2.26(9/89日目) サイン会とスリとドラッグ青年
今日はフットボールのチケットを買うためにメトロでサンチアゴ・ベルナベウスタジアムへ。
にしても今日はイベント盛りだくさんな一日だった。
道中、プラド美術館の前辺りを歩いていると、大学生らしき青年に呼び止められた。プラカードと署名用紙を持っていて「STOP-AIDS」の文字。
ひとまず関係なさそうだったので素通りしようとしたが、通せんぼされてしつこく食い下がってくるので仕方なく彼の希望通り署名。そして立ち去ろうとしたら
「サインしたのだから寄付をしろ。」
的なことを青年が言い出した。
そんな金はないと両手を広げ断るが、大声で食い下がってくるので断りきれなくなり渋々2,000Ptsを払った。
寄付がしたくない訳ではないがなんとも後味の悪い寄付になってしまった。
次回はそれらしき集団を見つけたら避けて通ることにしよう。
しかしスタジアム周辺を探すもチケット売り場らしきものが見当たらず、探し回っていると正面からアジア系の男性が歩いてきた。予想通り日本人で、その人もやはり今週末の試合のチケットを買いに来ていたらしい。
1人で観戦するより2人の方が断然楽しめるので一緒に売り場を探すことに。ジャイアン風の頼れるお兄さんといった風貌のこの男性は大阪のK大学4年生の今井さんという方。
今井さん曰く、18時から売店が開くそうなのでそれまでの時間をスタジアム周辺で時間をつぶすことになった。
ひとまず腹ごしらえということでスタジアム近くのバーガーキングに入った。ファストフード店はマクドナルドとロッテリアしか入ったことがなかったのでアメリカンサイズのバーガーのボリュームには驚いた。
その後、先日見学したスタジアム創設50周年記念のブースからふたりでスタジアムの中に入り、3階席のシートに座ってピッチを見下ろしながら2時間ほど雑談。サッカーファンからしてみれば贅沢過ぎる空間だ。
今井さんは話しの内容からしてかなりのサッカーマニアだということが伺えた。話も尽きずいつまでも話すことが出来そうだったが、レアルグッズが売っているショップに行きたいと言うので一旦スタジアムを離れた。
スタジアム近くのグッズショップに行ってみると、入り口でなにやら人だかりが出来ていた。
覗いてみるとサイン会場のようなセッティングがされていたので、ショップのスタッフに誰が来るのかとか聞いてみると、どうやら昨年レアル・マドリッドに入団したばかりの若手選手で人気上昇中のサビオ選手が来るとのこと。
サビオ選手はレギュラー選手ではないが、生でレアルのサッカー選手に会えるなんてなんて幸運。サインをもらうために絵ハガキを買い列に並び待つこと10分。サビオ選手が会場に入ってきた。
見事なアスリート体型だがガッチリしているというわけではない体型が新人選手っぽかった。自分は贅肉だらけの弛んだ体型なので何も言えないが...。
自分の順番になりサビオ選手の写真入りハガキを差し出してサインを頂くことが出来た。緊張のあまり握手をしてもらうのを忘れてしまったが、偶然にもレアルの選手を生で見れるという貴重な体験をすることが出来て幸せであった。
サビオ選手の隣にはCANALなんとかというテレビ局がカメラを回していて、自分も撮られていたような気がした。
ショップを出て18時までスタジアム周辺をウロウロし、無事チケットを購入。
夕食を今井さんと一緒に日本食の店「どん底」で食べることになった。しかし開店の20時までまだ少し時間があったので休憩場所を求め歩いていると、「STOP AIDS」の集団に出くわしたが今度はなんとか回避。
エスタンコでタバコを買い、二人でベンチに座って休んでいると、目の下にクマを作ったアブナイ目つきの青年2人組がフラフラやって来て話しかけてきた。
何を言っているのか分からなかったが「シガロ」というワードは聞き取れたのでどうやらタバコをよこせと言っているらしい。
関わりたくないので
「No.No.」
と首を左右に振り断わり追い払ったが、その2人は数メートル離れたところでじっと自分達を睨みつけている。今井さんと目を合わせ
「なんかやばいね...。別の場所に行こうか。」
