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私たちが「動画」より「ポッドキャスト」な理由

トトトトトーキョーは動画ではなく、音声を選びました。「YouTubeの方がいいんじゃない?」「YouTubeはしないの?」。こういった意見をよく耳にします。もちろん再生数や収益化を求めるならYouTubeを選ぶべきです。でも私たちはポッドキャストを選びました。どうしてでしょう。

つくりやすさは動画より音声

過去には動画編集も経験しています。経験上、音声コンテンツと動画コンテンツでは初期投資、人的リソース、制作時間のすべてで、音声の方がとっつきやすいです。とにかく動画は時間がかかります。

初期投資については過去記事「ポッドキャストができるまで【収録編】」に詳しく書いています。スマホひとつで配信している動画配信者やポッドキャスターならまだしも、コンテンツのクオリティーを高めようとすると、動画でも音声でも機材が必要になります。動画と音声ではこの機材の投資額が決定的に異なります。

動画コンテンツは「映像」と「音」の複合コンテンツです。音声コンテンツは「音」だけです。制作工数もざっくり半分です。「ポッドキャストができるまで【収録編】」でも述べていますが、収録時のミスも編集ソフトでなんとか取り返せます。私たちのような素人にとって、失敗のリカバリーがしやすいのも音声コンテンツの魅力です。

マネタイズはできないの?

ポッドキャストのマネタイズには、大きく分けて4つの方法があります。

  1. 番組スポンサー(広告)を獲得する

  2. 有料イベントを開催する

  3. グッズを販売する

  4. コンテンツ制作をコンサルティングする

ポッドキャストを日本国内向けに配信する場合、YouTubeみたく自動的に広告が差し込まれるマネタイズ機能は原則ありません。配信者がスポンサーを直接獲得する必要がありますが、ラジオ局や人気ポッドキャスターでもない限り難しそうです。多くのポッドキャスターにとって、有料イベントやグッズ販売がマネタイズの第一歩になるでしょう。

個々の番組で集客が難しいなら、ポッドキャスターが集まって開催するファンミーティングが増えると、業界が活性化しそうです。

国内音声市場は成長するか

ポッドキャスト先進国のアメリカでは、デジタル音声広告市場が堅調です。Interactive Advertising Bureau(IAB)のレポートによると、2022年の米国デジタル音声広告は前年比で20.9%の伸びでした。これは動画広告や検索連動型広告、SNS広告などを押さえて最も成長力の高い市場でした。

しかし、市場規模でみると、米国の音声広告市場は全体のわずか2.8%(59億ドル)に過ぎません。動画広告市場は22.5%(471億ドル)もあり、動画と音声の市場規模の差は拡大しています。

国内広告市場もラジオは堅調だったが

電通が公表した「2022年 日本の広告費」によると、日本国内の広告費総額は過去最高の7兆1021億円で、そのうちインターネット広告費は3兆円を超えました。4マス媒体のうち、ラジオ広告だけが対前年比プラス。インターネット広告に目を移しても、「ラジオデジタル」は前年比約1.6倍の伸びで、「テレビメディアデジタル」の伸びを上回りました。

しかし、市場規模でみるとラジオデジタルは14億円、テレビメディアデジタルは254億円で約18倍の差があります。米国同様、動画と音声の実質的な差は拡大傾向にあるようです。

国内広告市場全体が拡大傾向にあり、デジタル音声市場がまだフロンティア市場であるため、デジタル音声広告市場の伸びしろは大きいと思います。しかし、YouTubeのように"食える"ポッドキャスターがどんどん誕生するかと問われると、個人的にはまだ懐疑的です。一部の有名ポッドキャスターは別ですが、多くのポッドキャスターはマネタイズはひとまず置いて、楽しみながら日々の配信に意識を向けるべきだと思っています。

このあたりの業界分析は、デジタル音声広告事業を展開する「オトナル」八木太亮代表のポッドキャスト「オトマーケ」が詳しいです。

音声番組らしいファンづくりを目指して

マネタイズを目的に、音声コンテンツを制作するのは避けるべきだと思っています。人気講談師の神田伯山さんは自身のラジオ番組「問わず語りの神田伯山」(TBSラジオ)で、「ラジオの友は、真の友」と語りかけます。ラジオパーソナリティーとリスナーが織りなすコミュニティーは「共犯関係」にも置き換えられる強固さがあります。

ポッドキャストでのマネタイズは、個人レベルだとかなり困難です。トトトトトーキョーはマネタイズのことを考えたくありません。イベントやグッズはイメージしていますが、利益を目的にする考えはあり得ません。この番組がリスナーや私たちの「居場所」になり、番組を通じたコミュニティーが広がることを目指しています。

お金はいらない。だからなるべくお金を使わないで配信する。ポッドキャストはブログ感覚で始められる手軽さが気に入っています。アマチュアポッドキャスターも増えました。TwitterやTikTokの代わりにポッドキャストという選択肢を持つのもいいんじゃないでしょうか。

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#わたしとポッドキャスト #podcast  

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