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カーソルはiPadOSにどう持ち込まれるのか

カーソルはマウスポインターではありません

 「カーソル」というのは、パソコンで画面上で点滅したりしてテキストの挿入点を示すための文字入力インターフェース。「マウスポインタ」というのはGUIなどでマウスなどのポインティングデバイスを使う時に画面に表示される矢印などの形をしたもの、とウィキペディアには書いてあります。
 「近年は、マウスカーソルと呼ばれることもあるマウスポインタと混同されることが多い」とありますから、カーソルとマウスポインタというものはやはり別物ということなのでしょう。

 さて、iPadOSが次のバージョンアップでマウスポインタを導入するという噂があります。それに先立ってSmart Keyboard(Apple純正のiPad用外部キーボード)にトラックパッドが組み込まれるという噂もあります。  

 これまで何でもApple Pencilで済ませて来たiPad Pro、そして2018年以降の普通のiPadでもApple Pencilが使えるようになりました。さらに、今はどちらのiPadにもマウスはありませんが、使おうと思えば、iOS13ではBluetoothマウスを接続して利用できます。水面下でAppleは、iPadでさまざまなポインティングデバイスが利用できるように進めてきています。次期iOS14ではそれが目に見える形で現れるのかもしれません。もっとも、高価なApple Pencilをインティングデバイスとして利用するのはもったいない気もします。たまたまApple Pencilの代用品として利用できるだけなわけですから。

キーボードは文字を入力するためのデバイスなのか

 おっと。今回はマウスポインタではなくカーソルの話でした。指で画面をタッチするタイプの機器であるiPadでは、元々は指がポインティングデバイスなので、基本的にマウスは必要ありませんでした。そこにもう1つのポインティングデバイスを持ち込むというのはどういうことか。それは画面の中のバーチャルなポインティングデバイスが必要になってきたということです。

 画面をタッチするリアルなポインティングデバイスである指に対して、画面の中を動くバーチャルなポインティングデバイスというのは、簡単にいうとキーボードです。

 えっ。キーボードというのは文字を入力するためのものではないのですか、と言われるかもしれません。実際には、パソコンやiPadで何かコマンドを使いた場合に、「ショートカットキー」を使うことがありますが、これが頻繁になるとその機能をキーボードの特定のキーに割り当てた方が効率が良くなります。Appleのキーボードにはコマンドキーという特別なキーボードがありますが、このコマンドキーで、PCなどがどんどん増やしていった機能キーに対処していきました。その後controlキーやoptionキーなども増えていきましたが、それはぞんざいな扱いだったといえます。この機能キーだけ見ても、キーボードというのは文字キーと数字キーだけを使うものではないのです。

 ところが、この機能キーだけでなく矢印キーさえも取っ払ってしまったのがiPadでした。「キーボードというのは文字を入力するためのデバイス」という建前の考え方は、初代Macintoshの頃にできたものですが、そこにはマウスという新しいポインティングデバイスがありました。
 たしかにマウスを使えば、それが指し示すマウスポインタを縦方向横方向だけでなく、斜めにも移動できるので、矢印キーで縦横にカーソルを動かす手間も省けます。

 こんな考えに永らくAppleは縛られていたので、歴代の純正キーボードにはあまり使いやすいものがなかったように思います。純正キーボードを使いこなすには、まずは慣れるというのが近道です。そんなキーボードでも矢印キーまたはカーソルキーは付いていました。

Appleの建前に翻弄された初期iPad

 ところが、この機能キーだけでなく矢印キーさえも取っ払ってしまったのがiPadでした。初期のiPadではマウスも使えませんでしたから、パソコンからiPadに移って来た人たちはiPadの文字入力だけは使えないと思いました。私もiPadの文字入力にそんな違和感を感じた人間の一人ですが、矢印キーが使いたいときにソフトウェアキーボードをATOKに切り替えるなどしていました。

 その違和感は純正Smart Keyboardやサードパーティの外部キーボードを使うことで幾分は薄まりましたが、それではパソコンを使った方が便利なことが多いいと思います。Appleのキーボード政策は純正Smart Keyboardに利用者の目が移っている間も迷走していたと思います。その一方でキーボードに変わるものとして注目されるのが手書き入力、Apple Pencilということになります。
 iPadの身上はキーボードがあってもなくても情報処理ができるパーソナルコンピューティングのデバイスなのですから、やはりソフトウェアとUIで文字入力に解決策を見出さないといけないのです。

 手書きのデジタルインクでも入力された文字を利用する段階ではやはりテキストになります。手書きの段階はリアルな文字も、画面の中ではバーチャルな情報となります。このバーチャルな情報を編集する時にどこに文字を挿入するか、どの文字や文章を切ったり貼ったりするかをデバイスに指示するのがキーボードであり、それを画面上で追うのに使われるのがカーソルであり、それを動かすのが矢印キーだったわけです。

 ところがiOSのソフトウェアキーボードにはなぜか矢印キーが見当たりませんでした。未だに私は理解できないのですが、特定の機種で一時的に矢印キーが登場したりもしましたが、やはりぞんざいな扱いのUIであり、iOS・iPadOS 13では見当たりません。その代わりに今使えるのが「空白」キーの長押しです。  

ライブ変換まで使えるiPadのカーソル移動はどうなる?

 最近のiPadOSの動きとしては、日本語でライブ変換ができるようになるそうです。ただし、ライブ変換はSmart Keyboardやサードパーティの外部キーボードを使うときに限られるようです。

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ライブ変換でiPadの日本語入力もMacと同等になった(その良し悪しは別)

 一方、このライブ変換が使えるiPadではカーソル移動はどうなるのでしょうか。やはり矢印キーはほしいところですが、頑ななAppleとしては、トラックパッドなどで対処して来るのでしょうか。現在のところでは、ソフトウェアキーボードでは、前述の「空白」キーの長押しがあります。長押しすることでキーボードがカーソル移動モードに切り替わり、文字キーが消えたキーボード全体がトラックパッドのように使えるようになります。これがベストなのかどうかわかりませんが、これは今後のUIとして残りそうですし、ないよりは断然便利なので、今はこれだと思って使っています。今後はトラックパッドとの関わりもあるのでしょうか。

 今後、カーソル移動が外部キーボードとソフトウェアキーボードでどうなっていくかは、次期iOS・iPadOS 14で見てみたいと思います



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