008 「ハートマークくれくれ病」を脱したいすべての表現者のために。あるいは、きみも今この瞬間からフローでナチュラル・ハイで幸せいっぱい人間になっちゃいませんか!?

あるハリウッドの俳優さんが、tedの講演で、
「注目を集めようとしたらダメ、注意力を上手に使ってフローの状態に入るようにしないと」
と言っていて、まったくその通り!だなと同感しました。

https://www.ted.com/talks/joseph_gordon_levitt_how_craving_attention_makes_you_less_creative/transcript#t-349384

ネット上に文章を書いていると、ぼくのような承認欲求強すぎ人間の場合、「スキがいくつついたぞ」とか、「フォロワーがやっと〇〇人になった」とか、「やった、サボートをいくら貰えた!」みたいな、注目集めゲームをどうしてもやり始めちゃうんですよね。

で、やり始めたときはいいんだけど、そのうち段々うんざりしてくる。

だって、そういうのには切りがないから。

バットマンシリーズの「ダークナイトライジング」に、バットマンの相棒役として出てるジョゼフ・ゴードン=レヴィットのような人も言ってることですから、間違いありません。

注目なんかいくら集めても、幸せになれたりはしないんです。

❝ 注目を集めて暗し我が人生 ❞

……てなところでありまして。

注目という言葉は、英語ではアテンションとなりますが、同じアテンションでも人の注意をどうこうしようと言うんじゃなくて、自分の注意力の使い方を考えたほうがいい、とジョゼフは言うのです。

ジョゼフは一旦カメラが回り出し、演技に入り込むことができると「自分の注意力は演技の世界だけに絞り込まれ、他の一切のことが気にならなくなる」と言っています。

余計なことを一切考えることなく、自動的に体が動いて最高の演技が立ち現れる……。

ポジティブ心理学の提唱者ミハイ・チクセントミハイのいう「フロー(流れ)」の状態ですね。

もちろんこのフローの状態に入ることは、ジョゼフのようなプロの役者にとっても簡単なことではありません。

そこでジョゼフがフローに入るためのヒントとして言ってるのが、
「他の表現者をライバル視しないで、すべての人を共演者と考える」
ということです。

周りの人を「敵」だと思ってたら、緊張してフローどころではなくなってしまいます。

周りの人をみんな仲間として見ることができれば、肩から力を抜いてリラックスすることができますから、その結果最高のパフォーマンスが出せる状態に近づくことができるわけです。

これは俳優が演技をするとか、ミュージシャンが音楽を演奏するとかいった特別なアーティストに限った話ではありません。

ぼくたちの一人ひとりが、毎日をどう生きるかとつながっている話なんです。

あなたが学校や会社に通って、好きでもない「仲間」に囲まれて、いやいや勉強や仕事をしているとすれば、それって人生をかなりムダづかいしてますよね。

周りの人間が、仮にあなたから見て不愉快な存在でしかなかったとしても、その人たちを「敵」だと思うことを、心の底からやめることができたとすれば、それだけであなたの人生は一歩だけフローの状態に近づくはずです。

周りの人たちが「あなたを邪魔する存在」にしか思えないとしても、それをあえて「畑のキャベツ」くらいの無害なものとして見る練習をしてみるのです。

「畑のキャベツなのに、ぶつぶつ言ってて何だかうるさいな、でもまあそういう設定の世界なんだから仕方ないか」とでも考えて、落ち着いて、状況を明らかに見て、どうにも仕方のないことは諦めてしまうのです。

すると今までの、「うるさい奴らが邪魔ばかりしやがって」という捉え方と比べて
みれば、相当に客観的な見方ができるようになるわけですから、あなたの心は一段階落ち着いて、余計なストレスから逃れることができ、そうです、ほんの少しではありますが、自分の能力を自然に発揮できる、フローの状態に近づくことができるのです。

とまあそんなわけで、ネットで文章の読み書きをしていると、自分よりうまい書き手などごろごろいるのを日々思い知らされるわけで、オレごときが、こんなしょーもない文章を書いてて何がどーなるんだと、ついつい自暴自棄な気持ちにもなりがちなのですが、つげ義春氏が「無能の人」に描いたように、社会的には無能としか言いようのない人間であっても、その無能さを表現することの中に、一抹の真理を込めることはできるわけですから、銀漢の星のごとく数多くいらっしゃる達筆の方々を、ライバル視するような愚かな考え方を離れることにして、すべての表現者はネットという表現媒体を、共に盛り上げる仲間なのだという前向きな信念を薄桃色の脳髄に刻みつけて、今日も電網の大海原に、ささやかな孤独のメッセージを投げ放つ次第なのでありました。

☆この記事で触れた漫画

つげ義春「無能の人」
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