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ソーシャルビジネスの経営支援_「バックアップの大切さ」編

社会課題を事業としている経営者の方と話をしている中で、どうしてもリソースの限界ということが話題になることが多いです。「人、モノ、金、情報」において、社内で偏りがあることがあります。例えば、人財であれば、若手の期待する社員に、過度の負荷がかかっているにも関わらず、適切な対処が出来ていなかったり、在庫であれば、仕入先の8割を1社だけに依存していたりする、と言ったことです。あるいは、資金であれば、メインの取引銀行と長い付き合いがあり、ずっと1行のみと取引している等々。事業の様々な場面で、一人の人間や企業を信頼して、いつの間にか依存していたりすることが多々あると思います。


なぜ、事業において、バックアップ体制をとることが難しいのでしょうか。様々な要因があり、企業ごとに理由は異なりますが、一つには、上手く事業がまわせているので、ついつい楽観的に考えてしまう、というのはあるかもしれません。あるいは、分かっていても目の前の仕事があり、面倒なことを後回しにする、というのもあるかと思います。どうしても、気持ち的に負担を感じるものは後回しにされがちです。こだわりが強すぎて時間をかけすぎてしまう、というのもあるかもしれません。いづれも、誰にでも考えられる内容です。そもそも、人間はそういう生き物かもしれません。


では、どうやったら、バックアップを準備する行動に移れるのでしょうか?

一つには、すぐやれることからで良いので、出来ることからバックアップ体制を構築するのも良いと思います。いきなり、すべての項目をバックアップする、あるいは、重要なものをバックアップする、と言っても、資金もかかる可能性も高いですし、そもそも、どのように体制を組んだらよいか、いきなり結論を出すことは難しい面もあると思います。そこで「ここはリスク対応できていないよね」「これは対処しないとまずい」と思うことを、まずは社内のメンバーで出し合ってみて、解決の優先順位を社内で考えてみる、ということも解決策の一つになりえると思います。そうすることで、少しずつ社内の依存体質になっている部分を脱依存に変えていくことができます。例えば、冒頭の例で言えば、期待している人財が辞めないという保証はどこにもないため、常日頃から、辞めた場合の対応策として、属人化しないように、顧客リストやカルテ、あるいは、技術情報をマニュアル化しておきます。あるいは、目の前の利益に邁進するあまり、過度の負荷をかけすぎているのであれば、ほかの社員でも業務を遂行できるようにマルチタスク化して、負荷分散の仕組みを取り入れたりします。仕入先も、1社依存だと、万が一、仕入先が倒産した場合、最悪原材料を調達できない、あるいは、他社からいきなり調達しようとしても、仕入原価が高くなり粗利を圧迫するかもしれません。そこで、平常時から新たな信頼できる仕入先を見つけておき、仕入れの割合を適正なバランスに変えていくことをやってみるのも一つの解決策になりえます。
金融機関も、1行だけをメイン行とせず、できれば、2行目、3行目で交渉できるようにしておけば、1行目で断られても、ライバル行である2行目が貸してくれることは多々あります。

できることからバックアップを始めてみる。私自身の仕事やプロジェクトにも取り入れたいと思います。

経営アップデート 代表 匂坂俊夫(中小企業診断士/事業構想士)

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