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50年前のガイドブック

古い本が出てきた。
家の誰かが買ったのだろうその本は
旅行のガイドブック。

旅の事典 郷土料理と味の店

私は旅行好きで、特に食事ではここでしか食べられないという「地のもの」を探す様にしています。

そんな事もあって、
ワクワクしながら表紙を開いた。

巻頭ページはカラー刷りで郷土料理を写真で紹介。

カラー写真ページは最初の4ページのみ

囲炉裏を囲む写真が印象的でこんな光景は、もう見られないよなぁ、、。
いつの本かと裏を返してみて見ると
なんと昭和44年の終わり。
今からザッと50年前のもの。

編集者の巻頭の言葉にある
「せっかくあそこまで行ったのだからあれを食べてくればよかったという後悔を残さない様にこの本が役立つはず」
というのが、
今も昔も旅の本質は変わっていないのだなぁと感じました。

この本が刷られた頃から
変わった事と言うと、
ネットの普及で、オフィシャルでない個人発信の情報も沢山得られる様になった事か。

ひとりに1つ情報端末がないだろう50年前。
情報は紙媒体が主だった頃
どんな情報を得られたのか?

目次を見るに各地方にセクション分けされていて、郷土料理と味の店に分けられている。

今のガイドブックは都道府県ごとに同じボリュームがあって、
『このあたりなら
観光地はここで、人気のスイーツはここで、
泊まるなら、、、食事なら、、、』
と盛り沢山なのだが、そんな感じではないみたい。

これは、、、活字、、。

郷土料理の紹介ページ

全部活字です。

例えば、
郷土料理で紹介されている
福岡県の名物鍋「水炊き」は、
50年前、既に全国区に広まっていたらしく、
料理法から食べ方、お薦めの締め方 など
全部文章で紹介されています。

どこで食べられるかという情報は
店名が太字で強調され、
紹介されているお店は当時の有名店
(時代や情報から当地で美味しいとされた店)
と思いますが、
新三浦や水月は今でも有名なお店なので、
50年前から皆に知られていたのは
歴史を感じます。

あとは大事な価格帯。
水炊きは当時1,500円が相場だった様子。

物価は今の1/2くらいって感じなのでしょうか。

物価が気になったので、
パラパラと見ていると
イメージ掴めそうなページがありました。

鉄道路線とその駅で販売される駅弁の一覧

駅弁は大体200円程度なので今の1/5くらい。

北海道・森駅のイカ飯といえば、
今でも有名な駅弁ですが、当時は100円だったみたいで、これに関したら1/10くらいです。

この本に書かれている一般的な食事の価格は
今の1/5くらいって思うことにしました。

読んで感じたことは、

活字だけでもイメージは伝わるものなんだなぁ。という事。
逆に写真がバンと載っていない分、
「どんな料理か?」と
想像できて楽しいかも知れない。

今は便利な時代で
写真や動画が「体験した気」にさせてくれます。
この本を参考に他の情報なく、
実際に行って食べたらと考えると
『その感動』
は、現代人には体験出来ないものかも知れないです。

『知っている』と『経験した事がある』は、
大きな違いがあって、
経験した事は刻まれる深さが違うと思うのです。

今も昔も情報で伝えられないのは
味と匂いかで変わらないと思うのですが、
見た目もわからず、
想像したもの答え合わせになる旅は
本当に価値があるものなのかも知れないです。

続きに飲食店紹介がありますが
これも活字。

都市の繁華街情報や風土、雰囲気が説明され
手軽に入れお店、美味しいお店が同じく太字で強調されています。

大きな街は少しだけ簡単な地図が付いていますが、50年前ってこんな感じだったんだと街が変わっているのも面白いです。

簡単な地図

料理のジャンルごとに説明され、
お店の所在地は町名のみ。

当時は
「〇〇ってお店は何処にありますか?」
と現地で確認してたのだろうか?

今はスマホの地図で検索して
道案内も出来る、しなんだったら
お店が営業しているかの情報まですぐ分かるので、ヒトに尋ねる事がないと思います。

反面、
「いやぁ探した探した!」
「せっかく行ったのに休みだった!」
といった旅の土産話も減っているのかも知れません。

なんだか、情報だけで動き回るより
程よい情報で行った先で情報を得るのが楽しいのでは?と思ってしまいます。

今の時代、ものすごく時間短縮しているので、
たまには思った様に行動した方が良いのかもです。

最近行った旅先で
ふらりと入った店がこの本に載っていたので
驚きました。

店の名物を聞くと「鴨吸い」というので、
それをお願いしたのですが、
本にも『鴨吸いが得意のちょろ松が北浜に』
と書かれていました。

美味しい鴨吸いは、
珍しい「中華麺入り」だったのですが、
本には書かれていませんでした。

こういった驚きを少し残しているんですかね。
若しかすると、50年の間に変化したのかも知れませんが。

なかなか、面白い本です。

今度旅行に行く時は
この本に載っているお店
探しに行ってみようかな。

それもなんだか旅の楽しみな感じがします。

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