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2.25(8/89日目) 自力宿探し&車の概念

朝9時過ぎ。
予定通り3泊でホテルをチェックアウト。

いいホテルだったが、より安い宿を見つけるため引っ越すことにした。

これまで街を歩いている間、安そうなホテルの看板はたくさん見かけていたのでどこかには泊まれると考えていた。

重い荷物を背負いながらマヨール広場の南方面を探しながら歩く。途中日本人の経営するホテルを発見したがスペインにいる実感が半減しそうだったので入るのはやめておいた。

この旅行の最終日くらいは泊まってもいいかもしれない...。

初めての自力での宿探し1軒目。 

Pension Casadoというホテルに見当をつけ、サラサラさんに教えてもらったとおりに

「¿Hay una habitacion?」

とインターホンに話しかけてみた。

するとインターホンからは応答がなく、1分ほどしてギィィ...と玄関の扉が少し開き、中年の無愛想な男性が顔を半分覗かせた。

真冬のリゾートホテルで斧を振り回すホラー映画を思い出してしまい少しビビったが、中に入れてくれたので一緒に階段を昇って受付のある2階へ。

受付とロビーは昨日まで泊まっていたホテルの3倍はある広さ。しかし電球の数が少なく、なんとも薄暗い。

暗さに目が慣れてくると、ロビーにはテレビはなく、深緑色のコーデュロイ生地の古ぼけたソファが横たわっていた。暖房は効いておらず、ヒンヤリしていた。

あまり人を迎えるといった雰囲気は感じられず本当にここはホテルなのかと疑ってしまったが、受付デスクの後ろには各部屋の鍵が掛けてあったので、ホテルではあるようだ。

少し不安になってきた...。

部屋を見せてもらえないか尋ねると、昼間にも関わらず真っ暗な廊下を歩き一番奥の5号室に案内された。部屋もかなり広い。だがやはりここも薄暗い。

道路に面した窓を開けてみると一斉に日光が入ってきて部屋を明るく照らした。見晴らしは良くベランダも付いている(前泊のロスアルカスは窓を開けると中庭で日光はほとんど入らなかった。)。シャワー・トイレは共同だが5号室の目の前にあるので不便はなさそうだ。

これで2,000Pts。少し不安は残るが安いのでここに決めた。

気がかりなのは、前泊のホテルの時と違い1階の玄関の鍵を貸してくれないこと。帰ってきたときはその都度1階のチャイムを押してホテルの人に開けてもらう必要がある。それと他の宿泊客がほとんどいないように見えたこと。

そしてとにかくやっぱり全体的に暗くて寒い...。

「初めての自力宿探しはこんなものかな。」

独り言を言いながら荷物を部屋に置き、今日の観光目的であるアトーチャ駅近くの美術館「ソフィア王妃芸術センター」へ行ってみる。 

ピカソなどの20世紀以降のアーティストの作品を観ることが出来る現代美術館で、ここの一番の目玉はピカソの「ゲルニカ」。学生時代の教科書で見たことがある作品である。

縦3,5m×横7,8mという巨大なゲルニカの正面に立ち眺めると迫力に圧倒されしばらく立ち尽くしてしまった。上手く表現できないが、なんというかピカソの脳内の中に入ったような感覚に襲われた。とにかくすごい迫力だった。

2時間程で見終わり街をブラブラ。そういえば実家に到着の連絡を入れてないことに気づき、公衆電話から電話をしようと書かれた説明の解読を試みていると中年の日本人観光客に道を尋ねられた。

その中年おじさんは先程マドリッドに到着してプラド美術館に直行するらしい。

「たぶんあっち方面です。」

と、美術館らしき建物がある方向を指差し5分ほど話をしてお別れ。

電話をしようと思ったが、日本では23時近くということに気づき改めることにした。

ホテルに戻るにはまだ早すぎるので近くのメトロの駅に乗り込み、適当な駅で降りてみることにした。

Pueblo Nuevoという駅で降りてしばらく歩いてみる。このあたりはSol広場からも遠く住宅街で人通りも少ない。さらにしばらく歩くと何やら巨大な建造物が現れた。

形から察するにコロッセオ...?、いやいやそれはローマ。

看板を確認してみるとPlaza de Tros de las Ventasと書いてある。Trosはたしか牛という意味...。

「闘牛場だ!」

街を歩いてたらいきなり闘牛場に遭遇するなんて...。当たり前だが日本ではありえない。 

しかし闘牛場は閑散としていて誰もいなかったのでとりあえず一周して外観だけ眺めた。スケジュールを調べて改めて見に行こう。

ホテルに戻り、ベランダから夕陽を眺めつつマドリッドの街並みを眺めた。

ふとベランダの外を見下ろすと、旧市街の狭い道に車が隙間なく縦列駐車をしていた。車と車の間隔は5cmもない。

どうやって停めてるか不思議だなどと考えていると、ちょうど真下に停まっていた赤い車の持ち主が戻ってきた。
すると車はいきなり前の車に体当たり。そしてそのままグリグリ押していった。後ろも同じく押し出し、前後1m程の間隔を確保しハンドルを切り何事もなく走り去っていった。

どうやらスペインの車のバンパーは、このように使うのが普通らしい。日本では車の前後2メートルはなければ車を入れるのに躊躇するがスペインは15cmもあれば十分のようであった。

たしかにバンパーはその名の通り「bump(=ぶつかる)」するためのもの。そのための物なのかと思うと府に落ちた。
日本も昔はこんな感じだったのだろうか。いや、日本は靴を脱いで車をキレイに使う人もいるくらいだから昔からそんな習慣はないような気がする。価値観の違いというヤツだろう。

通りを眺めているだけで飽きることはなかった。

夜になり夕食を求めて一人でも入れそうなレストランに目星を付け入ってみた。
初めての自力宿探しが無事成功を祝ってガス入りミネラルウォーターでひとりカンパイ。
しかし、あまり美味しく感じなかった。炭酸と甘味はセットがいいと思った。食事は相変わらずバツグンに美味しかったが。

ホテルに戻り、日記を書き終え眠るために窓の外扉を閉めたところ、外からの光が0.1mmも入ってこなくて部屋は真っ暗な闇に包まれてしまった。暗いところは苦手というほどではないが本当に本当に真っ暗で、手を伸ばしている自分の手もどこにあるか分からなくなるくらいの尋常じゃない暗さ。

「やっぱりこのホテルは暗い!」

まさに漆黒の闇。ホテルでこんな闇に遭遇することになるとは...。

流石に少し怖かったので、床を張ってベッド横の電気スタンドまで行き、電気をつけて寝た。

明日はついにこの旅行の最優先事項のレアルマドリッドの試合のチケットを買いにいく予定である。

本日の出費

昼食 600Pts
夕食 800Pts
ホテル(7日分) 15,000Pts
MetroBus(地下鉄チケット) 670Pts
as 125Pts
現代美術館入場料 500Pts

本日覚えたスペイン語

Lateral=バックスタンド

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