情報共有と_ティール組織_の話

情報共有と『ティール組織』の話

今年の春くらいにうちの学生スタッフの間でフレデリック・ラルーの『ティール組織』が流行った。学生スタッフが『ティール組織』なんて読むのかよ、と思ったかもしれないが、東北大生なので読む。私も成毛眞の『大人げない大人になれ!』という刺激に満ちたビジネス書を読んでギラギラしていた大学生だったが、チョイスが違う。いい。

『ティール(進化型)組織』に関する考察は様々なところでなされているが、その子と話していたのは、

そもそも最前線の学生アドバイザーに与えている情報が少ない

ということだった。

弊組合のサポセンは職員5名に対して、職員と距離が近く通年で戦略立案もともに行う学生コアメンバーが実働で30名、さらにセンターオープン期間が主な労働期間となる学生アドバイザー、総務、不動産スタッフの総数は実働だけで120名を越える。同業者の中では「大規模組織」に当たる。

必然的に、職員がコアと立てた戦略や商品提案への想いの部分は、研修を通じて伝える内に薄まり、実際に新入生・保護者と対面する最前線の学生アドバイザーに届くころには機械的な情報に成り下がってしまう。

堀江貴文の『多動力』には「カルピスの原液」というたとえで、自らが画期的な思想やものの見方、考え方を生み出し、周囲がそれを薄めて広げることによって影響力が波及することを述べた。そのたとえでいうなら、もとの原液は最前線のアドバイザーに行くまでに水になっている。水だ。

わたしの担当商材のパソコンでいうと、極端にはこんな感じだ。

【職員・コア】
・在校生の使用実感(コト情報・リアルシーン)の収集・分析
・実際の商品選定(いくつかのメーカーから実態に合わせて選ぶ)
・新入生に必要性を感じてもらうためのストーリー立案

↓この内容を研修や朝会で情報共有する

【アドバイザー等現場スタッフ】
・今年はこのパソコンになりました!という「事実」
・今年はこんな感じで提案してね!という「指示」

つまり、提案する上で一番新入生・保護者に伝えてほしい「想い」や「コト情報」の部分が欠落しがちなのだ。ちょうど先週末も推薦生向けのピークで2日間で100組以上の新入生・保護者にご利用いただいたが(ありがとうございます)、現場の提案を見ていると「パソコンです。いりますか?」という段階でしか対話できていない、なんとも古くて新しい「モノ提案」という課題が浮き彫りになった。

ここへの対策として、コアスタッフの介入方式での提案フォロー(不安なスタッフが個別提案しているところにコアが入り、お客様との対話を肩代わりして提案の質を上げる手法)を強化するという手段ももちろんあるが、3月までの長い目で見ると、ドーピング的で得策とは思わない。

ここで先程の『ティール組織』の話に戻る。

情報の粒度をもっともっと粗い状態で敢えてアドバイザーに手渡すのはどうだろうか。実績が振るわないとついいつも職員でまず頭をひねり、それをコアメンバーに持っていってなんとか結論らしきものを出し、それを体裁整えてアドバイザーに「共有」する。

このプロセスを少し考え直してみたらどうなのだろう。

直接アドバイザーに「ぶっちゃけこのパソコンどう思う?」って聞いてもいい。

「実績があんまりよくなくて困ってるんだ。きみの提案はどう?」弱っているところだって見せていいのかもしれない。

仕事中のふとした会話の質を上げて、思い切って問題意識をぶつけてみよう。彼らは学生だけど、大人のわたしたちが考えるよりは、ずっと大人だ。

そうした日常の会話の積み重ねが、この仕事においては重要なのだと、改めて感じた。今日から実践せねば。


おしまい。



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