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ビバ・セルフ・ハピバ
誕生日を喜べる気持ちだけは持っておきたい、と思う。
小さい頃は誕生日が待ち遠しかった。
新作のゲームに、地元の有名店のケーキ…
プレゼントを貰えるだとか、好きなものを食べられるだとかあるが、年齢を重ねるというのが素直に嬉しかった。
対象年齢◯歳以上のおもちゃやゲームが解禁されていくのも、自分の格が上がっていくような感覚だった。
特別、田舎に住んでいたわけでもないのだが、実家は中心部から離れた場所
初めて子供に手を振った日
2020年。
吹雪の中を電車で駆け抜けて帰省中の私。
良い年こいて父に甘え、地元のスープカレー店へ連れて行って貰った。
1月2日から営業している、この辺りでは珍しいお店。
「やぁ、行きつけなんだよ」
父は、子に自慢したいのか、それとも私と2人きりの食事に緊張しているのか、やたらとヘラヘラしていた。
店内に入るなり年始の挨拶をしているあたりから、なるほど、行きつけというのは間違っていない
トイレットペーパーが切れた
トイレットペーパーが切れた。
すっかり冷え切った脚を摩りながら、そんなことに気が付いた。
この妙に綺麗なアパートに来てからたった2週間である。
住んでいるのは私だけだ。
冷気が充満した一室で私以外に熱を発するのは、隅にあるガスストーブか、布団に潜り込んだ湯たんぽくらい。
そんな人気のないアパートの一室で、私はひどく驚いた。
トイレットペーパーが切れた。
切れたというのは勿論、切れ目が