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インドは旅行じゃないよ。冒険だよ。3

牛の💩を踏みながら朝の散策をする。
喧騒が始まる前だから、牛もどこかのんびりしている・・・年中、のんびりしてるかw

いつものオープンカフェへ向かう。
つうか、テーブルと椅子を路上に勝手に出して店をしているチャイ屋さんw

ホットチャイとナンのメープルシロップがけを頼む。
それが僕たちの朝の定番。一人8ルピー(64円ぐらい)。

朝から食べられる場所って、そんなにないんだよね。
顔馴染みになるぐらい通った。

そこで朝の作戦会議だ。
地球の歩き方を見ながら、どこを攻めるか話し合う。

ここなんかはどう?
そこは危険だから、こっちにしましょう。
毎朝、繰り返されるやり取りだ。
安全第一の奥さんと、危険がご馳走の僕では話が合うはずもなく・・・。

で、真ん中を取る。
不服そうに頷く奥さんに、ニコニコと対象的な僕。

街がざわめき出した。
僕たちは立ち上がり、テーブルに20ルピー置いた。
食事代は二人で16ルビーだ。
奥さんがそれを見て笑っている。
少し照れながらあるき出す。

これは、昨日、欧米人が多い目のお金を置いてゆくのが格好良かったのでやりたかったのだ。
チップという慣習のない日本人には馴染みがないが、ホテルなんかでは割と重要な役目を果たしたりする。
ただ、街のチャイ屋さんでやる人は少ないと思うが・・・。
気分は、欧米か・・・。

星の子たち(乞食)の朝は遅い。
まだ取り囲まれることはない。

陽が高く昇ると、待ってましたとばかりに寄って来る。
定番の子供たち。人数が増えているような気がする。
あの日本人、毎日、金をくれるらしいぞ・・・そんな評判が広まったかもw

その為にいつもポケットに小銭を入れてジャラジャラいわせてる。
整列させ、順番に渡してゆく。
受け取った子供が最後尾にまた並ぶ・・・。

ある日、急に受け取らなくなった。
聞いてみると「いつも悪いよ」みたいなことを言うw

聞いたところに拠ると、ボスみたいな大人がいて、全部吸い上げるらしい。
なので、キャンディーを買って上げたら、めっちゃ喜んでた。
それ以降、キャンディーと小銭は常時用意していた。

夕暮れ、歩き疲れた身体で、いつものチャイ屋に陣取り、寛ぐ。
はたまた子どもたちが寄ってくる。
ただ僕の座っているテーブルを囲み、キャンディーを舐めながらニコニコと見ているだけ。

隣の席に、体格のいいスーツ姿の黒人を見つけ、目で合図を送る。
子どもたちは、わっと黒人を囲む。慌てる黒人。
「no no no! no money」
と、ふと僕と目が合う。
ニヤリと笑って子供たちに、僕の所へ行くよう顎で促している。

僕たちは笑った。一瞬にして打ち解けた。
彼は、アメリカから仕事で来ているらしい。

子供たちがしつこく食い下がる。
彼は、大きな札を出して、これしかない、と言っている。
で、僕は言った。
「そこの駄菓子を買うとお釣りをくれるよ」
子供たちもそのやり取りに気付いたようで、壁に吊り下げられた駄菓子を指差す。
頭を抱えながらの本場の「Oh my God」を聞けて僕は満足。
彼はその駄菓子を買い与え、おまけに小銭も上げていた。
やっぱり良い奴だった。

そろそろ重い腰を上げようとしていたろころに、奥のテーブルから二人の若い白人男が出てきた。
そして何やら話していたが、子供たちを見て嘲笑いながら10ルピー札を破いて捨てた。
おそらく、物価の安いインドに来て大金持ちになって偉くなったような錯覚をしているのだろう。

僕は頭にきて立ち上がろうとしたが、奥さんに抑えられた。
僕は怒りを堪えきれず、その男達の背中に向かって中指を立てた。
「Fu○k you!」
僕の背後から黒人の野太い声が聞こえた。
振り返ると、彼も中指を立てていた。
僕らは、顔を見合わせ爆笑した。

帰る間際、彼は立ち上がると、僕に近寄り手を差し出した。
ごっつい手をぐっと握る。
彼も力いっぱい握り返してきた。
見つめ合い、友情が成立したことを確認し合う。

「Good by my brother」
「See you 」

名前すら知らない、僕のアメリカの友人。
今頃、どうしているかなあ・・・・。



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