マガジンのカバー画像

読んで書くこと、そして人生とアート

41
読書や文章作成に関する本の感想や、自分なりの読書に対する考えのようなものをまとめていきます。人生とアートを本で語れるようになりたくて。 人間の思考について突き詰めていくと「言語…
¥500
運営しているクリエイター

#コラム

ヘーゲルと六ペンス

ヘーゲルと六ペンス

ある視座を与えられると、もう、そう見るのが自然に思えてしまう。それこそが哲学の力であるし、歴史を変えてきた力の源泉とも言える。

この、"哲学の力"を再認識できた本が、竹田青嗣さんの『哲学は資本主義を変えられるか』。ヘーゲル哲学を基本に、近代国家の視座を与えてきた哲学が分かりやすく再構成されている。納得感の高さが「ポスト資本主義は、反資本主義ではない」という主張に説得力を持たせている。

機械派のシンプルな主張

機械派のシンプルな主張

一つ前のエントリーで、ポジショニング派の大御所が「人間派」であった話を書いた。一方で、ハーバード・ビジネス・レビュー2018年1月号で言えば、クリス・アンダーソン氏の考えが「機械派」と呼べそうだ。

「ドローン・エコノミー:データ取得の革命がビジネスを変える」(DHBR2018年1月号)

氏の主張はシンプルで「他の選択肢より機械の方が優れた仕事ぶりを発揮するならば、自ずと機械に任せるようになるだ

もっとみる
ポジショニング派が語る「人間の拡張」

ポジショニング派が語る「人間の拡張」

経営戦略をかじったことのある方は「ポジショニング派」とか「ケイパビリティ派」とか聞いたことがあるかも知れない。

ポジショニング派の代表格がマイケル・ポーター氏。その大御所がハーバード・ビジネス・レビュー2018年1月号でARを使った人間の拡張について論じている。

「AR戦略:拡張現実の並外れた可能性」(DHBR2018年1月号)

「人間の拡張だなんて、ケイパビリティ派に転校したのか?」なんて

もっとみる

[書評]テクノロジーは戦略をどう変えるか:ハーバード・ビジネス・レビュー2018年1月号



ハーバード・ビジネス・レビュー2018年1月号の未来感がすごい。21世紀の1/6を過ぎた時点で、先頭集団と後続集団の時代感覚の距離は離れる一方と実感。ちょっとした焦燥感。

今月号では「技術」を特集している。「競争の戦略」「競争優位の戦略」で有名なポジショニング論の泰斗であるマイケル・ポーターが、AR/VRを使った業務効果の拡大を論じる。まだまだ現役。その横で「ロングテール」「フリー」「シェア

もっとみる
組み合わせのギア合わせ

組み合わせのギア合わせ

傍から見れば大したことなくても、本人は悩んでいることもある。他がそうであっても、自分は意外と苦労を感じない事項もある。お互いの得意・不得意が明確であれば補完関係につなげやすいが、お互い分かっていない。特に、自分のことが分かっていない。

人間関係なんてそんなもの。と、うそぶいていたら、ハーバード・ビジネス・レビュー2017年12月号の「SHIFT:イノベーションの作法」に、自分を知るきっかけがあっ

もっとみる

[書評] GE 変革を続ける経営:ハーバード・ビジネス・レビュー2017年12月号



GEの経営者就任期間は長い。ジェフリー・R・イメルト氏が2017年7月末にCEOを退任されたが、それまで約16年間勤めていた。退任して四半期過ぎ(後任が就任して100日過ぎ)という旬なタイミングで、特集が組まれている。たしかに、読むなら今かも。

GEは100年以上の歴史がありダウ平均株価銘柄の初回からずっと採択されているという老舗企業で、従業員も30万人以上。一方で社員の半分が社歴5年以下と

もっとみる
「ダイバーシティ」の周回遅れ

「ダイバーシティ」の周回遅れ

「まぢか。」

思わず声が出る。「出る杭」を伸ばすとは良く聞くが、これはレベルが違う。

ハーバード・ビジネス・レビュー2017年11月号の『ニューロダイバーシティ:「脳の多様性」が競争力を生む』を読んで、自分の「ダイバーシティ」に対する理解の周回遅れを実感する。

ニューロダイバーシティ:「脳の多様性」が競争力を生む

「脳の多様性」と言えば聞こえは良いが、いわば自閉症やADHDのような方をチー

もっとみる
規範は実践知

規範は実践知

今回はちょっと堅めの話。昨年後半から政治の話題に事欠かない。で、政治の話となると、正義を振りかざして異論に聞く耳持たない態度を取る人が出てくる。そういった対話不成立がちらりちらりと眼に映る。

政治の本質は対話と討議にあると思っている。聞く耳を持たなくなれば、統治の源を、規範というより圧力(経済制裁であったり軍事力の行使であったり)に頼るようになるだろう。今しばらくは圧力による統治が優勢な気がする

もっとみる
コラボレーションの罠

コラボレーションの罠

ずいぶん昔の話になるが、デザイン思考の演習をした際に、成果物を作れないまま時間切れになってしまったことがある。その時のプレゼンといったら、まるで王様に「きれいな心の持ち主にしか見えない服」を売り込むような内容だった。成果物はないのに、コンセプトを語る。今思えば、言い訳でしかなかった。裸の王様に仕立てようとしている、見苦しい自分がいた。

ハーバード・ビジネス・レビュー2017年10月号の「SHIF

もっとみる
仕事のドタバタを美味しくいただく

仕事のドタバタを美味しくいただく

ドタバタの味毎日をラクに過ごしたいと思ったりはする。しかし、過ぎ去りし日々を振り返って楽しかったと思うのは、ドタバタによる喜怒哀楽だったりする。

一人で仕事をする方が粛々と進んだりする。仕事をやり遂げれば達成感なんかも味わうことができる。だが、そこに喜怒哀楽はあまり発生しない。山登りの楽しさというか、静かに味わうことにしている。

ドタバタの味は刺激的。ドタバタにも「楽しいドタバタ」と「苦しいド

もっとみる