続いている。

https://www.office-augusta.com/hata/profile/

レーベルも跨いだ、超豪華なアーティスト….。

それぞれのアーティストのファンからも、映画公開までの期待が高まる。

Spotifyでの劇中歌プレイリスト公開

そして、映画公開。時は同じくしてSpotifyで劇中歌のプレイリストが公開される。

そのまま、日本の音楽ランキング上位を独占。
音楽ファンからSpotify加入者まで知ることになる。

◎当週のBillboard JAPAN HOT BUZZ SONG
(集計期間:2022年8月15日~8月21日)
1位「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado
2位「Tot Musica (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado
3位「逆光 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado
4位「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado
5位「ウタカタララバイ (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado
6位「Habit」SEKAI NO OWARI
7位「Pink Venom」BLACKPINK
8位「雨燦々」King Gnu
9位「JUICY」Snow Man
10位「W/X/Y」Tani Yuuki

https://news.yahoo.co.jp/articles/e4057adbc485bf6901f24066e74bcd2e3c2833d6

そして、そのまま世界一になる。

https://www.universal-music.co.jp/ado/news/2022-08-12/

ここまで、デジタルの仕掛けで音楽ファンを中心とした幅広い層を巻き込み、作品に対する話題化を図った。

その上で、次はリアルに登場。

OOH(8/8~8/21)リアルでの展開

8月8日(月)〜8月21日(日)の期間、渋谷の街中に『ONE PIECE FILM RED』を彩る楽曲の歌詞広告が出現!歌詞広告を見つけて写真を撮り、MAGNET by SHIBUYA 109 1F イベントエリアに持っていくと、お宝の入ったガチャガチャができます。写真に撮った歌詞広告が多いほど、ガチャガチャの回数がUP。さらに、#Spotify_ウタ探し をつけて、Twitterに投稿してくれた方には抽選で50名様にBluetoothスピーカーまたはモバイルバッテリーが当たるチャンスも。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000156.000022249.html

もちろん、OOHと絡めたTwitterのキャンペーンで、リアルとSNSの連動を図る。

まとめ

「ONE PIECE FILM RED」大ヒットの1つの要因として、「音楽」にあると考えました。

音楽ってすげぇ。

そもそも、音楽×アニメは非常に相性が良いのでしょう。
音楽好きの方は同時にアニメ好きの方も多いことのでしょうか。

とはいえ、作品自体が面白くなければヒットには繋がらないでしょう。
既存のファンも満足させ、新規・休眠層も楽しませる本作の出来は素晴らしいものです。

「ONE PIECE」は原作では遂に最終章に。25年の歴史に幕が降りるのもあと少し。この映画が伝説になればと思っております。

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