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男と白

煙突が白い煙を吐くときに、エネルギーが充満し続ける内部から溢れ出したいとそうするとき、あれは一体何なんだ。

一個の物語が、始まりと終わりを断ち切るが、その内には、

煙草なら、どうだろうか。まるで私を包みながら、しかし上昇していく煙は、

今日の朝は、特別なことが一つあった。部屋から出ると、一面に白い雪が降り積もっていた。昨日の朝から降り始めたようだが、全体として暗鬱とする雰囲気と、身を縮こめる寒さにじっと部屋にいて、昨日一日、何事もなく過ごしたのである。

白い雪が演出するのは、光の効果である。私は東の方に背を向け、背中で優しい温かさを感じながら、立っていた。思うに、空は綺麗な青色をしていて、太陽は黄金の活気を送り続けているが、この雪というのは、それらを互いに溶け合い、反響する役を買っているのだろうと直感した。空間自体が澄み渡っており、この澄み渡るというのは、ある面において緊張状態でなければならない。というのも、昨日の殺伐とした雰囲気は、全ての堕落したものによる弛緩の結果としか言いようがない。

息漏れ声の輪郭のない響きを考えれば分かる。倍音成分を豊かに含んだ声というのは、硝子と鋼のようであって、極限的に一本の線でありながら、弛むことがないため、結果的には極限的に強い。

私は認める。一個の歴史のような人間が強いと、そして英雄たるものへと到達したいとも考えていることを、では、私はただ、雄々しい格好をしてみさえすればいいのか。その素振りからは、到底、乖離してしまっている女々しい感情を隠しながら生活すれば、完成された人間になるのだろうか。

小説や劇にしろ、一個という人間は登場しない。しかし物語は完結する。それは正しく、一個の物語である。

太陽の熱気が雪を少し溶かした。そして液体になった雪が、用水路を流れるようになった。コンクリートが風化した窪みから覗く僅かながらの水は、繊細に捉えようもできた。音が私に反響し、その私がふかした煙草の煙が、身に纏わり付き、やがて上昇して風と消えていった。そのとき私は停滞した自分を自覚したのだ。

まるで夢から醒めた時間感覚が、一瞬にして過ぎ、不定形の夢想が始まっていたようだった。

さて、影は光を押し退け、さらにはコンクリートブロックを切り裂いたのか。精液は、どこに向かっているのか。低い水は、さらに低い方へ、草木は太陽の方へ、私の唇に触れる熱はかしこに。煙は、空気を孕み、新たなる様相として、また私に触れるだろうか。

私は私を触媒にし、私以外のものを触媒にし、それ故に触媒自体は私である。

しかし、こんなことはとっくに分かっている。停滞が何か分かっている。そしてこれが実は停滞でないことも。一人の人間だ。私は一体、


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