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[全文無料・投げ銭詩想] 無数の詩人を弔う挽歌

酒に溺れた詩人が一人
一杯だけなら天国なのに
さみしさだけで生きてきた
明るい未来を夢に見て
澱んだ今を忘れるために
走り続けて泣いていた

酒に飲まれた詩人が二人
二杯も飲めば地獄が開く
灼熱無間のとばりが降りて
阿修羅も笑う今宵のうたげ
明日はないさと歌って躍り
女を想って高笑い

酒を飲み干す詩人が三人(みたり)
三杯飲めばあの世行き
しんと静まる孤独とともに
浮かぶ言葉を浮き世へ放つ
切られた世界がきらりと光り
鋭い傷に血が滲む

数多(あまた)の詩人が無尽の酒を
飲み干すこともかなわぬままに
尽きぬ望みを綴り続けて
今日も明日も死んでゆく

死ぬことこそが生きることだと
お前に俺に言い聞かせ
刹那に久遠(とわ)を見いだすのだと
一人夜空につぶやきながら
星を見上げて躍るとさ
星を見上げて唄うとさ

 ・ ・ ・

 ・ ・ ・

 ・ ・ ・

シラフの味を覚えた詩人
言葉の消えた宇宙の果てに
星が生まれる奇跡を見つめ
死にゆく人の看取りを果たす
そして赤子のへその緒を切り
みなの幸せ祈るのさ
言葉もなしに祈るのさ

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