製図試験を振り返る~来年への道~

久しぶりの投稿になってしまいました。
今年度は残すところ、2月に予定されている合格発表のみとなりました。

10月13日の台風で延期になり12月まで頑張った受験生のみなさん本当にお疲れさまでした。

それでは10月13日に行われた今年の製図試験を振り返りたいと思います。
標準回答例はもうダウンロードしましたか?まずは建築技術普及センターのHPからダウンロードしてからこの投稿を見てください。
今年は合格が難しそうかなと思っている人も必ずダウンロードしておいてください。来年必ず役に立ちます、なんでも積み重ねです。

それでは振り返っていきます。


1.気になった点

・要求室の面積足りずは大幅減点の可能性有り
・グルーピングはやや緩くてもOK
・無窓居室もあっても良いが、アトリエと言う制作に関する所だったので機能を考えた上で緩かった
・吹き抜けの面積に風除室を含めてもいい
・外部の利用者動線と管理動線が交錯はあまり減点が少ない可能性

2.でも重要なのはそこじゃない

振り返ると上記のような点はいくらでも出てきます。
しかしそこに注意しすぎないでください。この標準回答例は上記に示した事が許容されるという意味ではありません!
この標準解答例から読み取らなくてはいけないのは優先順位です。これらは「何をやらなくてもよいか」ではなく「何を優先したのか」を考えるべきなんです。


3.今回の優先順位を考える

今回の試験では法規や要求(面積)には最大の注意が必要だったことが読み取れます。課題発表時に言われていたことが厳しく判定されたということです。詳しく課題を見ていなかった人はそれだけ優先順位を間違った可能性があります。

また無窓居室がOKされた理由は法規上では違反ではないからでしょう。今回は法令遵守が課題発表時から言われていたので当たり前という感じですが。

その上で重要なのが無窓居室が創作室だったということ。制作時は日光が邪魔になる場合があります。ですので機能的には無窓居室でも成立します。(倫理的には許せませんがまあそれは置いときます)そういう部分を理解した上での無窓居室という判断でしょう。

優先させたのは法令遵守や敷地条件遵守であり、そこから外れる緩いゾーニングや無窓居室が標準回答例に載っている事由だと考えられます。


4.じゃあ今まで重要だったことは何だったのか?

ここで「今まで気にしていたことはどうでも良かったの?」とお思いの方もいると思いますが、そうではありません。

今まで皆さんが頑張ってグリッド内に納めたり、廊下を真っ直ぐ通したり、無窓居室を回避していたのは「差別化」に繋がります。
そして一級建築士試験で出される標準回答例が示すのは一つの例であり正解ではありません。

みなさんがしっかりやってきたことは間違いではありません。そしてみなさんがやろうとしていたことが正しい道です。

無窓居室は無い方が良いですよね、廊下はまっすぐの方が良い、しっかりゾーニング出来ていればそれに越したことはありません。
標準回答例で納得の行かない部分があったとしても皆さんはしっかりとした建物を計画することが合格への道だということを忘れないでください。


5.理想を追いすぎると成立しない

しかし理想を追いすぎると上手くいかないのも試験の難しい部分です。
その理想と今回の重要な部分を勘案して(妥協して)このぐらいなら合格としても良いだろうと考えられたのが標準回答例です。

ですので納得がいかない部分があってもそれは今回の審査上そこまで重要ではなかったということです。この基準は毎年違いますので私達が教える場合その基準が変わっても左右されない基本構成が整っている計画を教えているのです。

そういった計画を教える場合もこれは絶対ではなく、優先順位を考え妥協しなくてはいけないということを教えます。
ここで言う優先順位は課題発表時の要件であり、試験で与えられる条件です。そして私達が教える理想の流れの中で優先順位が低いものを判断しその中である程度妥協し試験時間内でまとめる。これが一級建築士製図試験です。(そのどこまで妥協するのを考えるかが難しいのですが)


6.結局は・・・

いろいろ書いてきましたが、じゃあ結局どうすればいいの?ということになりますよね。

まとめると結局は課題文通りにやれば良かっただけなんです。

しかしこの課題文は課題発表時の要件からつながっています。それを理解した上で試験時の問題文を読まなくてはいけません。
そして自分の考えを捨てて、その問題文通りに計画することが合格への道だということが鮮明になった今回の試験でした。

私も今後講師を再開する予定です。今回の試験元の傾向をこれからも分析し来年の試験につなげていこうと思っています。


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