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国産比率3%でも唯一無二の価値で挑戦する愛知のアパレル工場の話

© factelier_t_y

繊維の街として栄えた愛知県の尾州地区では、以前は4,000もあった機屋(はたや・・生地を作る場所)が500まで一気に減少。

残っている工場も、大半は平均年齢70代と厳しい状況が続いています。。

そんな中で家業のスーツ生地工場に戻った葛利毛織工業(くずりけおり)の葛谷専務。

「継ぎたくない、廃業したら次は何を・・」と戻ってから10年間、ずっとネガティブだったそうです。

■転機は、ヨーロッパのブランドからの一言。

「この製法はヨーロッパでも、もうやってない。すごい製法だ」

イブサンローラン、ディオール、シャネルといった一流ブランドが、旧式の古い機械を重宝してくれる、それが転機となってやりがいを持って働くようになったそうです。

■とことん表舞台に立つ生地工場

そして、弊社の「ファクトリエ」でオーガニックコットンのTシャツの生地作りを手掛ける「今枝メリヤス」の今枝専務は、

「ずっと下請けで、言われるがまま。本当に厳しかった」という想いから、ファクトリエとともに、自らの名前が付いた商品づくりへと挑戦。

(工場の名前が記された「ファクトリーブランド」では、商品の最終形を作る縫製工場では見られるものの、“生地工場”の名前が出ることは極めて珍しいこと)

ちなみに、ファクトリエとともにものづくりを始めるに至った経緯は、私宛に届いた1通の手紙。

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その想いに突き動かされ、商品化に一年もの歳月がかかった苦労はありながら、今ではファクトリエを代表する商品へと進化し、「このTシャツはすべてのカラーを持っています!」と多くのお客様から支持されるほどの商品になっています。

この今枝専務のすごいところは、ファクトリエの名古屋星が丘テラス店の店頭にも立ってくれていること。

通常、アパレル業界では、工場とお客様の間には多くの中間業者が入るため、これまで今枝さんが作った生地をどこの誰がどんなふうに、どんな想いで使っているかは、全くわからなかったそう。

だからこそ、「今枝メリヤス」の名前が刻まれた商品を求めに来てくれるお客様と会話をしたい、ということから、名古屋店オープン以来、店頭でお客様と会話をしてくださっています。

最近講演でトヨタ自動車の方々とお話をしても、ものづくりへの熱い想いを非常に強くもっていらっしゃいます。

愛知県は繊維の街としてだけでなく、「ものづくりの街」。

アパレルの国産比率は3%を切る厳しい状況の中でも、自分たちにしか出せない価値としっかり向き合い、モチベーション高く取り組むものづくりの現場の熱量を、ひしひしと感じ、私も「伝え手」としてさらに気が引き締まる想いです。

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