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フィンランド留学記#5 英語以外のコミュニケーション手段をもつ

オウル大学には、授業外にとることのできるスポーツのコースや、学生が自主的に集まって行っているサークル活動のようなものがあった。

日本人の留学生仲間のFくんも、オウルでスポーツをしていた1人だった。高校、大学とバスケをずっと続けてきた彼は、留学生を中心に開催されていた、バスケをする集まりに毎週のように参加していた。

あるとき、彼が「本当にこれまでバスケをやってきてよかった」と話してくれたことが印象に残っている。高校からバスケを一生懸命続けてきた彼の実力は、他国の留学生からも一目おかれているのだという。

留学を始めたばかりの頃、英語が思うように使えないと、突然自分の能力がなくなってしまったかのように感じる。日本語なら簡単にできるのに、相手の言っていることがわからない、自分の言いたいことが伝わらない。友達がなかなかできず、自信も自尊心も削がれていく。そんな中、彼はバスケで他の留学生とコミュニケーションをとることができたことによって、同じ趣味をもつ友達ができ、「自分はできる」と自信も取り戻すことができた。

英語以外のコミュニケーション手段を持っていることは、異国の地で自分を助けてくれる。それはこれまでも得意だったことでもいいし、新しく始めることでもいい。

わたしにとってそれはダンスだった。中高はバトントワリング、大学でジャズダンスをしていたわたしは、留学中にひょんなことから、それまでやったことのないサルサを始めた。そのおかげで出来た友達もいる。

なにより、サルサを踊っている間は英語を話さなくていいことが、とにかく楽で幸せだった。英語というフィルターを通さずに、自分が、自分の得意なことで評価されることが快適だった。先生が新しい技をみんなに教えるときに、前で手本をするように言われたときは、本当に嬉しかった。

何もかもが新しい世界に飛び込むときに、変わらず、自分らしく取り組めることが何か1つでもあると、きっと自分を守ってくれる。

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