スッと立ち上がり移動すると、2人のドラッグ青年が後をつけてきた。チラチラ後ろを確認しながら速歩きで遠ざかると青年たちも歩く速さを上げてついて来た。
お互いに徐々に早歩きから小走りに、小走りから全速力に。
「ダッシュ、ダッシュ!」
今井さんが先を行き、人混みを縫うようにして猛ダッシュ。3ブロック程走って大通りの横断歩道を渡り切った所で運よく信号が変わり、なんとか逃げきることに成功した。
青年たちは横断歩道の反対側で両手を広げて何か叫んでいた。まるで映画のワンシーンのようで心臓はバクバク言っていた。
今井さんと一緒だったからまだよかったものの、ひとりだったら泣きながら走っていたに違いない...。
「歩き方」にはこういう時は逃げない方がいいと書いてあったが...、ケースバイケースだと思う。
スペインの悪い部分を見たような気がして落ち込みながら「どん底」のあるソル広場までバスで移動。まだ19時台だったのでデパートに入り時間をつぶすことにした。
しかし、悪いことはまだ続き...、
デパートは割と混んでいたので中に入るために入口の列に並んでいると、エントランスで前を歩く男性が財布を落としコインをぶちまけてしまった。自分もそれに気づき立ち止まったが、自分の後ろを歩いていた人は気付いていないのか詰められて後からグイグイ押されサンドイッチ状態に。
人の流れが集中するデパートの出入口で左右は壁、前と後ろは男性達に挟まれて行き場をなくし軽くもみくちゃ状態に。
あたふたしていると、少し後ろを歩いていた今井さんが自分と前後の男にすごい勢いで体当たりしてきた。
「なに!?なになにー!?!?」
と状況がまったく読めずパニックになっていると、自分の前後にいた男性達は舞台の脇役が役を終えたかのように、そそくさと去っていった。
どうやら今流行りのサンドイッチスリというやつにあってしまったらしい。
今井さんは少し離れていたので状況が分かったらしく体当たりをしてスリ2人組から助けてくれたのだった。
おかげでスリは未遂に終わり事なきを得た。というかお金ほとんど持っていなかったので取られなかっただけだった。
時間にして5秒。挟まれた瞬間はサンドイッチスリとは思う間もなく、落ちた財布に目を奪われまんまとヤツらの罠にかかってしまった。
思い返すと、前側の男が屈んだ際に落としたコインを自分が踏んでいるという体で、靴をどけろと言わんばかりに自分の足をつかんで動けなくしていたのが巧妙であった。
ポケットの後に財布を入れて歩くのをやめ、そのままデパートで首かけの小物入れを買い、下着の下に財布とパスポートを入れることにした。現金はともかく、パスポートを取られたら旅行が台無しになってしまう。
いろいろなことがあり20時30分、やっと「どん底」に到着し久しぶりの焼肉定食を頂くことが出来た。
美味しく頂いたあと、今井さんと試合当日スタジアムで待ち合わせする約束をしてホテルに戻ると、チェックイン時の説明の通り昼間開きっぱなしだった扉は閉められて鍵がかかっていた。
チャイムを何度も鳴らすが誰も出てくる気配はない。このままでは部屋に戻れない...。
「まだ悪いこと続くの〜?」
途方に暮れて泣きそうになっていると、タイミングよく同じホテルに泊まっているらしき旅行者のような人が帰ってきた。事情を身振り手振りで必死に説明すると、その人はスッとバッグから鍵を出しあっさりと開けてくれた。
「受付の人にお願いすれば、鍵貸してくれるわよ。」
とのこと。頼まなかった自分が悪かったのか…。明日自分も貸してもらおう。
今日は、良い事も悪い事も盛り沢山な一日だった。しかし旅行はまだまだ続くのでめげている場合ではない。
ただここ数日で出会った人からマドリッド以外の街も面白いと聞いたので、次回のレアル・マドリードの試合を観たら一旦マドリッドを離れてみようと思う。
一旦のんびりとしたところがいいな...。南に向かってみようか。
本日の出費
昼食 600Pts
夕食(どん底) 1,500Pts
試合チケット 4,000Pts
寄付? 2,000Pts
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